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Chapter:11 可愛いジェラシー

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 日曜日、この数日私が温めてきた考えをあおくんに提案しようとしたら……

「ねぇはな、俺達付き合って2ヶ月になるし、合鍵をさぁ……交換しない?」
「えっ!!!!」

 なんとあおくんも全く同じ事を考えていたらしく、先を越されてしまった。

「あっ……ダメだったかな?」

 驚いた私のリアクションを「却下」と捉えたらしいあおくんは、すぐに眉毛を八の字に曲げて後頭部を掻いてしまう。

「ダメじゃないよ! ただ単にビックリしただけ!!」

 本当は「私も同じアイデアが浮かんでいたよ」って伝えたかったんだけど

「本当?」

 不安気な表情のまま私をジーッと見つめものだから

「ほんとほんと!」

 自分の意見はさておき、まずはあおくんを笑顔にしなきゃって気持ちが働いて

「じゃあ……交換しちゃう?」
「もちろんっ!!」

 結局「私も合鍵交換したいと思ってた」とは言えなかった。

「一応ね、持ってきていたんだ。合鍵」

 あおくんはやわらかな笑みに戻して、「もうすでに渡す用の合鍵が入っているよ」と、身につけているカバンの紐を揺さぶっている。

「用意早いね、あおくん」
「はなに断られるかなーとも思ったんだけどさ、大した重さでもないし『持ってきちゃえ』って」
「そっかぁ……今日のデートは映画だもんね、鍵くらいなら持ち歩けるよね」
「そういう事♪ 映画終わった後のランチでさ、鍵を渡すね」
「ありがとう♪」

(うひゃぁ……あおくん、行動早いなぁ。鍵持ってきてたんだぁ……)

 実は断られる可能性があると思って私は持ってきておらず、自分の部屋の引き出しにしまったまんま。

(この状態で「私も合鍵交換考えてたよ」なんて言えなくなっちゃったなぁ)

 これはもう仕方ない。そのままあおくんの提案に私も素直に乗ったていでいくしかなかった。

「映画楽しみ~♪」
「はな、『紗羅ちゃん達と夏に観た映画の予告編から上映楽しみにしてた』って言ってたもんね」
「そうなんだよ~! だって大好きな俳優さんが主演なんだもん♡」

 商業施設のエレベーターに乗りながら、私はテンションをどんどん上げていく。
 なんたって今日はしばらくあおくんが忙しくて会えなかったお詫びとして、私の観たい映画を観に行く日だったんだ。

(今から映画楽しむし、合鍵交換は結局叶うんだし、ポジティブに捉えなくちゃ♪)

 だからさっきの「言えなかった」に関しては気持ちを引きずらせないようにして

「ねぇねぇ、ランチにあおくんの鍵をもらうんじゃなくて、ランチ後にキーホルダーをお互い選んで私のお部屋で合鍵交換するのはどうかな? 私の鍵とあおくんの鍵、一緒に交換したいんだよ」

 鍵の渡し方についての提案を彼にする。

「いいね、それ! 俺のを先に渡すよりも幸せな感じする♪」

 あおくんは晴れやかなニコニコ笑顔になってウンウンと頷いてくれたからホッとしたし

「うん♡ 付き合って2ヶ月の良い記念になりそうだね♡」

 私も「良い2ヶ月記念日の過ごし方になれそうだ」とポジティブに考え、幸せ気分を一層高めていけたんだ。
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