【完結】雨上がりは、珈琲の香り②

チャフ

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temptation

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「もー!! 変態!! りょーくんの変態! 変態変態!!」

 翌朝、ベッドのシーツを干し終わった私は掃除機を掛け終わって片付けているりょーくんに「変態」の言葉を繰り返し投げつける。

 あのあと色んな体位でいっぱい繋がって、汗とか色んなものが体中にベタベタくっついたままの状態かつエアコンをつけっぱなしで眠って、起きたらベッドの上が大惨事になっていたのだからビックリした。

「りょーくんの所為で洗濯機を3回も回してるんだよ? 干す場所確保するのも大変だよぉ!」
「それは本当に……ごめん」

 ビックリしたのはシーツの汗染みばかりではない。2人とも寝起きはとんでもないくらいお酒臭くって、頭からつま先までしっかりお風呂で洗ったり洗濯機を3回も回したりして……まだ午前10時だっていうのにヘトヘトだ。

「……けどまぁ、こんな日曜日もいいじゃん? 昨日の酔っ払いあーちゃんはめちゃくちゃエロくて可愛かったし♪ 今までで見た事ないくらいのレアさだったって感じ♪」

 変態りょーくんは嬉しそうな声を上げながら私に抱きついて頰にチュッチュッと可愛らしいキスをする。

「なによー! りょーくんだって酔っ払ってたくせに!!」

 酔っ払ってエロくなったのは私だけじゃないと抗議したんだけど

「お父さんのお酒すごく美味しかったね♪ いっぱい呑んじゃって楽しかったなぁ♪」

 サラッと話題を逸らして私に抱き付き甘え声を出している。

「確かに美味しかったけど、さっき一升瓶を持ち上げてみたら3分の2くらい減ってて怖かったよぉ!! 2人で1.2リットルって多すぎるよね?!」
「ねー♪ そりゃあ2人ともお酒臭くなっちゃうよねー♪ しかも初めてあんなにたくさんの日本酒を呑んだのに二日酔いにならなくて本当によかったよ~♪」

 ……そう。何よりも1番ビックリしたのは、とんでもない量を2人で消費したっていうのに二日酔いになっていないという私達のポテンシャルの高さだったんだ。

「俺もそれなりに酒強いとは思うけど、あーちゃんも結構お酒強いのかもね♡」
「晩酌するわけじゃないから嬉しくないよそんなのっ!」

 甘え声で私の頬をツンツンする彼に抵抗しようと、プーッと頰を膨らませてツンツンしにくいようにする私。

 一応は私もまだ怒っているつもりではあったんだけど……

「まあまあ、そんな怒らないでさぁ♪ 今から早めのランチ食べに行こうよ。俺の奢りで♡」

 りょーくんに抱き締められ、優しくゆらゆらと揺さぶられていたら

「奢りかぁ……」

 バイトを長らくしていない彼に奢ってもらうなんていう後ろめたさはあるものの……

(りょーくんが奢ってくれるんだったら、実は行きたいお店が1箇所だけあるんだよねぇ)

 と、欲が出てしまう。

「ランチのお店の候補あるなら行く? どの辺? バイクで行けそうな場所?」
「うーん……」
「えっ? そんなに遠いところ?」
「確かにちょっと遠いの。でもテラス席から見える景色が緑いっぱいで素敵らしくって」

 私が今候補地として頭に思い浮かべているのは、ここからちょっと遠く離れている個人経営の小さなレストランだ。
 実は「フラワーショップ田上」の奥さんがめちゃくちゃオススメしていて「亮輔くんのバイクでドライブがてら行ってみたら?」と言われた事があったんだ。

「緑いっぱいかぁ~なんか良さそう♪ 行こうよ行こうよ! ってか行ってみたらいいじゃん♪」
「うん……でも遠いよ? バイクでドライブするって感じになるくらい」

 確かに「奥さんがオススメするレストラン」って話をりょーくんにしたらめちゃくちゃ喜びそうではある。

「いいね! ニケツでドライブ♪ 夏でもバイクで風切って走るのめちゃくちゃ気持ちいいし♪」

 奥さんうんぬんの話をまだしてないのにりょーくんはもう行く気満々になっていて、私を抱きしめた状態でお尻のポケットに財布と鍵を突っ込むと、私ごと玄関まで歩いて移動する。

「あっ! 私のカバン! 取ってきてない!!」

 玄関で解放されたのでリビングに戻ろうとしたら

「あーちゃんは手ぶらでいいんだってば! さぁ行くよいくよー!!」

 私の足に靴を勝手に履かせて、外へそのまま連れ出されてしまった。

「ちょっとりょーくん引っ張らないでよー!」

 手ぶらで出掛けるなんて心許こころもとない感じがするけど……。
 昨夜はりょーくんに恥ずかしいこといっぱいされちゃったんだから、ランチはとにかく甘えてとびきり高いもの奢らせちゃおうかなぁなんて……

 なんだかんだで結局お酒の誘惑に乗ってベロンベロンに酔っ払っちゃった事も、変態エッチなりょーくんとの行為の数々も、全部受け入れて許してしまえたのだった。










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