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Chapter12:クリスマスの夜に
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「あおくんっ、大丈夫?!」
アルコール入りの商品につけられるスーベニアマグは水色。
そのシステムを知った今、あおくんを心配せずには居られなくなっている。
「あ、はなぁ」
ちょうどオーダー終了を知らせるアナウンスが流れて、席で飲み食いしてるお客さんはまばら。
その中であおくんは着席したままいつも通りのニコニコ顔で私にヒラヒラと手を振ってくれていて
「あおくんお待たせ」
「良い買い物出来た?」
「うん♪ 可愛いキャンドルホルダーがあってね、一目惚れして買っちゃった」
「へぇ~見せて見せて♡ 本当だ♪ クリスマスカラーで可愛いデザインだね♡」
呂律が回ってるわけでもなく、普通に会話のキャッチボールが出来ているのでホッとした。
(良かったぁ……酔っ払ってはなさそう)
あおくんが飲んだワインは本当にノンアルコールで、店員さんがマグの色違いについて勘違いしていただけなのかもしれない。
(5杯もアルコール入りのワイン飲んだら絶対に体の調子が悪くなるもんね……)
チャコ叔母さんから以前「ワインボトルはグラス6杯分」という目安を聞いた事があった。これはホットワインでマグカップに注がれるし、5杯でボトル一本分辺りになるのかどうかまでは分からない。
取り敢えずあおくんの様子が普通過ぎていて、少なくともお酒の瓶を丸々一本飲んでしまったようには見えなかった。
「もうイベント時間終わるみたいだね」
私はあおくんが立ち上がるのを見つめながら呼び掛けると
「そうだね、楽しいクリスマスデートも終わっちゃうのかぁ……寂しいなぁ」
名残惜しそうに「ん~」っと伸びをして
「また手、繋ご♡ はな♡」
手を差し伸べ私との手繋ぎを求めてきた。
「うんっ♡」
(あおくんが飲んだワインは絶対にノンアルだ! 店員さんが『ノンアルが水色』って勘違いしながらあおくんに水色マグを渡して、その後も店員さんがあおくんにノンアルを提供し続けちゃった……うんうんっ! 絶対にそうだ!!)
最初からあおくんはノンアルホットワインを求めてて注文していたんだから、あくまでこの勘違いは都合良くて、店員さんにとってもあおくんにとってもハッピーでラッキーだった……
…………そう、私は思い込む事にしていたんだけど……………………。
「あ……れ?」
あおくんは私の手をギュッと握ったまま、電車の改札ではなく地下街を通っていって……
「えっ? えっ、ええ……??」
ニコニコしながらあのホテル街へとテクテク歩いていく。
「あの……あお、くん?」
イルミネーションも観終わったしマーケットでも充分楽しんだんだから、てっきり電車に乗ってあおくんのお家に帰るとばかり思っていたのに、私達の足はいつのまにか初デートで利用したカフェの向かい側建物のところでピタッと止まってしまい
「ほら、最初来た時に約束したでしょ? 『今度は本館へ行ってみようね』って」
あおくんのその言葉で私の頬はポッと熱くなる。
「本館って……」
そう、確かに私達は約束をした。
前回は本館に入れなくて別館になっちゃったから、人気の本館の方にも行ってみたいね……みたいなニュアンスで。
(約束したけど!! でもそれって今のタイミング??!!)
あおくんにギュウッと手を握られたまま、本館入り口の前で立ち尽くしたまま……あおくんはニコニコ、私はアワアワしちゃっている。
そしてそんな最中、私達を不思議そうな表情でチラ見しては建物の中に入っていくカップルも居て…………
「ね、モタモタしてるとまた別館になっちゃうよ?
