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うなじ濡れる時
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(デザインは女性が付けても良さそうな感じだし、何よりりょーくんの好きなお店のアクセサリーでもあったからりょーくんに嫌われないと思ったんだけど……)
りょーくんは指でチャームをいじりながら
「まぁ、好みのデザインだし、あーちゃんに似合ってるなとは思うけど」
と答える。
「だったら……」
(何がいけないんだろう?)
ちょっぴり怖い彼の空気感が読み取れない。
りょーくんはしばらくネックレスのチャームをクリクリいじくって、掴んでいた私の腕を解放させると、今度は両手を私のうなじに回したかと思ったら
「2人きりでお泊まりするのに、他の男から貰ったプレゼントが目に入るの許せなくて」
ネックレスを私から取り上げてしまった。
「あ」
「モノに罪は無いし、従兄やお世話になってる先輩からの大事なプレゼントって理解してるし、ジェラシーしたくないんだけどさ……俺の心が狭くてごめんね♡」
取り上げられてビックリしたものの、笑顔でそう言うりょーくんに私の方が申し訳なく感じちゃって
(そっか……りょーくんにとっても大切な人からのプレゼントって分かってても、ジェラシーしちゃうよね。状況的に)
「私の方こそごめんなさい」
と、彼の想いに誠実な行動を取れなかった事を謝った。
「明日、宿を出る時に返すから。こっちこそごめんね」
私の配慮の無さが原因なのに、りょーくんの方からも謝られてしまった。
(彼女の私が1番、りょーくんのジェラを理解してる筈なのに……。
結局りょーくんを苦しませちゃってるなぁ)
彼に見えないよう浴衣に着替え、髪をポニーテールにする。
「りょーくん出来たよー」
脱衣所を出て障子を開けると
「あっ♡」
待ってましたとばかりにりょーくんが私の方へ近付いてきた。
「ど……どうかな?」
普通に着付けてみたつもりだけど、りょーくんの浴衣姿が格好良過ぎて「私着付け間違えたかな?」って思ってしまう。
「いいね♪ あーちゃん可愛い♡」
それなのにりょーくんが私の手を握って嬉しそうに微笑み、褒めてくれた。
「普通だよ」
と言い返す私に
「本当に可愛いよ♡ あーちゃんはやっぱりポニーテール似合うよね♡」
そう言って、空いた私のうなじをスーッと指先で撫でてきて……
「んっ♡」
堪らず甘い声が出た。
「あーちゃんの声、すっごくエッチ♡」
「変なとこ触るからだよ! りょーくんもエッチ!!」
「俺もか……あはは♪ 確かにっ♪」
無邪気に笑いながらりょーくんは私の手を引いて、さっき彼が座ってた場所に私を座らせる。
「もうすぐ夕食来るよ。座っておかないと」
そう言って私の肩を軽くポンポンと叩き、りょーくんは向かい側に座った。
「うん……」
「失礼致します。お食事をお持ち致しました」
りょーくんの言う通りすぐにお部屋食の支度が整えられ、次々と並べられていく。
「うわあ~!! 海の幸や山の幸でいっぱい!!」
目の前に並べられたお食事はどれも美しい器に盛り付けられていて、つい大きなリアクションをとってしまう。
SNSの類はやっていないけれど、食事前にスマホで画像を撮る人の心境が理解出来た。
料理に見とれている私にりょーくんは
「あーちゃんはお酒、どれにする?」
と、仲居さんに渡されたらしいメニュー表を手に取って私に聞いてきた。
「お酒って、日本酒?」
「スパークリングワインやビールもあるみたいだよ♪ 日本酒や焼酎の方が種類豊富なのは確かだけど」
りょーくんの手からメニュー表を受け取り、一通り目を通して見るものの、飲酒歴たった一年の私にとって見聞きした銘柄が無さすぎて余計に困ってしまう。
「うーん……よく分からないからりょーくんと同じのにする」
