20 / 251
苦手を好きで補っていく
3
しおりを挟む「だけどまぁ偶然にも遠野の妹分である朝香ちゃんと恋仲になるとはねー! そうなっちゃったら俺も嫁さんも余計に応援せざるを得ないよ!
美優も金色のお兄ちゃん好きだもんなー?」
田上さんは急にニカッと明るく笑って美優ちゃんに同意を求めて
「うんっ!! おにいちゃんね、とってもかっこいーの!!」
美優ちゃんは口の周りを白くしながら田上さんと同じようにニカッと笑ってくれた。
「ありがとう美優ちゃん。お兄ちゃんに『美優ちゃんが褒めてたよ』って伝えておくね!」
「おにいちゃん、また来る?」
「うん、また美優ちゃんに会いに行くって言ってたよ」
本当はりょーくんから具体的に美優ちゃんの話題を私にしてくれた事はなかったんだけど、りょーくんが皐月さんのお参りの許可を夕紀さんから得ていたので嘘のないレベルで私はそう返答してあげた。
「じゃあ、そろそろ俺ら帰るよ。コーヒーと牛乳ごちそうさま」
田上さんは美優ちゃんを抱っこしながらそう言うと、夕紀さんに手を振りながら勝手口の方へ進んでいく。
「うん、またね田上くん」
「田上さんおやすみなさい」
私と夕紀さんも田上さん親子に手を振りながら見送り……それから自然と顔を向き合わせる。
「朝香ちゃん、亮輔くんの元気がなくて悩んでるでしょ?」
「えっ?」
「顔に書いてあるもの。だから田上くんも察して先に帰ってくれたんだよ」
「ええっ???! 書いてましたか? 私の顔!!」
夕紀さんはクスクス笑いながらコーヒー豆をまた挽いて湯を沸かし始める。
「だーって朝香ちゃんにとっては同棲スタートして初めての週末でしょ? しかも彼のハロウィンオーナメントを持ってきて飾り付け~なんて事してたらもっと亮輔くんの事を褒めまくって自慢しまくりそうだもの」
「!!!!」
夕紀さんの指摘に「確かに!」と思い顔を熱くさせる私。
「田上くんも私もね、さっきの話に嘘をついたつもりはないんだけど探ってたんだよ『ラブラブ週末を過ごしてたなら私達の話をもっと言い返してたんじゃないかな? おかしいな』ってアイコンタクト取ってたわけ」
「そうだったんですね」
「でも朝香ちゃんマジに受け取っちゃったから『こりゃヤバいな』って」
「それはすみません……お気を遣わせてしまいまして」
私の気付かない内にされていた大人の配慮に感服しつつ、私はりょーくんが落ち込んでいる理由を夕紀さんに話し始めた。
「ふーん……亮輔くんに未練ありまくりなのねその『絵梨』って子」
「そうなんだと思います。お付き合い中も嫉妬心が強かったみたいですし、彼と別れた後もある事ない事悪い噂を学内に言い広めてましたし」
「その絵梨が退学の手続きを取ってるところを朝香ちゃんと亮輔くんがたまたま目撃して、それでシングルマザーとして生きる事を聞いた……と」
私の長い話も夕紀さんは頭の中できちんと整理してくれたようだ。
「そうなんです。夕紀さんにこんな明け透けな話をするのちょっと躊躇っちゃうんですけど……
彼はお酒やタバコを使って無理矢理絵梨さんとエッチしてたらしくて、それが凄く苦痛だったそうなんです。でも絵梨さんにとって彼とのエッチはとっても気持ちよくてたまらないものだったらしくて。
『お腹の赤ちゃんのパパが誰かも分からないくらい性に奔放にさせてしまったのは自分の所為なんじゃないか』って彼が思い悩んでるんです」
続けて話をした私の事を、夕紀さんは真面目な表情でジッと見つめて聞いてくれていて
「亮輔くんにはさ、『きっとそれは違うよ。そんなに気にする事ないよ』って言ってあげたら良いんじゃないかな。朝香ちゃんは」
静かに、真面目に、誠実な表情で私にそう助言してくれたんだけど
「やっぱりそうですよね」
「朝香ちゃんはさ、絵梨の事が苦手なんでしょ。大っ嫌いなんでしょ」
「えっ?」
すぐに口角をクイッとあげて私の胸元をピッと指差す。
「さっき私にしてくれた話の端々に、朝香ちゃんの嫉妬心がチラ見えしてたからね! 私と田上くんがアイコンタクトを取った時よりも今の方が分かりやすかったよ」
「!!」
(私が……嫉妬?!)
自分でも意識した事のなかった「嫉妬」の言葉に私はとにかくビックリしていた。
「朝香ちゃんは去年の春頃、絵梨と亮輔くんがラブラブイチャイチャしてたのを知ってたし見てきたんだよね?
