【完結】雨上がりは、珈琲の香り②

チャフ

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【番外編】それは、「口実」(亮輔side)

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「んっ……ふぅ……ん」


 ベッドの上で素肌を擦り合わせながら俺は、和装アレンジの髪を撫で赤みの強い唇を蹂躙じゅうりんした。

「ねぇ、あーちゃん」

 エアコンで空気がひんやりとしているのに、彼女の肌は汗でしっとりとしていて

「んっ……なぁに?」

 喘ぎ声に近いような艶めきを見せている彼女の小声は男の気持ちをグッと掴んでくる。

「花火にも、花言葉があるって……知ってる?」

 そんな彼女に向かって俺は、1つのクイズを出してみた。

「えっ? 花火にもあるの? 花言葉」
 
 彼女は花言葉辞典を所有しているから、もしかしたらこのクイズは容易に解かれてしまうという懸念があったのだけれど

「あるんだよ。ビックリするでしょ?」

 流石にこれは辞典に載っていなかったようで少し得意げになる。

「うん……ビックリ」
「ちなみにどんな花言葉だと思う?」

 俺のクイズに彼女は真面目で真剣な表情に戻してしばらく唸っていた。

「想像つかない?」

 シンキングタイムを与えても答えが出なかったようで、優しくギブアップを促してやると

「うん……無理ぃ~」

 彼女は眉を下げて困ったような表情を作りながらも、人差し指で俺の唇をふにっと押す。

「なんでまた俺の口押したの?」

 花火観覧中でもないのにそんな行動を取った彼女の不思議さに首を傾げていたら

「だってりょーくんの今のお口、果物の実みたいに美味しそうだな~って、花言葉クイズに関係なく思っちゃったんだもん♡」

 彼女の声はまた妖しさを増し、俺の男の部分を呼び覚まそうとした。

「ずるいなぁ……ある意味正解だ♪」

 そうなったら俺はもう、止まらない。

「きゃあんっ♡ さっきのクイズ、私当てたの?」
「正解してないけど、あーちゃんのさっきの言葉一つ一つは正解してるよ♪」
「えっ? それ、どういう意味?」
「ふふっ、どういう意味だろうね?」

 俺は彼女の問いをはぐらかしながら、思いの丈を女体にぶつけた。





 花火の花言葉は「口実」。


 花火大会の開催にワクワクし
 彼女の綺麗な浴衣姿を愛で
 打ち上がる花火を見上げて……心に風穴を開けたのは、全てがこの瞬間の為の口実に過ぎなかったのかもしれない。
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