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解けない魔法
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「あのねあーちゃん、実はプレゼントが他にもあるんだ」
「他にも?」
(今までもたくさんもらったのにまだプレゼントがあるなんて!)
りょーくんはチェストの引き出しを開け、ガラスケースを2つ取り出して
「あーちゃんの手……小さくて可愛いなぁ」
ガラスケースをベッドの上に置き、私の手を優しく指で撫でながらピンク色の方のケースの蓋を開ける。
「えっ?!」
りょーくんは一度だけ、深く深呼吸をしてから、「俺の目を見て」と言って私をりょーくんの顔の方へ向けさせる。
「まだいつになるか分からないけれど……社会人になってあーちゃんを守れる一人前の男になったら 俺と結婚して下さい」
そう言って、ケースから取り出したものを私の左の薬指にゆっくりと嵌めた。
「これってもしかしてエンゲージリング?」
薬指でキラキラと光る指輪に視線を落としながら呟くと、りょーくんは「そんないいものじゃないから」と言い返す。
「普通のステディリングなんだ俺とペアの。本物はあーちゃんを守れるようになってから改めてプレゼントするつもり」
「ううん。私にとってはこれがエンゲージリングだもん! りょーくんの言葉も、この指輪も大切にする!!」
「だから違うって。いきなり今本物を渡してドン引きされるのが怖かったし、ステディリングに憧れがあったからあーちゃんとペアで身に付けたいってずっと思ってたんだ」
「りょーくん……」
「あーちゃん……さっきの返事、聞かせてもらえる?」
微笑むりょーくんに見つめられて一層胸がドキドキして緊張してきて……うまく答えられるか心配だったから、ゆっくりはっきりと返事をした。
「私はりょーくんとずっとずっと一緒に居たいです。これからもずっとよろしくお願いします」
それから私も、もう1つのガラスケースの蓋を開けて、りょーくんの左指に指輪を嵌めた。
「りょーくん、これからりょーくんともっともっと仲良くなって私も立派な珈琲焙煎士として成長出来たら私と結婚して下さい」
指輪が嵌められた2人の指が強く絡んでいって……
どちらからともなく口付けを交わし、舌も濃密に絡んでいく。
「ん……」
唇を離すとりょーくんは目を潤ませていて
「はい、俺はあーちゃんとずっとずっと一緒に居たいです。これからももっともっと仲良くして下さい。よろしくお願いします」
とても嬉しそうに、りょーくんは返事をしてくれた。
「スパークリングワインの気が抜けちゃったね。ボトルもぬるくなってるかも」
グラスに注いだはいいけどすっかり飲むのを忘れてずっと話をしていた所為で、ボトルやグラスの周りは水滴でビタビタになっていた。
「ぬるくてもきっと美味しいよ。りょーくんが選んでくれた可愛いお酒だから」
「初めてのアルコールなのになんかごめんね……じゃ、乾杯」
「乾杯♪」
2人一緒に軽くグラスを持ち上げてピンク色の可愛いお酒を楽しんだ。
「どう? あーちゃんの人生初のお酒の味は」
「甘くて飲みやすくて美味しいよ♡」
「良かった。確かに飲みやすくて美味しいね。クイクイ進みすぎないようにしなくちゃ酔っ払っちゃう♡」
「酔っ払っていいのにぃ♡」
「酔っ払っていいのはあーちゃんの方だよ。酔ったらどうなるのか知りたいし♡」
「やぁん♡」
スパークリングワインに口を付けながら甘くイチャイチャな会話を交わす。
「それにしても、私の指輪のサイズよく分かったね」
コクコク飲みながら私は思い出したようにりょーくんに訊くと、彼はクスクス笑って
「矢野があーちゃんの指触ってたの気が付かなかった?」
と言い出す。
「真澄が私の指って……ああ! あの時だ!!」
そういえば真澄に指をふにふに揉まれた上に指毛を指摘された事があった。しかもその後で真澄はスマホを弄っていた気がする。
「正確には分からないけど矢野よりほんのちょっと関節が太かったらしくて、仕事中に外しやすいようにこの大きさにしたんだ」
「あの時真澄は私の指の太さをりょーくんに伝えてたんだね」
関節が太いって恥ずかしいけど、これであの時の真澄の行動に納得がいった。
「あーちゃんの指に嵌めるまで内心ドキドキだったんだよサイズ合ってるか心配で。矢野より太めって事しか把握出来てなかったから」
「太めって言われると恥ずかしいよ! 真澄が細いだけだもん。私は普通だもんっ!」
「でも俺からしてみれば充分細いよ。俺関節太いからねー……シルバーリングは太めのデザインだからバレにくいけどこういう細身の指輪だと付け根だけ細いからブカブカに見えるんだ」
りょーくんはまだクスクス笑いを続けていて、自分の左手薬指を私に見せる。
「ホントだ付け根がすごく細く見える。ステディリングも太めのデザインにすれば良かったのに」
「太めにしたらあーちゃんの指に似合わなくなるから。それに、太いのは今までもいっぱい持ってるしこれが良かったんだ」
ブカブカに見えちゃう指輪でも、彼にとっては満足みたい。
その表情や声に私も自然と笑顔になった。
「他にも?」
(今までもたくさんもらったのにまだプレゼントがあるなんて!)
