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Chapter7:おうちデート
③
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(0.01ミリのヤツだった……)
秋風をビュンビュン受けてチャリを漕いでいるというのに、体の熱は全然冷めない。
(泊まりだし、そりゃあ期待するよ俺だって……)
実はマンション近くのドラッグストアで0.02ミリくらいの製品は買うつもりでいた。日曜日に卒業した時はホテルに置いてあった普通の製品だろうから「もう一段階薄い製品を買ってみようかな」くらいは考えていたんだ。
(0.01ミリ……どんな感じなんだろう)
美優ちゃんの脚力に負けないくらいにペダルを漕いだ俺は急いで自宅に戻り、赤箱を開けて三連のソレをベッドの小物置きスペースに潜ませ、風呂掃除と本日3回目の掃除機かけに勤しんだ。
「あっ……もう待ち合わせ時間っ! 急がないと!」
はなと約束をした時間に近付いていると知った俺は急いで部屋の鍵を閉め、エレベーターで一階まで降り……待ち合わせのドラッグストアの駐輪場へ向かうと
「あっ! はな~」
ちょうどはなが原付を停めてヘルメットを脱いでいるところに遭遇した。
「あおく~ん!」
俺の住むマンション周辺は住宅と学校くらいしかなく待ち合わせに適した駅が近くにない。
最寄りの駅は『フラワーショップ田上』真ん前の駅となり、そんな場所で待ち合わせでもしようものなら健人さんにニヤニヤ見守られながら「はな~」「あおく~ん」の挨拶をするという恥辱行為をしなければならないんだ。
(待ち合わせをドラッグストアにして良かった……マジで)
変な場所を待ち合わせに選んでしまったかと不安になったけど、おかげではなのバイクやヘルメット脱ぎ脱ぎ姿を拝める事が出来た。
(ヘルメット脱いで頭をフリフリするはな、可愛かったなぁ♡)
彼女のクセなのだろうか、ヘルメットを外して首を左右にフリフリする様子はめちゃくちゃ可愛かったしめちゃくちゃ愛おしく感じた。
「早速だけど、お菓子や飲み物を買って行かない?」
お泊まりグッズが入っているらしいリュックを肩から外したはなに俺はそう呼び掛ける。
「あ、今から買い物?」
「うん、そう。はなの好きなお菓子とか飲み物まだ知らないから一緒に買い物しようかなって思ったんだ」
もちろん夕食は徒歩圏内で行ける飲食店へ連れて行くつもりなんだけど、その後は俺の部屋で夜を明かす予定となっている。場を繋ぐお菓子や飲み物は必須だし、どうせならはなと一緒に選んで好みを知りたいと思っていた。
「いいねー、あおくんと一緒にお菓子のお買い物出来るの嬉しい♪」
俺の提案にはなは笑顔で受け入れてくれたので
「早速行こうっか! 荷物俺が持つよ」
「ありがとう♪」
はなのリュックを片腕に引っ掛けて
「じゃあ、手を繋ご♡」
「うん♡」
はなとギュッと恋人繋ぎしながら店内に入った。
「お菓子も飲み物もはなの好みで選んでいいからね」
お菓子コーナーに差し掛かったところで俺が言うと
「えーあおくんの好きなお菓子もちゃんと買おうよ~」
すかさずはなはそう言い返して、ラーメンスナックの袋を手に取りカゴの中に入れた。
(ラーメンスナック……最初にビデオ通話した時の事をちゃんと覚えてくれているんだなぁ)
サッとカゴに入れてくれたはなの行動が嬉しかったし
「じゃあ、これも買いたいな♪ これ、めちゃくちゃ好きなんだ」
一番お気に入りのお菓子をカゴに入れ、はなに俺の好みを知ってもらいたいという欲に駆られる。
「あ♪ その味私も好き~♡」
