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嵐は過ぎて……
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「私ね、オカルトとか非現実的な事は信じないタイプなんだけど、『皐月が教えてくれたのかな』ってちょこっとでも頭を過ぎるともうそれしか思えなくなっちゃう子どもみたいな女なの。
結果的に朝香ちゃんは怖い思いしてしまったし『助かって良かった』と完全にいえる状況ではないんだけど、でもやっぱりあの時亮輔くんに『タチの悪いダーツバーがどんな店か様子見に行ってみよう』なんて提案しなかったらと思うと……その方がすっごく怖くて」
夕紀さんは真面目な人だ。
いつもの夕紀さんなら、上原さんからそんなエピソードを聞かされた段階で「そんな店には近付かないようにしよう」と思う筈だ。
(しかも私、誰にもあの日ダーツバーへ行くなんて話をしてなかったんだし……)
あの男性と夕紀さんはメッセージ交換をしょっちゅう交わすくらいの仲にはなっていたけど、「私をどうにかしよう」と考えている時にわざわざ夕紀さんにダーツバーへ私と行く内容は伝えてなかったんじゃないかと予想している。
(りょーくんだけでなく夕紀さんも個室に入ってきた時、あの人ビックリしたような表情していたし……)
だからこそ、私がスマホの電波を拾いにフラフラしていた事も、店員さんに捕まえられて連れ戻された事も、それらをりょーくんと夕紀さんが見かけた事も……全部全部皐月さんからの思し召しって考えが浮かんじゃったら私だって信じてしまう。
「朝香ちゃんにとっては怖い思いをしてしまった夜だけど、それがあったからこそ私はあのマンションに住もうって余計に思っちゃったんだ『あのマンションのあの部屋に住んでいたら皐月がちゃんと私を導いてくれるかも』って。
……なんか変な信仰してる人みたいで気持ち悪いわね私。ごめんね朝香ちゃん亮輔くん」
だから、自虐する夕紀さんの言葉や眉を下げるその表情に私もりょーくんも黙って首を左右に振った。
「いいと思いますよ、先生は『雨上がりの女神』なんですから」
「私も信仰してるようなものですから。『雨上がりの女神』を」
「……ありがとう」
りょーくんと私が口々に言った言葉に、夕紀さんはニッコリと微笑み返してくれた。
「……あの日の夜の話はこれでおしまいね! 次は朝香ちゃんの今後についてなんだけど」
夕紀さんは次に、私が今後この店で働けるのかの確認をし始めた。
「はい」
私はその瞬間、身を強張らせたんだけど……
「結論から言うとね、村山隆盛は岩瀬さんの会社を辞めたの。朝香ちゃんに敢えて言わないけど、すっごく遠い地域で電車通勤もバス通勤もない仕事を既に始めてる」
「え……」
もうこの土地にあの男性が存在していない事実を聞かされ、小さな声のみを漏らす。
「あーちゃんが接近禁止命令の申し立てをしても良いとは思うんだけど念の為。でも時々どんな様子で暮らしているのか、こちら側との約束を守っているのか、店長が個人的に調べてくれるみたい」
りょーくんの捕捉に私はゆっくりと長い息を吐く。
(法的に、私の方から「近付かないで」と主張して守らせてもいい……だけどそれをしようとすると私はまた然るべき場所へ行ってまたこの話を説明しないといけない。
きっと夕紀さん達は私の気持ちの負担を考えてくれているんだ……)
「でも上原さんが個人的に調べるって……」
「店長はそういう調べ物、細かにやっちゃう人だし、依頼して送られてきたものは俺も立ち会って確認するんだ。あーちゃんは金銭的な事も何もかも気にしなくていいんだよ」
「でも」
「きっと上原さんなら、私達が『調べてほしい』なんてお願いしなくとも勝手にやっちゃうでしょ。皐月の一件で私も経験済みだからね」
私の「でも」に、夕紀さんもりょーくんも含み笑いをする。2人の笑みがなんとなく不気味だし、「確かに上原さんなら私がお願いしなくてもそういう調べ物をササッとしてしまいそう」と即座に納得した。
「……という事は、私は何の心配もなく夕紀さんのお店に居ていい……って事ですか?」
それから納得した事含め頭の中を整理し夕紀さんにそう確認すると
「その件についてはね……でもまた今後似たような事が起きるとも限らないでしょ? だからこそ試飲会のような事も今後中止しようかなって思ってる。豆の味を知りたいという理由での試飲はお客様の要望があった時には対応するけど『飲食タイムを過ぎても試飲出来ますよ』というアナウンスは廃止するの。焙煎機の見学だとかお客様をみだりに焙煎室やバックヤードに入れる事はしない。
勝手口に入れるのはあくまで私と朝香ちゃんと亮輔くん……基本的に私の信頼のおける人のみに限定するつもりよ」