りょーくんはチェストの引き出しを開け、ガラスケースを2つ取り出して
「あーちゃんの手……小さくて可愛いなぁ」
ガラスケースをベッドの上に置き、私の手を優しく指で撫でながらピンク色の方のケースの蓋を開ける。
「えっ?!」
りょーくんは一度だけ、深く深呼吸をしてから、「俺の目を見て」と言って私をりょーくんの顔の方へ向けさせる。
「まだいつになるか分からないけれど……社会人になってあーちゃんを守れる一人前の男になったら 俺と結婚して下さい」
そう言って、ケースから取り出したものを私の左の薬指にゆっくりと嵌めた。
「これってもしかしてエンゲージリング?」
薬指でキラキラと光る指輪に視線を落としながら呟くと、りょーくんは「そんないいものじゃないから」と言い返す。
「普通のステディリングなんだ俺とペアの。本物はあーちゃんを守れるようになってから改めてプレゼントするつもり」
「ううん。私にとってはこれがエンゲージリングだもん! りょーくんの言葉も、この指輪も大切にする!!」
「だから違うって。いきなり今本物を渡してドン引きされるのが怖かったし、ステディリングに憧れがあったからあーちゃんとペアで身に付けたいってずっと思ってたんだ」
「りょーくん……」
「あーちゃん……さっきの返事、聞かせてもらえる?」
微笑むりょーくんに見つめられて一層胸がドキドキして緊張してきて……うまく答えられるか心配だったから、ゆっくりはっきりと返事をした。
「私はりょーくんとずっとずっと一緒に居たいです。これからもずっとよろしくお願いします」
それから私も、もう1つのガラスケースの蓋を開けて、りょーくんの左指に指輪を嵌めた。
「りょーくん、これからりょーくんともっともっと仲良くなって私も立派な珈琲焙煎士として成長出来たら私と結婚して下さい」
指輪が嵌められた2人の指が強く絡んでいって……
どちらからともなく口付けを交わし、舌も濃密に絡んでいく。
「ん……」
唇を離すとりょーくんは目を潤ませていて
「はい、俺はあーちゃんとずっとずっと一緒に居たいです。これからももっともっと仲良くして下さい。よろしくお願いします」
とても嬉しそうに、りょーくんは返事をしてくれた。
「スパークリングワインの気が抜けちゃったね。ボトルもぬるくなってるかも」
グラスに注いだはいいけどすっかり飲むのを忘れてずっと話をしていた所為で、ボトルやグラスの周りは水滴でビタビタになっていた。
「ぬるくてもきっと美味しいよ。りょーくんが選んでくれた可愛いお酒だから」
「初めてのアルコールなのになんかごめんね……じゃ、乾杯」
「乾杯♪」
2人一緒に軽くグラスを持ち上げてピンク色の可愛いお酒を楽しんだ。
「どう? あーちゃんの人生初のお酒の味は」
「甘くて飲みやすくて美味しいよ♡」
「良かった。確かに飲みやすくて美味しいね。クイクイ進みすぎないようにしなくちゃ酔っ払っちゃう♡」
「酔っ払っていいのにぃ♡」
「酔っ払っていいのはあーちゃんの方だよ。酔ったらどうなるのか知りたいし♡」
「やぁん♡」
スパークリングワインに口を付けながら甘くイチャイチャな会話を交わす。
「それにしても、私の指輪のサイズよく分かったね」
コクコク飲みながら私は思い出したようにりょーくんに訊くと、彼はクスクス笑って
「矢野があーちゃんの指触ってたの気が付かなかった?」
と言い出す。
「真澄が私の指って……ああ! あの時だ!!」
そういえば真澄に指をふにふに揉まれた上に指毛を指摘された事があった。しかもその後で真澄はスマホを弄っていた気がする。
「正確には分からないけど矢野よりほんのちょっと関節が太かったらしくて、仕事中に外しやすいようにこの大きさにしたんだ」
「あの時真澄は私の指の太さをりょーくんに伝えてたんだね」
関節が太いって恥ずかしいけど、これであの時の真澄の行動に納得がいった。
「あーちゃんの指に嵌めるまで内心ドキドキだったんだよサイズ合ってるか心配で。矢野より太めって事しか把握出来てなかったから」
「太めって言われると恥ずかしいよ! 真澄が細いだけだもん。私は普通だもんっ!」
「でも俺からしてみれば充分細いよ。俺関節太いからねー……シルバーリングは太めのデザインだからバレにくいけどこういう細身の指輪だと付け根だけ細いからブカブカに見えるんだ」
りょーくんはまだクスクス笑いを続けていて、自分の左手薬指を私に見せる。
「ホントだ付け根がすごく細く見える。ステディリングも太めのデザインにすれば良かったのに」
「太めにしたらあーちゃんの指に似合わなくなるから。それに、太いのは今までもいっぱい持ってるしこれが良かったんだ」
ブカブカに見えちゃう指輪でも、彼にとっては満足みたい。
その表情や声に私も自然と笑顔になった。
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