悪い噂を流した絵梨もそれなりに嫉妬心強めではあるんだろうけど、性に奔放になって自暴自棄なエッチを絵梨がしまくったっていうのならそれは朝香ちゃんと亮輔くんとのラブラブイチャイチャを絵梨が逆の立場で見続けていたからなんじゃない?
朝香ちゃんにその気はなくても、自然と絵梨が亮輔くんとしてきた行動を朝香ちゃんがそのまんまやっちゃってたんだよ」
美優も金色のお兄ちゃん好きだもんなー?」
田上さんは急にニカッと明るく笑って美優ちゃんに同意を求めて
「うんっ!! おにいちゃんね、とってもかっこいーの!!」
美優ちゃんは口の周りを白くしながら田上さんと同じようにニカッと笑ってくれた。
「ありがとう美優ちゃん。お兄ちゃんに『美優ちゃんが褒めてたよ』って伝えておくね!」
「おにいちゃん、また来る?」
「うん、また美優ちゃんに会いに行くって言ってたよ」
本当はりょーくんから具体的に美優ちゃんの話題を私にしてくれた事はなかったんだけど、りょーくんが皐月さんのお参りの許可を夕紀さんから得ていたので嘘のないレベルで私はそう返答してあげた。
「じゃあ、そろそろ俺ら帰るよ。コーヒーと牛乳ごちそうさま」
田上さんは美優ちゃんを抱っこしながらそう言うと、夕紀さんに手を振りながら勝手口の方へ進んでいく。
「うん、またね田上くん」
「田上さんおやすみなさい」
私と夕紀さんも田上さん親子に手を振りながら見送り……それから自然と顔を向き合わせる。
「朝香ちゃん、亮輔くんの元気がなくて悩んでるでしょ?」
「えっ?」
「顔に書いてあるもの。だから田上くんも察して先に帰ってくれたんだよ」
「ええっ???! 書いてましたか? 私の顔!!」
夕紀さんはクスクス笑いながらコーヒー豆をまた挽いて湯を沸かし始める。
「だーって朝香ちゃんにとっては同棲スタートして初めての週末でしょ? しかも彼のハロウィンオーナメントを持ってきて飾り付け~なんて事してたらもっと亮輔くんの事を褒めまくって自慢しまくりそうだもの」
「!!!!」
夕紀さんの指摘に「確かに!」と思い顔を熱くさせる私。
「田上くんも私もね、さっきの話に嘘をついたつもりはないんだけど探ってたんだよ『ラブラブ週末を過ごしてたなら私達の話をもっと言い返してたんじゃないかな? おかしいな』ってアイコンタクト取ってたわけ」
「そうだったんですね」
「でも朝香ちゃんマジに受け取っちゃったから『こりゃヤバいな』って」
「それはすみません……お気を遣わせてしまいまして」
私の気付かない内にされていた大人の配慮に感服しつつ、私はりょーくんが落ち込んでいる理由を夕紀さんに話し始めた。
「ふーん……亮輔くんに未練ありまくりなのねその『絵梨』って子」
「そうなんだと思います。お付き合い中も嫉妬心が強かったみたいですし、彼と別れた後もある事ない事悪い噂を学内に言い広めてましたし」
「その絵梨が退学の手続きを取ってるところを朝香ちゃんと亮輔くんがたまたま目撃して、それでシングルマザーとして生きる事を聞いた……と」
私の長い話も夕紀さんは頭の中できちんと整理してくれたようだ。
「そうなんです。夕紀さんにこんな明け透けな話をするのちょっと躊躇っちゃうんですけど……
彼はお酒やタバコを使って無理矢理絵梨さんとエッチしてたらしくて、それが凄く苦痛だったそうなんです。でも絵梨さんにとって彼とのエッチはとっても気持ちよくてたまらないものだったらしくて。
『お腹の赤ちゃんのパパが誰かも分からないくらい性に奔放にさせてしまったのは自分の所為なんじゃないか』って彼が思い悩んでるんです」
続けて話をした私の事を、夕紀さんは真面目な表情でジッと見つめて聞いてくれていて
「亮輔くんにはさ、『きっとそれは違うよ。そんなに気にする事ないよ』って言ってあげたら良いんじゃないかな。朝香ちゃんは」
静かに、真面目に、誠実な表情で私にそう助言してくれたんだけど
「やっぱりそうですよね」
「朝香ちゃんはさ、絵梨の事が苦手なんでしょ。大っ嫌いなんでしょ」
「えっ?」
すぐに口角をクイッとあげて私の胸元をピッと指差す。
「さっき私にしてくれた話の端々に、朝香ちゃんの嫉妬心がチラ見えしてたからね! 私と田上くんがアイコンタクトを取った時よりも今の方が分かりやすかったよ」
「!!」
(私が……嫉妬?!)
自分でも意識した事のなかった「嫉妬」の言葉に私はとにかくビックリしていた。
「朝香ちゃんは去年の春頃、絵梨と亮輔くんがラブラブイチャイチャしてたのを知ってたし見てきたんだよね?
