【完結】雨上がりは、珈琲の香り②

チャフ

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うなじ濡れる時

★9

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「あったかーい♡」

 先に私から檜風呂に足を入れる。

 りょーくん曰く、二人同時に入ろうとした時私が恥ずかしがって拒否られたくないから。と、まずは私から湯船に浸かり後からりょーくんが来てくれる事になった。

 ポニーテールにしていた髪がお湯についてはいけないと思って、簡単なお団子をサッと頭の上で作ってから肩まで浸かる。

「はあああぁ……幸せぇ……」

 極楽気分だけど、さっきの星空を眺めてみようと上を向いても湯気のモクモクであまりよく見えない。

「リラックスチェアに寝転んだ方が見えるもんなんだね星空って」

 見上げたままそう呟いて視線を落とし、両手でお湯をすくってみた。

 秋夜の外気に触れている所為か、大浴場とは違って湯気の立ち上りが凄い。
 檜の香りがふわーっと湯気と一緒に立ち込めて雰囲気たっぷりだ。

(確かにこんなに良い気持ちになるのを、一人で感じるのは少し寂しいかもしれないなぁ。
 りょーくんの言う通り、二人で同時に感想言い合って一緒に温まる幸せってあるよねぇ……)

 そう思い、りょーくんの事を少し気の毒に感じた。

 
「湯加減はどう?」

 その時、カラカラと露天風呂の出入り口を開ける音を立てながらりょーくんが入ってきた。

「気持ちいいよ♪ 大浴場より少し湯が熱いのかなと思ったけど外の気温とちょうど良いっていうか」

 私がりょーくんの方を振り向いてそう答えると

「なるほどね。大浴場とは多少湯の温度を変えてるのかもしれないね」

 と言ってりょーくんは体を洗い流し始める。

「檜風呂っていいねーこんなに良い香りがするんだね!」
「あー、それ俺も思った。テレビのリフォーム番組とかで檜風呂にする人いるけど今なら気持ち分かる気がするよ」
「実際家にあったらメンテナンス大変そうだけどねー」
「そうだね」

 りょーくんがお湯をかける音にかき消されないようタイミングを見計らって喋る私達のこの感じ、いつものお風呂の時間みたいだ。

 いつもと変わらない空気感が2人の間に流れてて、「なんで最初から一緒に入れなかったんだろう」と自責の念に駆られる。

 洗い終わったりょーくんがこっちへ近付くので、私は顔を外の景色の方へ向け、湯の中を少し前進した。

「りょーくん、早くこっちきてきて♡」

 私が呼び掛けた直後、ザブーッと湯が流れ出ていき……

「じゃ、お邪魔しまーす♡」

 その分の質量を持った彼の肉体が私の背中に触れる。

「っ!!」

(さっきまで……本当にさっきまでは、ごく普通に居られたのに)

「夜だと湯気の立ち上りが凄いなぁ。夕方と景色も全然違って見えるよ」

 りょーくんのイケボが耳元に響く感じだとか、ちょんっと触れてる肌の感触だとか……その一つ一つが

「そっかぁ……夕方とは雰囲気違って見えるもんなんだねぇ」

 胸の鼓動を激しく強く打たせる。


 ほんの数十秒までは「いつもの空気感」と感じていた二人の空間が、一気に別のものに成り代わったように……

「あーちゃんのうなじ、丸見え♡」

 私の耳をふわりくすぐるりょーくんの吐息で

「はぁん♡」

 一気に甘くとろける世界へと引き込まれていった。


「あーちゃんってば♡ またエッチな声出しちゃって♡」

 うなじからスーッと、りょーくんの指が背中へと滑っていく。

「だってぇ♡ りょーくんが急にぃ♡」
「急かな? 俺は普通に入ってきたつもりだけど?」

 背後から、大きな手が私の手首を追いかける。

「入ってくるのは確かに普通だったけどぉ……でもりょーくん、今は……その、すっごくエッチな事考えてるでしょ?」

 私の手首はすぐ、彼の手に両方とも捕まって……

「そりゃあそうでしょ♡ あーちゃんのうなじが『食べてー♪』って、俺を誘ってくるんだから♡」

 そう言い終わった彼の唇が、舌が、私のうなじめがけてやってきた。

「っあぁ♡♡」

 バシャッ!

 軽く喘ぎながら身をよじり、腰を上げて逃げようとしても

「逃げたらだぁめ♡」

 舌は尚も追いかける。

 腰を上げて膝立ちの体勢は彼との身長差を埋め、背中にピッタリ胸板がくっついて

 くちゅっ……

「あぁっ♡」

 っちゅっ……

「やぁん♡」

 心も体も、より熱さを増していく。

「あっ……ちょっとぉ♡ りょーくん舐めすぎぃ♡」

 喘ぎながらもなんとか声を出そうとしても

「んー? よく聞こえないなー♡」

 彼特有の意地悪が発動して、はぐらかされる。


「はー…… 美味しいうなじ、ご馳走様♡」

 一通り堪能したらしく、うなじから彼の唇や舌が離れると

「ひゃっ♡」

 うなじが外気に触れて冷たさを感じる。

「ふふ♪」

 りょーくんはそんな私の事なんか御構い無しで、掴んでいた手首をパッと離すと

「きゃ♡」
「胸大きいとお湯に少し浮くの、結構好き♡」

 今度は私の両胸を下からそっと持ち上げた。

「そんなに浮かないもんっ肩まで浸かればそんなに感じないし」

 私は腰を落として座り直し、胸を湯の中に沈めた。

「沈んじゃったぁ」
「ふふん♪ でしょっ!」

 りょーくんの残念そうな声に勝った気持ちでいたら

「反撃っ♡」

 乳首をキュッと摘まれて

「きゃあん♡」

 やっぱりりょーくんのペースに引き戻される。

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