「ホント? 美味しいよね、コレ」
「うん!!」
俺のお気に入りがはなも好きって知れたのは嬉しいし
「はなのお気に入りのお菓子ってなぁに? あのシリーズのヤツ?」
「それも好きなんだけど、今の推しはコレなんだ~」
「オシャレなお菓子だねー! まだ食べた事ないや」
「えへへ♪ お安いお菓子ばっかりの私じゃないんだよ~♪」
「ふふっ♪」
ビデオ通話だけでは知り得なかった新たな部分を知れるのもやっぱり嬉しかった。
「飲み物はどうする? あおくんはビール飲む?」
お菓子はある程度買えたので、はなとペットボトルのエリアへと移動したんだけどはなは21歳の俺を気遣いお酒コーナーを指差した。
「いや、今日は飲まないよ」
一応、はなには俺がビール党である事を知ってもらっている。
「えっ? あおくんって晩酌しないの?」
はなにとっては飲酒する=毎日晩酌するイメージがついているらしい。
「まぁ……飲んだり飲まなかったりなんだよね、俺って。『毎日ビール飲まなきゃやってらんねー!』みたいなほどでもないっていうか」
「そうなんだね」
ちなみに「毎日ビール飲まなきゃやってらんねー!」は、まさやんの常套句だ。
「ましてはなは飲めないんだもん。19歳の前で酔っ払うわけにはいかないよ」
「え~酔っ払ってもいいのになぁ」
はなは優しい言い方をしてくれるけど……
(はなの前で酔っ払ったら絶対にエロい事をめちゃくちゃにやってしまう! はなのタイミングを待つとか紳士的に出来なくなるっ!!)
まさか俺の頭の中がエロい事をするのでいっぱいになっているだなんて優しいはなは予想もつなかいだろうし、酔っ払ってはなを襲ってしまうような失態は絶対に犯したくない。
「かっこつかないからね……あ、俺はミルクティーにしよっと」
なるべく紳士的な微笑みを作ってサラッと酒の話題を避け、流れるようにミルクティーの缶ボトルをカゴに入れたのだった。
秋風をビュンビュン受けてチャリを漕いでいるというのに、体の熱は全然冷めない。
(泊まりだし、そりゃあ期待するよ俺だって……)
実はマンション近くのドラッグストアで0.02ミリくらいの製品は買うつもりでいた。日曜日に卒業した時はホテルに置いてあった普通の製品だろうから「もう一段階薄い製品を買ってみようかな」くらいは考えていたんだ。
(0.01ミリ……どんな感じなんだろう)
美優ちゃんの脚力に負けないくらいにペダルを漕いだ俺は急いで自宅に戻り、赤箱を開けて三連のソレをベッドの小物置きスペースに潜ませ、風呂掃除と本日3回目の掃除機かけに勤しんだ。
「あっ……もう待ち合わせ時間っ! 急がないと!」
はなと約束をした時間に近付いていると知った俺は急いで部屋の鍵を閉め、エレベーターで一階まで降り……待ち合わせのドラッグストアの駐輪場へ向かうと
「あっ! はな~」
ちょうどはなが原付を停めてヘルメットを脱いでいるところに遭遇した。
「あおく~ん!」
俺の住むマンション周辺は住宅と学校くらいしかなく待ち合わせに適した駅が近くにない。
最寄りの駅は『フラワーショップ田上』真ん前の駅となり、そんな場所で待ち合わせでもしようものなら健人さんにニヤニヤ見守られながら「はな~」「あおく~ん」の挨拶をするという恥辱行為をしなければならないんだ。
(待ち合わせをドラッグストアにして良かった……マジで)
変な場所を待ち合わせに選んでしまったかと不安になったけど、おかげではなのバイクやヘルメット脱ぎ脱ぎ姿を拝める事が出来た。
(ヘルメット脱いで頭をフリフリするはな、可愛かったなぁ♡)
彼女のクセなのだろうか、ヘルメットを外して首を左右にフリフリする様子はめちゃくちゃ可愛かったしめちゃくちゃ愛おしく感じた。