「…………」
「いろんな人に珈琲の良さを知ってもらいたいという気持ちは私にはあるの。私自身、珈琲に助けられた事が数えきれないくらいあるから。
……だけど、気を緩ませ過ぎちゃいけないって私は今回物凄く反省したのよ。
今の時代、男性も女性も関係なく怖い思いをするのが当たり前になってきているでしょう?とはいえやっぱり『女性2人で切り盛りする店』っていうのは比較的狙われやすいとも感じるから、自衛出来るところはしっかり自衛しようと思って」
店のルールを改めて見直し、接客についての夕紀なりの考えを私に示してくれた。
「勿論、あーちゃんが『もう無理』って感じちゃったらお姉さんはそれでもいいって考えているし、あーちゃんが従業員からお客様になってしまってもお姉さんは変わらずあーちゃんに優しく接しようと考えているみたいなんだ。
俺、この3週間お姉さんの店の手伝いを通して『遠野夕紀さんなりの考え』っていうのを沢山聞いた。俺も、あーちゃんが心地良く生活していくのを1番に望みたいから『すぐに珈琲の仕事に戻ってほしい』なんて思えないし逆に『珈琲から離れてほしい』なんて考えてないよ。
とにかくあーちゃんが何の心配もなく楽しく生活しててほしい」
夕紀さんも真剣に私の事を考えてくれているし、りょーくんだってそれは同じだという事がしっかりと伝わる。
「さっき朝香ちゃんは『自分も雨上がりの女神を信仰してるようなもの』みたいな言葉を言ってくれたけど、私にはその気持ちだけで充分なのよ。今まで朝香ちゃんは私を支えてくれたって思うし充分助けられたから」
「わっ……私はっ!」
だから……
いや、だからといって……
私がこの選択を夕紀さんとりょーくんに告げるのは時期尚早かなとも思ったんだけど……
「私はっ! これからもずっと珈琲に向き合っていきたい……夕紀さんの元でもっともっと珈琲について学んで、夕紀さんみたいなコーヒーになれるよう焙煎も頑張って、りょーくんみたいに力強くなっていきたい。
今回は確かに怖いおもいをしましたが、私はやっぱり珈琲が大好きですし夕紀さんの事も大好きなんです! 従業員からお客になるなんて嫌ですし、この土地からも離れたくないです!!」
私は自分の考えをこの場で夕紀さんりょーくんにハッキリと示した。
「朝香ちゃん……」
「あーちゃん……」
「ですからこれからも……この先もずっとずっと私をここに置かせて下さい!
私は珈琲も夕紀さんもりょーくんもすっごくすっごく大好きだし、これからもっともっと強い女性に…人間になりたいから!!」
結果的に朝香ちゃんは怖い思いしてしまったし『助かって良かった』と完全にいえる状況ではないんだけど、でもやっぱりあの時亮輔くんに『タチの悪いダーツバーがどんな店か様子見に行ってみよう』なんて提案しなかったらと思うと……その方がすっごく怖くて」
夕紀さんは真面目な人だ。
いつもの夕紀さんなら、上原さんからそんなエピソードを聞かされた段階で「そんな店には近付かないようにしよう」と思う筈だ。
(しかも私、誰にもあの日ダーツバーへ行くなんて話をしてなかったんだし……)
あの男性と夕紀さんはメッセージ交換をしょっちゅう交わすくらいの仲にはなっていたけど、「私をどうにかしよう」と考えている時にわざわざ夕紀さんにダーツバーへ私と行く内容は伝えてなかったんじゃないかと予想している。
(りょーくんだけでなく夕紀さんも個室に入ってきた時、あの人ビックリしたような表情していたし……)
だからこそ、私がスマホの電波を拾いにフラフラしていた事も、店員さんに捕まえられて連れ戻された事も、それらをりょーくんと夕紀さんが見かけた事も……全部全部皐月さんからの思し召しって考えが浮かんじゃったら私だって信じてしまう。
「朝香ちゃんにとっては怖い思いをしてしまった夜だけど、それがあったからこそ私はあのマンションに住もうって余計に思っちゃったんだ『あのマンションのあの部屋に住んでいたら皐月がちゃんと私を導いてくれるかも』って。
……なんか変な信仰してる人みたいで気持ち悪いわね私。ごめんね朝香ちゃん亮輔くん」
だから、自虐する夕紀さんの言葉や眉を下げるその表情に私もりょーくんも黙って首を左右に振った。
「いいと思いますよ、先生は『雨上がりの女神』なんですから」
「私も信仰してるようなものですから。『雨上がりの女神』を」
「……ありがとう」
りょーくんと私が口々に言った言葉に、夕紀さんはニッコリと微笑み返してくれた。
「……あの日の夜の話はこれでおしまいね! 次は朝香ちゃんの今後についてなんだけど」
夕紀さんは次に、私が今後この店で働けるのかの確認をし始めた。
「はい」
私はその瞬間、身を強張らせたんだけど……