メニューをりょーくんに返しながらそう言うと、彼は仲居さんに注文を始めた。
「……かしこまりました。ではすぐにお持ち致しますね」
仲居さんがお辞儀をしてお酒を手配してくれ、そんなに待つことなく日本酒と酒器が運ばれると、りょーくんは部屋に入ったばかりの時みたいに仲居さんに何かを渡して御礼を言っていた。
「ではごゆっくり」
仲居さんが引き戸を締めて行ってしまったのを確認した後、さっきのりょーくんの行動を質問してみる。
「さっき何を渡したの?」
私の質問にりょーくんは不思議そうな表情をしながら
「何って、心付けだけど。部屋を案内してくれた方とさっきの人違う人だったから」
「心付け?」
りょーくんの返答を聞いてもピンと来ない私に
「チップだよ、要するに。勿論最初に部屋を案内してくてた方にも渡してるよ」
と微笑みながら教えてくれた。
(ああ! なるほど! チップかぁ~)
彼の行動に納得して関心したものの
「……って、りょーくんいつの間にそういうの用意してたの?」
渡し方がスマート過ぎて、「心付け」なんていう学生にしては大人過ぎる行動にめちゃくちゃ驚いた。
(しかもりょーくん、財布に一切触れる事なくスッと渡してた!
それって事前に浴衣にいくつか忍ばせて用意してたって事だよね?)
「私、全く思い付きもしなかった……今はりょーくんよりも長く働いているのに」
まだ学生の身ではあるけど、夕紀さんからは正社員と同等のお給料をもらっているからついつい社会人気分でいた。
……だけど、このような高級旅館に来たからこその「常識」に気付けなくて恥ずかしく思う。
「まだ学生だもん。そんなもんじゃない? 俺もたまたま旅行の計画立ててる時に知ったくらいだし」
一方りょーくんは今短期バイトしかしてないけれど、それまでは上原さんの元で長い社会生活を積んできている。
今回の旅行準備や勉強、振る舞いのスマートさに私との差がハッキリとあるような感じがしちゃって……
(やっぱりりょーくんって凄いなぁ)
見た目だけでなく中身も彼の方が大人なんだと思い知らされた。
りょーくんは指でチャームをいじりながら
「まぁ、好みのデザインだし、あーちゃんに似合ってるなとは思うけど」
と答える。
「だったら……」
(何がいけないんだろう?)
ちょっぴり怖い彼の空気感が読み取れない。
りょーくんはしばらくネックレスのチャームをクリクリいじくって、掴んでいた私の腕を解放させると、今度は両手を私のうなじに回したかと思ったら
「2人きりでお泊まりするのに、他の男から貰ったプレゼントが目に入るの許せなくて」
ネックレスを私から取り上げてしまった。
「あ」
「モノに罪は無いし、従兄やお世話になってる先輩からの大事なプレゼントって理解してるし、ジェラシーしたくないんだけどさ……俺の心が狭くてごめんね♡」
取り上げられてビックリしたものの、笑顔でそう言うりょーくんに私の方が申し訳なく感じちゃって
(そっか……りょーくんにとっても大切な人からのプレゼントって分かってても、ジェラシーしちゃうよね。状況的に)
「私の方こそごめんなさい」
と、彼の想いに誠実な行動を取れなかった事を謝った。
「明日、宿を出る時に返すから。こっちこそごめんね」
私の配慮の無さが原因なのに、りょーくんの方からも謝られてしまった。
(彼女の私が1番、りょーくんのジェラを理解してる筈なのに……。
結局りょーくんを苦しませちゃってるなぁ)
彼に見えないよう浴衣に着替え、髪をポニーテールにする。
「りょーくん出来たよー」
脱衣所を出て障子を開けると
「あっ♡」
待ってましたとばかりにりょーくんが私の方へ近付いてきた。
「ど……どうかな?」
普通に着付けてみたつもりだけど、りょーくんの浴衣姿が格好良過ぎて「私着付け間違えたかな?」って思ってしまう。
「いいね♪ あーちゃん可愛い♡」
