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Chapter7:おうちデート

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「町中華ってやっぱりいいね♪ お腹いっぱい」

 洋食カフェが続いてしまっていたから、今夜はどこへ連れて行こうかと色々迷ったんだけど、はなからの「あおくんがよく行くお店が良いな」のリクエスト通りにしたら大満足のホクホク顔をゲットする事に成功した。

「ね♪ 美味しかったでしょ」
「うん! ついつい食べ過ぎちゃったぁ」
「あの店行くと俺も腹パンパンになるんだよ」
「いいよねー、庶民的で美味しくてお腹いっぱいになれるの♪ 幸せぇ♡」

 所謂「昔ながらのラーメン屋さん」ってヤツで男子高校生男子大学生のオアシスみたいな店で量も多いからはなと分け合いっこしたのも嬉しかったし楽しかったし、正直はなにここまで喜んでもらえるなんて思ってもみなかった。

「いいなぁあおくんのおうちの近所にはあんな美味しいお店があって! ドラッグストアが近いのも羨ましい」

 手を繋いでドラッグストアを横切り……

「はなは料理上手だから飲食店が近くになくても困らないものだと思っていたよ。コンビニが真下なのは俺にとってめちゃくちゃ羨ましいよ」
「コンビニとスーパーがあれば確かに生活出来るけど、手料理ばかりも飽きちゃうんだよ」

 エントランスを2人で通って2人でエレベーターに乗る。

「じゃあ、時間見つけて一緒に外食しに行こうよ」
「えっ? いいの?」
「勿論! オススメの飲食店はまだまだ沢山あるから」
「わぁ~嬉しいなぁ」

 はなに片想いして以来ずっと「やってみたい」と思っていた事がようやく叶えられて俺の中の幸せメーターがガンガン上がっている。

「えへへ」
「えへへ」

 いつの間にか2人の中でお決まりとなった「えへへ」の笑い合い。

「じゃあ、あらためまして……いらっしゃい」

 荷物置きに数分だけ玄関に入らせただけの我が家を、改めて迎え入れ

「じゃああらためまして、お邪魔しますっ」

 はなが可愛らしく、靴を脱いで部屋の中に上がる。

(幸せな日だ……本当に)

 はなと付き合えたら「やってみたい」と思っていた内容が今日全部叶うのが本当に嬉しくて

「はなぁ」

 彼女に断りもなくギュウッと抱き締めてしまった。

「やぁん」

 ビックリしていたようだったけど、すぐに可愛らしい腕を俺の背中に回してくれる。

「我慢出来なくてハグしちゃった」
「うん……」
「はなもしたかった?」
「うん♡」
「嬉しい……」

 幸せで幸せでたまらなくて……気持ちが暴走してしまいそうで

(ヤバいっ……マジでこのまま押し倒してしまいそうになる! 焦ったらダメだ! はなに嫌われちゃう)

 エロい事をしたい欲求が膨らんできたのを慌てて消しにかかる。

「買ってきた飲み物やお菓子出すね」
「うん」

 そう言いながらゆっくりとハグを解き、冷蔵庫からミルクティーとレモンティーを取り出してグラスの中に注いだり、お菓子をお皿の上へ出したりと動く。

「あ、はなはソファに座っててね」
「はぁい♡」

 はなの素直な「はぁい」にニマニマしながら用意が済んでお菓子をローテーブルに置き、グラスをはなの手に持たせて隣に座った。

「お邪魔します……」

 俺が腰掛けた途端にスススッと擦り寄るはながめちゃくちゃ可愛い。

「どう致しまして♪」
「良いお宅ですね、えへへ」
「ありがとうはな、えへへ」

 ゴクンと喉を鳴らして笑い合うと、今度ははなが部屋を見回して

「本当に良いお部屋だよね。ワンルームマンションだけどお部屋がすごく広いなぁ」

 と、本当に俺の部屋を褒めてくれた。

「そうなんだよ、一般的な部屋より広めだからまさやんにも羨ましがられるんだ」
「だよねぇ~私の部屋はソファ置くスペースがないもん。ベッドとテーブルとテレビ置いたらそれで終わりって感じ」
「充分だと思うよ、俺が広めの部屋に住めたのはラッキーだったからだよ」

 確かに俺の住むマンションは広めで学生向けというよりは社会人向けという雰囲気がありエレベーターですれ違う住人も俺よりも年上で年収もある程度安定していそうな大人しか見かけた事がない。

「ラッキー?」
「うん……運が良かったんだ、俺」

 そんなマンションに高校生から住んでいるというのはと言うしかないのだと……いつも自分に言い聞かせていた。


 

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