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落ち葉降る
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しおりを挟む「今度の休みにさ、電車に乗って紅葉見に行かない?」
「紅葉?」
秋深まる11月下旬。
りょーくんから意外な外デートのお誘いを受けた。
「もうモミジが紅いんだね。そんな時期なのかぁ……」
確かに、朝晩はすっごく寒いのに昼間はポカポカとして寒暖差の激しさを肌で感じる。落葉樹の色づきにはもってこいの時期だ。
「今がちょうど見頃らしいよ。イチョウ並木なんて木だけじゃなくて地面も真っ黄色でとても綺麗みたいでさ。
朝から歩き回ると疲れるだろうから昼間はゆっくり映画を観て、夕方から紅葉のお散歩ってどうかな?ライトアップされているモミジも綺麗だし、街灯に照らされたイチョウの木からはらはら葉が落ちるのを見るのも綺麗だと思うんだ」
「電車に乗って、映画と……紅葉のお散歩かぁ……確かに良いかも」
「あーちゃんもそう思う? 最近、大学の帰りをバイクで送れなくなったからスカート履く日も増えたでしょ? この前の広島帰省で秋服もだいぶ増えたし……」
「それってストレートな意味で『私の秋服が見たい』って話?」
外デートのお誘いは嬉しいし、デートプランも素敵だと思うんだけど、りょーくんの口から出た「秋服」のワードに私は気付いてしまった。
「…………」
途端にりょーくんの目線が私から逸れる。
「やっぱり! 気まずそうなリアクション取ってるし!」
「…………」
確かに誕生日で色々服を貰っただけでなく、この前の広島帰省で私は沢山服を買った。
高校時代の友達みんなに「似合う似合う」って持ち上げられてテンション上がっちゃって、購入した服を段ボールに詰めて宅配便で送らなきゃいけないくらい大量買いしてしまったくらい。
今もその時買った服を身に付けてはいるんだけど、まだまだ袖を通してない服もあって……。
「りょーくん?」
私はワザと、真澄がよくやるジト目を真似てりょーくんを見つめてみる。
「…………ほら、ミニスカートとかさぁ……せっかく買ったのに着ないのはもったいないっていうか」
「やっぱり! りょーくんのエッチ!!」
頬を赤らめながら出た彼の本音に、私は頬を膨らませる。
りょーくんは、私が勢いのみで購入した際どい丈のミニスカートを履いてほしいらしい。
「ミニのプリーツスカート、せっかく買ってたのにまだ履いてるとこ見てなかったからさ……見たいなーって思って」
「だってあのスカート、真澄がプレゼントしてくれたニットワンピよりも丈が短いんだよ? ロングブーツまだ買ってないから脚が余計に丸出しになっちゃう!」
「ブーツはあのショートブーツでも良いんじゃないかな? あーちゃんは脚のムッチリ感を気にしてるみたいだけど、俺はあーちゃんの脚キレイだと思ってるよ」
「真澄と比べたら太いもんっ!」
「比較対象が矢野だからだろ。もっと大勢の女性の脚と比較しなきゃ♪」
「その発言変態っぽいぃ~」
確かに、サプライズ誕生日の日は白のニットワンピにショートブーツを履いた私の姿をみんな褒めてくれた……けど、流行りとはいえ膝上20㎝から足首まで生脚っていうのはちょっと恥ずかしい。だからサプライズ誕生日以後ニットワンピは着ていないし広島で買ったミニ丈のプリーツスカートも履いていなかった。
「映画はあーちゃんが1番観たい映画優先するからさぁ、ミニスカート履いてデートしようよ。ねっ♡」
変態と私が罵っても堪える気配がないりょーくんは、甘えた声を出してスリスリと可愛らしく私に擦り寄る。
「でも、電車に乗るんだよね?」
「お姉さんがプレゼントしたっていうオシャレコート羽織れば大丈夫だよ。電車内は痴漢に遭わないよう俺がしっかりとあーちゃんをガードしてあげるから」
「コートでミニスカートが隠れるなら、そもそもミニスカートにする意味……」
「あるよっ! 映画みたいな暗いところならコート脱いでもミニスカート姿で居られるし、夕食は個室にしちゃえば俺しか見えないよ?」
「………」
つまりは、りょーくんが間近で私のミニスカートや生脚を堪能したいという意味だ。
「紅葉見に行く観光客は誰が何着てるなんて目に行かないだろうし、ミニスカート履くなら絶好のタイミングだと思うんだけどなぁ~」
「確かに……せっかく買った可愛いスカートなのに履くタイミングを失っているかも……」
りょーくんの邪な考えが気になるけど、彼の意見も一理ある。
「俺も可愛いと思うよ。あのスカートも、スカート履いてるあーちゃんも♡」
「そうかなぁ」
(黒髪になって以来甘え上手になっている気が……)
今までの金髪ウェーブなりょーくんもかっこよくてドキドキキュンキュンしてはいたけど、この頃は特に別の意味合いでドキドキキュンキュンの頻度が増えたように感じる。
今だってりょーくんの甘えたスリスリ攻撃やかっこ可愛い微笑みに私の気持ちが揺れているんだから。
金髪時代からりょーくんの少年っぽさっていうか可愛らしさを時々感じてはいたんだけど、今の黒髪マッシュショートのヘアスタイルになって以降はこういう甘えシチュエーションが増えて絆されまくってるような気がしている。
(最近のりょーくんは甘え上手になってる気がして余計にドキドキしちゃうんだよね。ヘアスタイルが特に私のキュンを刺激するというか……)
「せっかく買った服も可哀想だよ。あーちゃんのお友達だって『似合う』って薦めてくれたんだからさっ♪」
「確かに……私の友達はみんな、そう言ってくれてはいた……し」
「ほら~広島のお友達も大絶賛だったんだろ?お墨付きもらってんじゃん♡
地元のお友達に褒められたあーちゃんの服装見たいなー♪ あーちゃんの可愛いミニスカート姿を見たいなー♪」
「うぅ」
甘えながら私の耳朶に軽くチュッチュッとキスをしてくるりょーくんに脳も心臓もキャパオーバーになっちゃって
「も~……仕方ないなぁ」
という声が自然と出て彼のお願いをきいてあげる。
「やった♡ あーちゃん大好き♡」
りょーくんはリアルに喜んだみたいで耳朶のキスから甘い囁きに変え
「やあぁぁぁぁん♡♡♡」
全身の力がクタッと抜け、彼に体を完全に預けた。
「喋っただけなのにトロトロ顔だねあーちゃん♪」
りょーくんは私の顔を見つめてニッと笑うと、低い声で私を更に煽る。
「はうぅ♡」
りょーくんの甘え声も低い声も大好き。
「あーちゃんの耳にいっぱいキスしたい♡」
私は既にそうなっちゃってるけど、りょーくんもエッチな気分が高まっているのがよく分かる。
「映画観てる最中、耳にエッチなキスしないならいいよ……」
私は胸もお尻も弱いけど、耳も結構弱い。
「分かった♡ 映画の時は囁いたり、耳にキスしたりしないよ♡」
「ああん♡♡♡」
今日は耳責めから、エッチな時間が始まった。
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