悪い噂を流した絵梨もそれなりに嫉妬心強めではあるんだろうけど、性に奔放になって自暴自棄なエッチを絵梨がしまくったっていうのならそれは朝香ちゃんと亮輔くんとのラブラブイチャイチャを絵梨が逆の立場で見続けていたからなんじゃない?
朝香ちゃんにその気はなくても、自然と絵梨が亮輔くんとしてきた行動を朝香ちゃんがそのまんまやっちゃってたんだよ」
0
お気に入りに追加
13
あなたにおすすめの小説
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

包んで、重ねて ~歳の差夫婦の極甘新婚生活~
吉沢 月見
恋愛
ひたすら妻を溺愛する夫は50歳の仕事人間の服飾デザイナー、新妻は23歳元モデル。
結婚をして、毎日一緒にいるから、君を愛して君に愛されることが本当に嬉しい。
何もできない妻に料理を教え、君からは愛を教わる。
甘過ぎるオフィスで塩過ぎる彼と・・・
希花 紀歩
恋愛
24時間二人きりで甘~い💕お仕事!?
『膝の上に座って。』『悪いけど仕事の為だから。』
小さな翻訳会社でアシスタント兼翻訳チェッカーとして働く風永 唯仁子(かざなが ゆにこ)(26)は頼まれると断れない性格。
ある日社長から、急ぎの翻訳案件の為に翻訳者と同じ家に缶詰になり作業を進めるように命令される。気が進まないものの、この案件を無事仕上げることが出来れば憧れていた翻訳コーディネーターになれると言われ、頑張ろうと心を決める。
しかし翻訳者・若泉 透葵(わかいずみ とき)(28)は美青年で優秀な翻訳者であるが何を考えているのかわからない。
彼のベッドが置かれた部屋で二人きりで甘い恋愛シミュレーションゲームの翻訳を進めるが、透葵は翻訳の参考にする為と言って、唯仁子にあれやこれやのスキンシップをしてきて・・・!?
過去の恋愛のトラウマから仕事関係の人と恋愛関係になりたくない唯仁子と、恋愛はくだらないものだと思っている透葵だったが・・・。
*導入部分は説明部分が多く退屈かもしれませんが、この物語に必要な部分なので、こらえて読み進めて頂けると有り難いです。
<表紙イラスト>
男女:わかめサロンパス様
背景:アート宇都宮様
肉食御曹司の独占愛で極甘懐妊しそうです
沖田弥子
恋愛
過去のトラウマから恋愛と結婚を避けて生きている、二十六歳のさやか。そんなある日、飲み会の帰り際、イケメン上司で会社の御曹司でもある久我凌河に二人きりの二次会に誘われる。ホテルの最上階にある豪華なバーで呑むことになったさやか。お酒の勢いもあって、さやかが強く抱いている『とある願望』を彼に話したところ、なんと彼と一夜を過ごすことになり、しかも恋人になってしまった!? 彼は自分を女除けとして使っているだけだ、と考えるさやかだったが、少しずつ彼に恋心を覚えるようになっていき……。肉食でイケメンな彼にとろとろに蕩かされる、極甘濃密ラブ・ロマンス!

社長室の蜜月
ゆる
恋愛
内容紹介:
若き社長・西園寺蓮の秘書に抜擢された相沢結衣は、突然の異動に戸惑いながらも、彼の完璧主義に応えるため懸命に働く日々を送る。冷徹で近寄りがたい蓮のもとで奮闘する中、結衣は彼の意外な一面や、秘められた孤独を知り、次第に特別な絆を築いていく。
一方で、同期の嫉妬や社内の噂、さらには会社を揺るがす陰謀に巻き込まれる結衣。それでも、蓮との信頼関係を深めながら、二人は困難を乗り越えようとする。
仕事のパートナーから始まる二人の関係は、やがて揺るぎない愛情へと発展していく――。オフィスラブならではの緊張感と温かさ、そして心揺さぶるロマンティックな展開が詰まった、大人の純愛ストーリー。
エリート警察官の溺愛は甘く切ない
日下奈緒
恋愛
親が警察官の紗良は、30歳にもなって独身なんてと親に責められる。
両親の勧めで、警察官とお見合いする事になったのだが、それは跡継ぎを産んで欲しいという、政略結婚で⁉
夜の声
神崎
恋愛
r15にしてありますが、濡れ場のシーンはわずかにあります。
読まなくても物語はわかるので、あるところはタイトルの数字を#で囲んでます。
小さな喫茶店でアルバイトをしている高校生の「桜」は、ある日、喫茶店の店主「葵」より、彼の友人である「柊」を紹介される。
柊の声は彼女が聴いている夜の声によく似ていた。
そこから彼女は柊に急速に惹かれていく。しかし彼は彼女に決して語らない事があった。

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる