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うなじ濡れる時
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「貸し切り風呂って! それってりょーくんと混浴で入るって意味になるよね?」
頭がパニックになって自分が変な事を口走った事に気付き
(やばっ! 声大きかったかもっ!!)
即座に手で口を押さえる。
「ブフッ……ククククッ……」
そんな私の反応にりょーくんは
「そうだねっ……フフッ、俺らが入るなら……そうなるかな……ククク」
と、横腹を抑えながら小声で答えた。
「あわわわわわわ……」
(やだっ……りょーくんにめちゃくちゃ笑われてるだけじゃなくて、従業員さんにまで聞こえちゃってたみたいっ!!)
よく見たら従業員の人も笑いを堪えるみたいに口元を押さえていた。
(きゃああっ……めちゃくちゃ恥ずかしいよぉ!!)
顔が熱くなっていく私にりょーくんはまた頭をポンポン叩き
「貸し切り風呂予約は保留にしておきますね。彼女とゆっくり相談します」
と従業員さんに伝えていた。
「左様ですか、明日のチェックアウトまでご利用可能ですので、いつでもお申し付けくださいね」
「はい」
スマートな感じでやり取りする従業員さんとりょーくんのそばで
「ひゃうぅ」
私だけが縮こまる。
(そうだった……この宿、大浴場の他にも貸し切り露天風呂がついててそれも人気なんだよね。
そこからの景色が綺麗っていうんで、テレビを観ながらプチ興奮したのを思い出したよぉ)
「では、お部屋へご案内致します」
チェックインが済むとさっきとは別の従業員さんに案内され、私とりょーくんは客室の方へと向かっていった。
「りょーくん、どんなお部屋を予約したの?」
案内されている間に気を取り直した私は、りょーくんにちゃんと小さな声にしてお部屋のタイプを質問してみたんだけど
「それは部屋に入るまでのお楽しみだよ♪」
と、すぐに教えてくれなかった。
「もったいぶるんだね。もうすぐお部屋着くのに」
「だからだよ。あーちゃんに喜んでもらいたいからね♪」
「ふぅん……」
どうやら、この宿そのものがりょーくんからのサプライズプレゼントらしかった。
りょーくんの今の表情には「私にビックリして喜んでもらいたい」って意図が見える。
(それにしてもどんなお部屋だろ? 和室かなぁ洋室かなぁ?)
テレビで観た旅番組では洋室が紹介されていてツインのベッドルームが映ってたような記憶がある。
(あのお部屋も眺めが良いしゆったりしていたし、なかなか良さそうだったもんなぁ~。
もしかしてりょーくん、あの番組と全く同じ洋室を予約したのかなぁ?)
「こちらでございます」
従業員さんに引き戸を開けてもらい、「和室なんだぁ」と軽い感想を思い描いていたんだけど、部屋の中に入って私は目を丸くした。
「嘘っ……!!」
(想像以上に広くて、学生2人で泊まるとは思えないグレードなんですけど!!)
「嘘じゃないよ♪」
りょーくんは私にそう言い、従業員さんから荷物を受け取っている。
「それではごゆっくり……」
という声を聞き引き戸が閉まった直後……
「きゃっ♡」
りょーくんにバックハグされてしまった。
「まったくもうっ♡ あーちゃんは可愛いお子ちゃまなんだから♡」
そのままりょーくんのセクシーな囁きを耳にかけられて
「お子ちゃまじゃないよぅ♡ りょーくんと同じ21歳になったもん!」
ドキドキしながらもりょーくんの腕から逃れようともがいたんだけど
「その態度がお子ちゃまじゃん? ホントに可愛い♡」
と、腕の力を強められながらそう言い返された。
「むうぅ~……だってビックリするじゃない! まさかこんなに広い和室を予約するなんて思ってなかったんだからっ!」
「せっかく温泉宿に泊まるんだから、和室の方が雰囲気あって良くない? それに……」
りょーくんは私を抱き締める腕の力を緩め、障子の向こうを指差す。
「?」
「あの障子、開けてみなよ」
「え? …………う、うん」
りょーくんに言われた通り、私は部屋の中を真っ直ぐに歩いていった。
広くていい部屋だなとは思ったけど、障子が閉められているせいで外の景色が見えなかったんだ。
(海が見えるのかな? オーシャンビューってヤツ?)
どんな眺望なのかワクワクしながら両側の障子を開け放つと……!!!!
「ええええええ!!!」
海の景色よりも驚くものがそこにはあった。
「えっ? え? ……え?」
りょーくんの方を振り向いて、なんて言えばいいのか分からない私。
「ビックリした? すっごく良いでしょこの部屋♪ 露天風呂付きの和室なんだよ♡」
障子を開けたらすぐ窓の景色が見えるのかと思ったらそこからまた空間が広がり、露天風呂と木製のリラックスチェアが置かれている。
「ビックリするのは当たり前だよ!!! どうしたのこんなにすごい部屋っ!!??」
予想だにしていない光景に頭がついていかない。
「あーちゃんが喜んでくれるかなぁって思って、ちょっと頑張ってみた♡」
そう言いながら私のそばに来るりょーくん。
「ちょっとどころじゃないよ! だって、ただの……私の誕生日ってだけなのに」
私が言い終わらない内に
「あーちゃんの誕生日だから、なんだけどな♡」
りょーくんがそう言い返して私の腰に腕を回す。
頭がパニックになって自分が変な事を口走った事に気付き
(やばっ! 声大きかったかもっ!!)
