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【番外編】リハビリ……じゃなくて
★1
しおりを挟むあの怖い出来事が過ぎて、またりょーくんと一緒に暮らせるようになった。
「んっ……あーちゃん上手……気持ちいいよ」
それはつまり、りょーくんとの肌の触れ合いもまた出来るようになったという意味にも繋がるんだけど、いつものイチャイチャとはだいぶ様変わりしていて……
「んあぁん……ちょっと難しいよぉ」
私は裸でりょーくんに抱きつきながら「耳攻め」というものに挑戦していた。
「何言ってんの? すっごく上手なのに」
「だって息を思いっきり吐いたらりょーくんの耳に悪いでしょ? 長時間息止めしながらピアス穴ペロペロするのってすっごく難しいんだよ!」
「余計な事は考えなくていいんだよ。思いきり鼻息とか吐息とかを俺の鼓膜にフーッてしてきてもビックリしないし、寧ろ興奮する♡」
恥ずかしさや難しさで全身を熱くしている私とは対象的に、りょーくんは飄々としている。
「でっ……でもぉ」
りょーくんは「鼻息や吐息を思いきり掛けちゃっていい」なんて言うけれど、こっが気にしてしまって息止めしちゃうのには理由がある。
りょーくんが私にしてくる耳舐めがめちゃくちゃ上手で息の吹き掛けもやわらかく舐め方もリップ音も何もかも私を心地良くしてくれるからだ。
「あーちゃんは俺の耳を触ったり舐めたりしてみたかったんでしょ?」
「うん……」
りょーくんとの同棲が再開したからといって、急にエッチな内容まで今までと元通りというのは流石に時期尚早だとりょーくんも私も考えていた。
だからこそこの「リハビリ」をして少しずつ私の体も心も慣らしていこうと考えも一致している。
「ピアスしてた頃も俺の耳に興味ありそうな雰囲気醸していたのも気付いてるよ」
「うん……だけど、ピアスって常に清潔にしておかないと耳が腫れるって聞いたから無闇に触ったり舐めたりしちゃダメかなぁなんて思ってて」
「そうだね、消毒を毎日しなきゃいけないわけじゃないんだけど清潔には気をつけないといけないかな。臭いが出たりするし」
「……だよね」
「でも今は全部外しちゃったよ。金輪際ココにピアスを嵌めるつもりはないし、臭いもしなくなったからあーちゃんはココを触り放題だし舐め放題♪」
「そうなんだけどっ! でもやっぱりドキドキしちゃうよぉ!
触ったり舐めたり出来るのは嬉しいし、私もしたいって前向きな気持ちではいるんだけど、りょーくんが私の耳を舐めてくれる時みたいに上手に出来ないから」
私の訴えにりょーくんは優しい微笑みをかけ、大きな掌で私の頭をなでなでする。
「こういう事をあーちゃんに言うのはどうなのかなって思うんだけどさ、俺にとってはあーちゃんのその下手っぷり含めてキュンキュンしちゃうんだよ。
俺は一応経験者だから、あーちゃんに初々しい感じとか辿々しい感じとか出せない。逆にそれがあーちゃんを優しく労わって気持ちよく心地良くさせる事が出来てるのかもしれないんだけど、内心俺だってあーちゃんに初めての経験を捧げたかったって思ってるんだよ」
そして、りょーくんの本音を聞いて私の体はピクンと跳ねた。
「えっ……」
「あーちゃんはこんな俺にいっぱい初体験を捧げてくれてる。だけど、俺にはあーちゃんに捧げられるエッチな触れ合いはほぼ無い。
それはね、すっごくもどかしいんだよ。経験があるからこそあーちゃんを怖がらせたり痛がらせたりしなくて済むって考え方も出来るけど、俺だってあーちゃんに何かを捧げたかった」
「りょーくん……」
「ソフレ作った過去は棄てられないし、それで俺の心が癒される瞬間もあった。
……だけど、あーちゃんへの片想いをもっともっと早くにしておけばと後悔もしてるよ」
「そんな事言わないで……」
私はりょーくんが経験者だから嫌なんて感じた事はない。ちょっと羨ましいなと思う時があるっていうだけで。
「だからね、俺にあーちゃんの初々しい触れ方をいっぱい経験させて? あーちゃんの下手な感じ含めて愛してるし、自分も初めてを追体験してる気になるから」
りょーくんは今、私に優しい微笑みを向けてくれてはいるんだけど眉だけ下げている。
「うん……」
それを見て「りょーくんが私に申し訳ないと思わせるような態度を取ってはいけないな」という気持ちになった。
「じゃあ、改めてもう一度。俺の耳をめいいっぱいエッチに攻めてね♡」
「うん♡」
私は彼の言葉に頷き、もう一度耳攻めに再挑戦した。
「んっ……」
彼の耳のどの部分に舌先を乗せても、小さな穴の窪みを感じる。
「んっ」
窪みにチョンと舌先を置いても……
「んふぅ」
チロチロ舌を動かしても
「っふううぅぅん」
吐息や声を思いきり振り掛けてしまっても、りょーくんは嫌がる事なく受け止め、嬉しそうに甘い声を漏らし、私の体をギュッと抱き締めてくれる。
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