「早速だけど、お菓子や飲み物を買って行かない?」
お泊まりグッズが入っているらしいリュックを肩から外したはなに俺はそう呼び掛ける。
「あ、今から買い物?」
「うん、そう。はなの好きなお菓子とか飲み物まだ知らないから一緒に買い物しようかなって思ったんだ」
もちろん夕食は徒歩圏内で行ける飲食店へ連れて行くつもりなんだけど、その後は俺の部屋で夜を明かす予定となっている。場を繋ぐお菓子や飲み物は必須だし、どうせならはなと一緒に選んで好みを知りたいと思っていた。
「いいねー、あおくんと一緒にお菓子のお買い物出来るの嬉しい♪」
俺の提案にはなは笑顔で受け入れてくれたので
「早速行こうっか! 荷物俺が持つよ」
「ありがとう♪」
はなのリュックを片腕に引っ掛けて
「じゃあ、手を繋ご♡」
「うん♡」
はなとギュッと恋人繋ぎしながら店内に入った。
「お菓子も飲み物もはなの好みで選んでいいからね」
お菓子コーナーに差し掛かったところで俺が言うと
「えーあおくんの好きなお菓子もちゃんと買おうよ~」
すかさずはなはそう言い返して、ラーメンスナックの袋を手に取りカゴの中に入れた。
(ラーメンスナック……最初にビデオ通話した時の事をちゃんと覚えてくれているんだなぁ)
サッとカゴに入れてくれたはなの行動が嬉しかったし
「じゃあ、これも買いたいな♪ これ、めちゃくちゃ好きなんだ」
一番お気に入りのお菓子をカゴに入れ、はなに俺の好みを知ってもらいたいという欲に駆られる。
「あ♪ その味私も好き~♡」
「ホント? 美味しいよね、コレ」
「うん!!」
俺のお気に入りがはなも好きって知れたのは嬉しいし
「はなのお気に入りのお菓子ってなぁに? あのシリーズのヤツ?」
「それも好きなんだけど、今の推しはコレなんだ~」
「オシャレなお菓子だねー! まだ食べた事ないや」
「えへへ♪ お安いお菓子ばっかりの私じゃないんだよ~♪」
「ふふっ♪」
ビデオ通話だけでは知り得なかった新たな部分を知れるのもやっぱり嬉しかった。
「飲み物はどうする? あおくんはビール飲む?」
お菓子はある程度買えたので、はなとペットボトルのエリアへと移動したんだけどはなは21歳の俺を気遣いお酒コーナーを指差した。
「いや、今日は飲まないよ」
一応、はなには俺がビール党である事を知ってもらっている。
「えっ? あおくんって晩酌しないの?」
はなにとっては飲酒する=毎日晩酌するイメージがついているらしい。
「まぁ……飲んだり飲まなかったりなんだよね、俺って。『毎日ビール飲まなきゃやってらんねー!』みたいなほどでもないっていうか」
「そうなんだね」
ちなみに「毎日ビール飲まなきゃやってらんねー!」は、まさやんの常套句だ。
「ましてはなは飲めないんだもん。19歳の前で酔っ払うわけにはいかないよ」
「え~酔っ払ってもいいのになぁ」
はなは優しい言い方をしてくれるけど……
(はなの前で酔っ払ったら絶対にエロい事をめちゃくちゃにやってしまう! はなのタイミングを待つとか紳士的に出来なくなるっ!!)
まさか俺の頭の中がエロい事をするのでいっぱいになっているだなんて優しいはなは予想もつなかいだろうし、酔っ払ってはなを襲ってしまうような失態は絶対に犯したくない。
「かっこつかないからね……あ、俺はミルクティーにしよっと」
なるべく紳士的な微笑みを作ってサラッと酒の話題を避け、流れるようにミルクティーの缶ボトルをカゴに入れたのだった。
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