即座に手で口を押さえる。
「ブフッ……ククククッ……」
そんな私の反応にりょーくんは
「そうだねっ……フフッ、俺らが入るなら……そうなるかな……ククク」
と、横腹を抑えながら小声で答えた。
「あわわわわわわ……」
(やだっ……りょーくんにめちゃくちゃ笑われてるだけじゃなくて、従業員さんにまで聞こえちゃってたみたいっ!!)
よく見たら従業員の人も笑いを堪えるみたいに口元を押さえていた。
(きゃああっ……めちゃくちゃ恥ずかしいよぉ!!)
顔が熱くなっていく私にりょーくんはまた頭をポンポン叩き
「貸し切り風呂予約は保留にしておきますね。彼女とゆっくり相談します」
と従業員さんに伝えていた。
「左様ですか、明日のチェックアウトまでご利用可能ですので、いつでもお申し付けくださいね」
「はい」
スマートな感じでやり取りする従業員さんとりょーくんのそばで
「ひゃうぅ」
私だけが縮こまる。
(そうだった……この宿、大浴場の他にも貸し切り露天風呂がついててそれも人気なんだよね。
そこからの景色が綺麗っていうんで、テレビを観ながらプチ興奮したのを思い出したよぉ)
「では、お部屋へご案内致します」
チェックインが済むとさっきとは別の従業員さんに案内され、私とりょーくんは客室の方へと向かっていった。
「りょーくん、どんなお部屋を予約したの?」
案内されている間に気を取り直した私は、りょーくんにちゃんと小さな声にしてお部屋のタイプを質問してみたんだけど
「それは部屋に入るまでのお楽しみだよ♪」
と、すぐに教えてくれなかった。
「もったいぶるんだね。もうすぐお部屋着くのに」
「だからだよ。あーちゃんに喜んでもらいたいからね♪」
「ふぅん……」
どうやら、この宿そのものがりょーくんからのサプライズプレゼントらしかった。
りょーくんの今の表情には「私にビックリして喜んでもらいたい」って意図が見える。
(それにしてもどんなお部屋だろ? 和室かなぁ洋室かなぁ?)
テレビで観た旅番組では洋室が紹介されていてツインのベッドルームが映ってたような記憶がある。
(あのお部屋も眺めが良いしゆったりしていたし、なかなか良さそうだったもんなぁ~。
もしかしてりょーくん、あの番組と全く同じ洋室を予約したのかなぁ?)
「こちらでございます」
従業員さんに引き戸を開けてもらい、「和室なんだぁ」と軽い感想を思い描いていたんだけど、部屋の中に入って私は目を丸くした。
「嘘っ……!!」
(想像以上に広くて、学生2人で泊まるとは思えないグレードなんですけど!!)
「嘘じゃないよ♪」
りょーくんは私にそう言い、従業員さんから荷物を受け取っている。
「それではごゆっくり……」
という声を聞き引き戸が閉まった直後……
「きゃっ♡」
りょーくんにバックハグされてしまった。
「まったくもうっ♡ あーちゃんは可愛いお子ちゃまなんだから♡」
そのままりょーくんのセクシーな囁きを耳にかけられて
「お子ちゃまじゃないよぅ♡ りょーくんと同じ21歳になったもん!」
ドキドキしながらもりょーくんの腕から逃れようともがいたんだけど
「その態度がお子ちゃまじゃん? ホントに可愛い♡」
と、腕の力を強められながらそう言い返された。
「むうぅ~……だってビックリするじゃない! まさかこんなに広い和室を予約するなんて思ってなかったんだからっ!」
「せっかく温泉宿に泊まるんだから、和室の方が雰囲気あって良くない? それに……」
りょーくんは私を抱き締める腕の力を緩め、障子の向こうを指差す。
「?」
「あの障子、開けてみなよ」
「え? …………う、うん」
りょーくんに言われた通り、私は部屋の中を真っ直ぐに歩いていった。
広くていい部屋だなとは思ったけど、障子が閉められているせいで外の景色が見えなかったんだ。
(海が見えるのかな? オーシャンビューってヤツ?)
どんな眺望なのかワクワクしながら両側の障子を開け放つと……!!!!
「ええええええ!!!」
海の景色よりも驚くものがそこにはあった。
「えっ? え? ……え?」
りょーくんの方を振り向いて、なんて言えばいいのか分からない私。
「ビックリした? すっごく良いでしょこの部屋♪ 露天風呂付きの和室なんだよ♡」
障子を開けたらすぐ窓の景色が見えるのかと思ったらそこからまた空間が広がり、露天風呂と木製のリラックスチェアが置かれている。
「ビックリするのは当たり前だよ!!! どうしたのこんなにすごい部屋っ!!??」
予想だにしていない光景に頭がついていかない。
「あーちゃんが喜んでくれるかなぁって思って、ちょっと頑張ってみた♡」
そう言いながら私のそばに来るりょーくん。
「ちょっとどころじゃないよ! だって、ただの……私の誕生日ってだけなのに」
私が言い終わらない内に
「あーちゃんの誕生日だから、なんだけどな♡」
りょーくんがそう言い返して私の腰に腕を回す。
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