【完結】雨上がりは、珈琲の香り②

チャフ

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私達の親友

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「ほおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉ」

 玄関でりょーくんと2人きりで幸せ気分に浸っていたら、背後から真澄の声が大きくしかもロングトーンで響き渡ってビックリした。

「やっ……矢野っ!!」
「真澄っ!! なんで廊下に居るの?」
 
 りょーくんもこれにはめちゃくちゃ驚いたみたいで、私からハグの腕をパッと離して後退あとずさりする。

「なんで? って聞かれる程でもないでしょ。この部屋の家主のご帰宅よ? 客の私だって『お邪魔してます』の一言くらい言いに行くもんでしょ」

 ビックリしている私達に対して、真澄は不敵な笑みをキープしながら割と正当な意見を淡々と述べた。

「家主のご帰宅ってまぁ……りょーくんは家主だけど」
「っていうか、私と亮輔くんと朝香の仲を考えれば、ダイニングテーブルの椅子にちょこんと座って大人しく待ってる訳ないって気付くでしょ」
「「!!」」
「まぁ、確かに『お邪魔』しちゃったわね~~~♡♡♡ 同棲カップルのイチャイチャに首突っ込んじゃったんだもの♡」
「「!!!!」」

 私の顔は真澄に向けられているから、りょーくんの今のリアクションや表情を確認出来ない。だけど、私と同じ反応をしてるって事だけは肌で感じる。

「しかも『あーちゃん』とか『りょーくん』って呼び合ってたのねぇ~~~♪ トモが聞いたら私以上に揶揄からかってるかもぉ♪」
「あっ……矢野っ! これは……」
「大学だからとはいえ私達くらいには『いつもの姿』を見せて構わないのよ? 亮輔くん。私だってトモだって亮輔くんの親友って思ってるんだから、よそよそしく名字呼びしなくたって」
「ああああああああ!! 矢野っ!!」

 真澄の言葉に背後のりょーくんは慌てふためき

「これは……ねっ!! 彼と相談して決めたってよりは、なんとなくっ! なんとなーくで呼び名を変えてただけでっ!」

 私は真澄に弁解しながら、背後を振り向く。

「っ……」

 りょーくんは今まで見た事ないくらい赤面してて……。

「……っ」

 その表情につられ、私も本日何度目か分からないくらい体を熱くさせてしまう。

「もーっ! なんかぁ私が2人に意地悪してるみたいじゃん!」

 真澄は唇をタコみたいに尖らせ、りょーくんの手を引き

「ほらほら亮輔くんっ! 靴脱いで朝香のコーヒー飲もうよ。ちょっと小腹も空いてきたところだしっ!」

 と、この場の空気をなんとかしようとりょーくんをリビングへとグイグイ引っ張っていってしまった。



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