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落ち葉降る
★2
しおりを挟む日曜日の朝になり、りょーくんと約束していたデートの日がやってきた。
「おはよ」
「楽しみだね、あーちゃん」
「うんっ! 天気も良さそう……だねっ」
昨日は、先々週に休んだ分の振り替えとして午後から夜までバイト。バイトを辞めてしまったりょーくんはお店に新しく飾るクリスマスオーナメント作成を頑張ってくれていた。
休日なのに一緒に居られる時間が少なかったから、昨夜のエッチは激しめだった。
「あーちゃんどうしたの?」
だから、起き上ってスマホの天気予報チェックしてる間もお股からピリッと痛みが走ってつい眉を下げてしまう。
「えっと……昨日のエッチが濃厚だったから、お股が」
ついさっきまで全裸で添い寝していた彼氏にこんな事を正直に話すのは恥ずかしい。
「ごめんあーちゃん! 昨夜ヤリ過ぎたよね……ちょっと見せて」
「ええ!?」
りょーくんは申し訳なさそうな表情ですぐ心配してくれたんだけど、朝っぱらから「お股の具合を見せて」というのは変態過ぎないかな?なんて思う。
「なんでそこに驚くかなぁ……あーちゃんの大事な部分が赤くなってたり擦り切れたりしてないか見るだけなのに♡」
変態過ぎる提案なのに、黒髪ショートマッシュのりょーくんは爽やかでにこやかな笑顔を私に向けていて
「それって彼氏の役目ぇ?」
あまりにも爽やかな雰囲気でいるものだからついそういう確認をしてしまった。
「彼氏じゃなかったら逆に誰の役目ぇ?」
その質問は彼をちょっとイラつかせてしまったみたいで、目が怒りの色に変わる。
「へ?」
「いいから見せて! 本当にエッチ目的じゃないんだからっ!」
「きゃあ!」
逆ギレしてきたりょーくんに押し切られ、私はまた仰向けに寝転ばされ、男性的な強い力で両脚をグイグイ押される。
「ど、どうかなぁ?」
ベッドルーム内の空気は秋らしくひんやりとした爽やかさを保っているというのに、私の下半身だけは開脚しながら高々と上げられるという羞恥な体勢にさせられていて梅雨時のような湿り気を帯びている。
「うーん……もうちょっとよく見せてっ!」
「きゃあ!」
りょーくんは真面目な声で私の膝裏に手を添え、更にぐりんとお尻を上げさせる。
「うーん……中は紅いけど、入り口とか肌はいつも通り普通……かなぁ」
(りょーくんはかなり真面目な声を出してるけど体勢がめちゃくちゃ恥ずかしいよぉ!! リビングからの朝の光が差し込む中やっていいヤツ?? ダメなヤツじゃない??)
「紅くなってないならもういいよぉ! この体勢戻してっ!」
「でもあーちゃんは痛いんだろ? 敏感な部分だし大切に扱わないと」
いち早くこの体勢を解いてほしいのに彼は私の意見をスルーして更に顔を近付け……ペロンとお股全体をひと舐めする。
「うひゃあああああんっ!!」
ビックリと快感が入り混じった声が出た私を、りょーくんはねっとりとした目付きで見つめながら妖しく微笑む。
「美味しそうだったからつい♡」
「つい、じゃないよぉりょーくんの変態っ!!」
私が怒ってもりょーくんの妖しげな微笑みが変わらなくて余計にムカつく。
(さっきはエッチな目的じゃないとか言ってたのに舐めちゃうんだからっ!! りょーくんのド変態っ!! ドスケベっ!!)
「でも気持ち良かったでしょ。ピリッとした痛みとかあった?」
「それは……」
……とはいえ、彼の「気持ち良かったでしょ」の疑問形でない問い方に私は頬を熱くし言葉に詰まる。
「じゃ、フーッて息を吹きかけてみるね♡」
それから今度は湿り気の残るお股にゆっくりと息を吹きかけられた私は
「あっ、は、あ……やあああああああぁぁぁぁぁぁ♡」
「吐息が敏感なデリケートゾーン振りかけられる」というシチュエーションや強制的に熱を奪われるという急な刺激にまた私は喘ぎ声を出してしまって……
「うーん……大丈夫そうかなぁ。デート中に痛くなったら遠慮なく言ってねあーちゃん♪」
そこでフッと私は下半身を解放され、脚をビクビク震わせる。
(もうっ……朝からエッチで意地悪過ぎるよぉ)
「あーちゃん喉渇いてない? お水持ってきてあげるね」
脚のガクガクが止まるまでの間、りょーくんは私の体にふわりと毛布を掛けてくれ、引き戸やカーテンを全開にして部屋に光を取り込んだり水を汲みに行ったりしてくれる。
「ぁっ……」
「ありがとう」を言いたかったけどまだ息が絶え絶えで彼にはその声が届かない。
「………はああぁ」
ガクガクがようやく止まって私が大きく息を吐いたと同時にりょーくんがグラス入りの水を持って戻ってきてくれた。
「はい、水分補給して♪」
彼がチェストにコトッとグラスを置いてくれたから、私は上半身を起こして「ありがとう」を再び言おうとしたんだけど
「でも、その前にあーちゃんのホクロにキスしなくちゃ♡」
と、彼は毛布の中に頭を突っ込んで私の両脚をM字開脚に無理矢理させて……!!
「あっ! や……きゃああんっ!!」
脚の付け根をチュウッ!!と強く吸われた感触や痛みに私は傾けてていた上体を再び枕に戻す。
「よしっ、これでOK♪」
「『これでOK』じゃ、ないよぉ!! なんでそんなところにキスマーク付けたの? しかもいきなり!!」
私の言葉にりょーくんは全く悪びれもせず
「今日はミニスカートで電車乗るから、『おまじない』だよ」
と、以前キスマークを付けてきた時と全く同じ理由をサラリと答えた。
「『おまじない』って!! 前と場所が違うしこんなとこ絶対に見られる筈がないし」
「『絶対』なんてないよ」
「へ?」
「割と本気だよ、俺はね」
毛布から顔を出したりょーくんは口角を上げていて、本気で「痴漢されないおまじない」があるかのような表情をしている。
(絶対なんてないって……確かにそうかもしれないけどっ!)
私が被害を受けていたのはお尻だけで、それも撫でられる程度で済んでいた。
だけど痴漢という犯罪行為はその程度で済まないという危険性をりょーくんはとても良く知っていたようで、短いセリフの中にも怒りや私を大事に思う気持ちがビシバシと伝わる。
「痴漢はっ……私だってちゃんと気をつけるしっ!」
「今のあーちゃんは一層エロ可愛くなってるから心配なんだよこれでも。まぁ、俺があーちゃんをしっかり守るから他の男に指一本触れさせる気はないけどね」
「……ぅ」
堂々としたイケメンフェイスでそこまで言われると……ちょっと嬉しくなっちゃう。
「だから、あーちゃんは安心してミニスカート履いて♡ 俺の目の前で生脚を存分に曝け出して構わないから♡」
「うっ」
りょーくんはかっこいいけど変態だ。
痴漢防止を考えるならそもそもミニスカートも生脚もしなきゃいいだけの話なのに、そこはどうしても目に焼き付けておきたいみたい。しかも室内ではなく敢えての青空の下で。
「りょーくんったら、もうっ」
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