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Chapter9:甘える
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しおりを挟むこの前私がやらかしてしまったミスに、あおくんは優しく寄り添い慰めてくれた。
改めて「いい人だなぁ」って思ったし、ゴムの代金についても「しっかりとした考えを持っている人だなぁ」と感心した。
それだけじゃなくて、私が家族にすら「甘れられない」性質を持っている事まで見抜いて……あおくんって本当に凄い彼氏だと思う。
もしかしたら……あおくんが私の彼氏で居てくれる事に、もっともっと感謝すべきなんじゃないかなぁ…………?
*
「華ちゃんがあんまり働けない期間は阪井くんが返金……なかなかしっかりとした考えを持ってるのね。流石阪井くんって感じ」
あおくんは「内緒にしたままでいいんじゃないかな」って言っていたんだけど、ゴムの代金を3ヶ月分支払ってくれる件はやっぱり報告すべきだと思った私は、チャコ叔母さんにちゃんと伝えた。
「そうなの……しかもあおくんの方が支払う額が高くなるのに『気にしないで』って言ってくれて」
「そっかぁ~華ちゃんと阪井くんが2人で相談して決めたのなら、私は何も言わないよ。個人的にはミスや反省含めて華ちゃんが全部背負うべきだと思うけど、モノがモノだから阪井くんもそのまま甘んじる訳には行かなかったのかもね」
チャコ叔母さんは私の話に眉を顰めながら聞いていたんだけど、段々と表情がやわらかく戻ってきたのでホッとする。
「うん、だからあおくんにすごく感謝してるの」
「そうね、『感謝』って大事よ華ちゃん! 『お金払ってもらって当たり前』だなんて考えちゃダメ!! 華ちゃんも阪井くんが困っていたらすぐに助けてあげなさいね!!」
「はいっ!!」
親戚だから……というのもあるけど、チャコ叔母さんの叱り方はまるでお父さんお母さんのようだ。
(チャコ叔母さんはバイト先の店長でもあるけど、大事な叔母様でもある。こうして叱ってくれたり小言を言ってくれたりするのもありがたいんだよね)
実家から離れて生活していても私が荒んだ様子にならないのはチャコ叔母さんのおかげ。
ミスを反省するのはもちろんのこと、今回の件は私にとって自分の行動を見つめ返す良い経験になったんじゃないかな……なんて思っていた。
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