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Chapter12:クリスマスの夜に

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「あ、そうだ! はなって可愛い雑貨が好きだよね?」

 イルミネーションを存分に楽しみ、帰りの電車に乗ろうと駅まで戻っていると、恋人繋ぎの手を更にギュッと強く握りながらあおくんがそんな事を訊いていた。

「うん! 好きだよ!」

 私の雑貨好きはお付き合いする前からあおくんに知られている。
 部屋でいつも使っているテトラ型ビーズクッションも雑貨屋さんで見つけたしあおくんと一緒に食器選びをしたのも有名雑貨ショップの大型店舗だったから、今確認のように改めて質問されちゃうと変な感じがする。

「あのね、このまま俺の家に帰ってもいいんだけど……」

 あおくんの目線は私の背より高い位置に向いていて

「ん?」

 直後に彼が指差した方へと振り向いてみると……

「クリスマスマーケット、これから行くのはどうかなって思ったんだよ」

 壁に貼られているクリスマスイベントのポスターが私の視界いっぱいに飛び込む。

「クリスマスマーケット?!」

 それは、初デートの昭和レトロカフェに行った時に降りた駅でのイベントで、オレンジ色の温かみのある灯りに照らされたワインを提供する三角屋根の店舗や可愛らしいリース飾りやランタンなどが煌びやかに掲載されている。

「そうそう、ドイツ式? のクリスマスイベントみたいなんだ。
 ドイツ料理やホットワインも販売されてるんだって。もちろん19歳のはなにはお酒進まないよ! ホットチョコレートとかココアもあるみたいだし」

(ドイツ料理にホットチョコレート……私の大好きなものだらけだぁ~♡)

 指差しながら説明を聞いているとお腹がグウゥゥゥゥッと鳴ってきて

「ホットチョコレートって、ホットミルクにチョコレート溶かしながら飲むヤツだよね?!」

 興奮気味にあおくんへ質問し返す。

「ああ……うん、ネットにはそう書いてあったような……」

(おぉ~事前に調べてくれていたんだぁ、クリスマスマーケットの事……)

 あおくん、今いきなり思いついたみたいにポスターを指差していたけれど、実は今日のデートプランにこのクリスマスマーケットも組み込んでいたみたいだ。でないと「ネットにはそう書いてあった」なんて発言にはならない。

(私の好みに合わせたイベントをちゃんと調べてくれていたんだなぁ♡ あおくんの心遣いが嬉しいよ♪)

 あおくんのが大好きでたまらない私は

「じゃあはな、行ってみる? クリスマスマーケット」
 
 彼の可愛らしい誘い方に更にキュンキュンしちゃって

「もちろんだよ! 行く行く♡」

 即オッケーして、あおくんの家とは別の路線に乗り換えたのだった。

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