それなのにりょーくんが私の手を握って嬉しそうに微笑み、褒めてくれた。
「普通だよ」
と言い返す私に
「本当に可愛いよ♡ あーちゃんはやっぱりポニーテール似合うよね♡」
そう言って、空いた私のうなじをスーッと指先で撫でてきて……
「んっ♡」
堪らず甘い声が出た。
「あーちゃんの声、すっごくエッチ♡」
「変なとこ触るからだよ! りょーくんもエッチ!!」
「俺もか……あはは♪ 確かにっ♪」
無邪気に笑いながらりょーくんは私の手を引いて、さっき彼が座ってた場所に私を座らせる。
「もうすぐ夕食来るよ。座っておかないと」
そう言って私の肩を軽くポンポンと叩き、りょーくんは向かい側に座った。
「うん……」
「失礼致します。お食事をお持ち致しました」
りょーくんの言う通りすぐにお部屋食の支度が整えられ、次々と並べられていく。
「うわあ~!! 海の幸や山の幸でいっぱい!!」
目の前に並べられたお食事はどれも美しい器に盛り付けられていて、つい大きなリアクションをとってしまう。
SNSの類はやっていないけれど、食事前にスマホで画像を撮る人の心境が理解出来た。
料理に見とれている私にりょーくんは
「あーちゃんはお酒、どれにする?」
と、仲居さんに渡されたらしいメニュー表を手に取って私に聞いてきた。
「お酒って、日本酒?」
「スパークリングワインやビールもあるみたいだよ♪ 日本酒や焼酎の方が種類豊富なのは確かだけど」
りょーくんの手からメニュー表を受け取り、一通り目を通して見るものの、飲酒歴たった一年の私にとって見聞きした銘柄が無さすぎて余計に困ってしまう。
「うーん……よく分からないからりょーくんと同じのにする」
メニューをりょーくんに返しながらそう言うと、彼は仲居さんに注文を始めた。
「……かしこまりました。ではすぐにお持ち致しますね」
仲居さんがお辞儀をしてお酒を手配してくれ、そんなに待つことなく日本酒と酒器が運ばれると、りょーくんは部屋に入ったばかりの時みたいに仲居さんに何かを渡して御礼を言っていた。
「ではごゆっくり」
仲居さんが引き戸を締めて行ってしまったのを確認した後、さっきのりょーくんの行動を質問してみる。
「さっき何を渡したの?」
私の質問にりょーくんは不思議そうな表情をしながら
「何って、心付けだけど。部屋を案内してくれた方とさっきの人違う人だったから」
「心付け?」
りょーくんの返答を聞いてもピンと来ない私に
「チップだよ、要するに。勿論最初に部屋を案内してくてた方にも渡してるよ」
と微笑みながら教えてくれた。
(ああ! なるほど! チップかぁ~)
彼の行動に納得して関心したものの
「……って、りょーくんいつの間にそういうの用意してたの?」
渡し方がスマート過ぎて、「心付け」なんていう学生にしては大人過ぎる行動にめちゃくちゃ驚いた。
(しかもりょーくん、財布に一切触れる事なくスッと渡してた!
それって事前に浴衣にいくつか忍ばせて用意してたって事だよね?)
「私、全く思い付きもしなかった……今はりょーくんよりも長く働いているのに」
まだ学生の身ではあるけど、夕紀さんからは正社員と同等のお給料をもらっているからついつい社会人気分でいた。
……だけど、このような高級旅館に来たからこその「常識」に気付けなくて恥ずかしく思う。
「まだ学生だもん。そんなもんじゃない? 俺もたまたま旅行の計画立ててる時に知ったくらいだし」
一方りょーくんは今短期バイトしかしてないけれど、それまでは上原さんの元で長い社会生活を積んできている。
今回の旅行準備や勉強、振る舞いのスマートさに私との差がハッキリとあるような感じがしちゃって……
(やっぱりりょーくんって凄いなぁ)
見た目だけでなく中身も彼の方が大人なんだと思い知らされた。
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