別館も良かったけど、入れるなら本館の方が良くない?」
追い討ちをかけるかのように、あおくんが可愛らしく誘ってきたものだからもう、私の心はきゅんきゅんきちゃって……
「そうだよねっ、せっかくのクリスマスだもんっ! 早く入んなきゃねっ!!」
半ばヤケクソ状態で返事をするしかなかったんだ。
アルコール入りの商品につけられるスーベニアマグは水色。
そのシステムを知った今、あおくんを心配せずには居られなくなっている。
「あ、はなぁ」
ちょうどオーダー終了を知らせるアナウンスが流れて、席で飲み食いしてるお客さんはまばら。
その中であおくんは着席したままいつも通りのニコニコ顔で私にヒラヒラと手を振ってくれていて
「あおくんお待たせ」
「良い買い物出来た?」
「うん♪ 可愛いキャンドルホルダーがあってね、一目惚れして買っちゃった」
「へぇ~見せて見せて♡ 本当だ♪ クリスマスカラーで可愛いデザインだね♡」
呂律が回ってるわけでもなく、普通に会話のキャッチボールが出来ているのでホッとした。
(良かったぁ……酔っ払ってはなさそう)
あおくんが飲んだワインは本当にノンアルコールで、店員さんがマグの色違いについて勘違いしていただけなのかもしれない。
(5杯もアルコール入りのワイン飲んだら絶対に体の調子が悪くなるもんね……)
チャコ叔母さんから以前「ワインボトルはグラス6杯分」という目安を聞いた事があった。これはホットワインでマグカップに注がれるし、5杯でボトル一本分辺りになるのかどうかまでは分からない。
取り敢えずあおくんの様子が普通過ぎていて、少なくともお酒の瓶を丸々一本飲んでしまったようには見えなかった。
「もうイベント時間終わるみたいだね」
私はあおくんが立ち上がるのを見つめながら呼び掛けると
「そうだね、楽しいクリスマスデートも終わっちゃうのかぁ……寂しいなぁ」
名残惜しそうに「ん~」っと伸びをして
「また手、繋ご♡ はな♡」
手を差し伸べ私との手繋ぎを求めてきた。
「うんっ♡」
(あおくんが飲んだワインは絶対にノンアルだ! 店員さんが『ノンアルが水色』って勘違いしながらあおくんに水色マグを渡して、その後も店員さんがあおくんにノンアルを提供し続けちゃった……うんうんっ! 絶対にそうだ!!)
最初からあおくんはノンアルホットワインを求めてて注文していたんだから、あくまでこの勘違いは都合良くて、店員さんにとってもあおくんにとってもハッピーでラッキーだった……
…………そう、私は思い込む事にしていたんだけど……………………。
「あ……れ?」
あおくんは私の手をギュッと握ったまま、電車の改札ではなく地下街を通っていって……
「えっ? えっ、ええ……??」
ニコニコしながらあのホテル街へとテクテク歩いていく。
「あの……あお、くん?」
イルミネーションも観終わったしマーケットでも充分楽しんだんだから、てっきり電車に乗ってあおくんのお家に帰るとばかり思っていたのに、私達の足はいつのまにか初デートで利用したカフェの向かい側建物のところでピタッと止まってしまい
「ほら、最初来た時に約束したでしょ? 『今度は本館へ行ってみようね』って」
あおくんのその言葉で私の頬はポッと熱くなる。
「本館って……」
そう、確かに私達は約束をした。
前回は本館に入れなくて別館になっちゃったから、人気の本館の方にも行ってみたいね……みたいなニュアンスで。
(約束したけど!! でもそれって今のタイミング??!!)
あおくんにギュウッと手を握られたまま、本館入り口の前で立ち尽くしたまま……あおくんはニコニコ、私はアワアワしちゃっている。
そしてそんな最中、私達を不思議そうな表情でチラ見しては建物の中に入っていくカップルも居て…………
「ね、モタモタしてるとまた別館になっちゃうよ?
別館も良かったけど、入れるなら本館の方が良くない?」
追い討ちをかけるかのように、あおくんが可愛らしく誘ってきたものだからもう、私の心はきゅんきゅんきちゃって……
「そうだよねっ、せっかくのクリスマスだもんっ! 早く入んなきゃねっ!!」
半ばヤケクソ状態で返事をするしかなかったんだ。
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