「結論から言うとね、村山隆盛は岩瀬さんの会社を辞めたの。朝香ちゃんに敢えて言わないけど、すっごく遠い地域で電車通勤もバス通勤もない仕事を既に始めてる」
「え……」
もうこの土地にあの男性が存在していない事実を聞かされ、小さな声のみを漏らす。
「あーちゃんが接近禁止命令の申し立てをしても良いとは思うんだけど念の為。でも時々どんな様子で暮らしているのか、こちら側との約束を守っているのか、店長が個人的に調べてくれるみたい」
りょーくんの捕捉に私はゆっくりと長い息を吐く。
(法的に、私の方から「近付かないで」と主張して守らせてもいい……だけどそれをしようとすると私はまた然るべき場所へ行ってまたこの話を説明しないといけない。
きっと夕紀さん達は私の気持ちの負担を考えてくれているんだ……)
「でも上原さんが個人的に調べるって……」
「店長はそういう調べ物、細かにやっちゃう人だし、依頼して送られてきたものは俺も立ち会って確認するんだ。あーちゃんは金銭的な事も何もかも気にしなくていいんだよ」
「でも」
「きっと上原さんなら、私達が『調べてほしい』なんてお願いしなくとも勝手にやっちゃうでしょ。皐月の一件で私も経験済みだからね」
私の「でも」に、夕紀さんもりょーくんも含み笑いをする。2人の笑みがなんとなく不気味だし、「確かに上原さんなら私がお願いしなくてもそういう調べ物をササッとしてしまいそう」と即座に納得した。
「……という事は、私は何の心配もなく夕紀さんのお店に居ていい……って事ですか?」
それから納得した事含め頭の中を整理し夕紀さんにそう確認すると
「その件についてはね……でもまた今後似たような事が起きるとも限らないでしょ? だからこそ試飲会のような事も今後中止しようかなって思ってる。豆の味を知りたいという理由での試飲はお客様の要望があった時には対応するけど『飲食タイムを過ぎても試飲出来ますよ』というアナウンスは廃止するの。焙煎機の見学だとかお客様をみだりに焙煎室やバックヤードに入れる事はしない。
勝手口に入れるのはあくまで私と朝香ちゃんと亮輔くん……基本的に私の信頼のおける人のみに限定するつもりよ」
「…………」
「いろんな人に珈琲の良さを知ってもらいたいという気持ちは私にはあるの。私自身、珈琲に助けられた事が数えきれないくらいあるから。
……だけど、気を緩ませ過ぎちゃいけないって私は今回物凄く反省したのよ。
今の時代、男性も女性も関係なく怖い思いをするのが当たり前になってきているでしょう?とはいえやっぱり『女性2人で切り盛りする店』っていうのは比較的狙われやすいとも感じるから、自衛出来るところはしっかり自衛しようと思って」
店のルールを改めて見直し、接客についての夕紀なりの考えを私に示してくれた。
「勿論、あーちゃんが『もう無理』って感じちゃったらお姉さんはそれでもいいって考えているし、あーちゃんが従業員からお客様になってしまってもお姉さんは変わらずあーちゃんに優しく接しようと考えているみたいなんだ。
俺、この3週間お姉さんの店の手伝いを通して『遠野夕紀さんなりの考え』っていうのを沢山聞いた。俺も、あーちゃんが心地良く生活していくのを1番に望みたいから『すぐに珈琲の仕事に戻ってほしい』なんて思えないし逆に『珈琲から離れてほしい』なんて考えてないよ。
とにかくあーちゃんが何の心配もなく楽しく生活しててほしい」
夕紀さんも真剣に私の事を考えてくれているし、りょーくんだってそれは同じだという事がしっかりと伝わる。
「さっき朝香ちゃんは『自分も雨上がりの女神を信仰してるようなもの』みたいな言葉を言ってくれたけど、私にはその気持ちだけで充分なのよ。今まで朝香ちゃんは私を支えてくれたって思うし充分助けられたから」
「わっ……私はっ!」
だから……
いや、だからといって……
私がこの選択を夕紀さんとりょーくんに告げるのは時期尚早かなとも思ったんだけど……
「私はっ! これからもずっと珈琲に向き合っていきたい……夕紀さんの元でもっともっと珈琲について学んで、夕紀さんみたいなコーヒーになれるよう焙煎も頑張って、りょーくんみたいに力強くなっていきたい。
今回は確かに怖いおもいをしましたが、私はやっぱり珈琲が大好きですし夕紀さんの事も大好きなんです! 従業員からお客になるなんて嫌ですし、この土地からも離れたくないです!!」
私は自分の考えをこの場で夕紀さんりょーくんにハッキリと示した。
「朝香ちゃん……」
「あーちゃん……」
「ですからこれからも……この先もずっとずっと私をここに置かせて下さい!
私は珈琲も夕紀さんもりょーくんもすっごくすっごく大好きだし、これからもっともっと強い女性に…人間になりたいから!!」
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