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Chapter:6初体験

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 正直なところ、まさやんの喩えは聞こえが悪い……だけど分かる。

(はなとの事をゲームに当てはめたくはないけど、俺が「次に進みたい」と今思っている心理はそういうところにあるのかも……)

「マウント取るつもりはないんだけどさ、なあおが羨ましいんだよね」
「えっ?」
「慎重になり過ぎてみっちゃんみたいに離れちゃう女の子が居たからこそ、はなちゃんっていう良い子と出会えたワケじゃん?」
「……」
「みっちゃんの時みたいに、頑張って会う時間見つけて無理してデートしなくてもはなちゃんはビデオ通話しながら半年も清い友達関係を続けられた。それってもうさ、運命の相手に出会えてしまってるんじゃない?」

「運命の……相手……」

 まさやんの発言は突拍子もないものではあるけれど、嫌な気持ちにはならないし寧ろ「そうであったら良いな」と希望が湧いてくる。

(はなは、俺の運命の相手なのかな? 本当に……)

 口に出さず、自分の心に問い掛けたつもりだったんだけど

「そうだよ。だって考えてみなよ、遠距離でもなんでもなくて、チャリで行こうと思えばいつでも会えるような距離の友達関係って、半年に2~3回しか会わないなんて事になったら縁が切れてるよ。まして俺らみたいな大学生ならさぁその会えてない間にいくらでも他と出会うチャンスがゴロゴロ転がってるんだから」
「……」
「チャンスがゴロゴロなのは就活してたあおじゃねーよ、はなちゃんの方っ!」
「あ……そっか……」

 まさやんの言葉でハッとした。
 確かに、はなちゃんはまだ大学二年生なんだから合コンや他大学とのサークル参加など、出会いはいくらでもあるからだ。

(はなは、まだ俺が告白するずっと前から「いい人」を新たに見つけようとはしなかった。俺を励まそうとメッセージやビデオ通話をしてくれていた……)

 この半年、はなをほとんど放置しているような状況だったのに、はなは純粋なキラキラとした心で見つめてくれていた。

「そっか……俺、はなに何かしてあげたいな」

 まさやんの言葉であたらめてはなの健気さに気付いたし、俺側からちゃんとした贈り物も何もしていなかったのにも気付いて恥ずかしくなったし

「何かしてあげたいもだし、みっちゃんの時みたくんじゃない?」

 まさやんのその言葉にも

「うん」

 素直に頷く事が出来た。

(はなをのがしたくない……確かに俺の一番の願いはそれかもしれない)

「次はいつ会うんだよ?」
「えっ?」
「愛しのはなちゃんといつデートすんのかっつってんの!」
「ああ、次の日曜日だけど」

 まさやんにせっ突かれたから正直に話すと

「ああ~……日曜日かぁ」

 まさやんは残念そうに眉を下げる。

「えっ? 日曜日ってダメ? 俺も彼女もバイトない日が日曜日だから昼前から会おうかなと思ったんだけど……」

 お互い都合がつく日が日曜日なんだから、まさやんに残念がられる筋合いはなく、ちょっとだけムッとしていると

「じゃあさぁ、親友の俺があおにオススメのカフェを教えてあげるー♪」

 ニコニコしながらまさやんはスマホ画面を俺に向けてきた。

「カフェ?」
「そうそう! カップルにめちゃくちゃ人気のお店なんだよ」

 まさやんが見せてきた店舗の外観は昭和レトロ感があって、はなが俺に御礼ランチに誘ってくれた『jolie manteジョリー・マント』に雰囲気が少し似ている。

「カップルに人気って、美味しいご飯とかオシャレなパンケーキとかがあるとか?」

 俺の質問に

「んー……どうだったかなぁ? マズくはなかったけどね」

 と、謎の返答をするから

「それ、本当にカップルに人気のカフェなのか?」

 と、すかさず怪しむ。

「まーまー! 行ったらが分かるから!」

(まさやん、今、「理由」をワザと強調したな?)

 尚も謎な言い回しをするまさやんに不信感が高まっていく。

「大丈夫大丈夫! このカフェね、割引券くれるし。お得なんだよ」
「お得……」
「そーそー! お得なのは嫌じゃないだろ? 学生だし」
「まぁ……そうだけど」
「カフェの近くも満載だから楽しめるはずだよ」

 怪しさ満載ではあるけれど、店の外観は悪くないし親友がこれだけオススメするんだから変な店というわけでもないんだろう。

「まさやんが激推しするなら……」

 親友のプッシュを信じて、日曜日のデートはそのカフェでランチを楽しみ、そこからは近くの人気スポットとやらではなと色々楽しんでみようと決めた。
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