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Chapter5:告白
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しおりを挟む「わあぁ~! 内定おめでとうあおくんっ!!」
みどりちゃんの旦那様から教えてもらったブランド名を参考にネクタイピンを選び、手元に届いたタイミングであおくんから素敵なお知らせが届いた。
『この後授業あるのに電話しちゃってごめんねはなちゃん』
「報告嬉しいよ~♪ わざわざ電話してくれてありがとう」
(ちょうど昨日届いたばかりだから絶妙なタイミングだぁ♪ めちゃくちゃ嬉しいよ~)
内定した企業はあおくんが希望していた職種だ。
『はなちゃん、いつも応援してくれたから』
「あおくんの実力で勝ち取ったんだもん、私の応援なんて微々たるもんだよぅ」
『そんな事ないよ、すごく感謝してる』
私が出来たのは言葉通り微々たるものであおくんに何もしていないに等しい。
それなのにあおくんは嫌味のない感謝の言葉を述べてくれた。
(嬉しい♪ さすが私の好きな人っ♪)
『ごめんね時間取らせて。次の授業頑張ってね』
「うん! あおくんは体を休めてね! 美味しいものいっぱい食べてね」
『ありがとう。またね』
「うん、またね」
通話を切って、私は音羽ちゃん紗羅ちゃんに向かってピースサインすると
「おお~!」
「良かったね!」
2人とも自分の事のように喜んでくれた。
「うんっ! 今度会える時にネクタイピンのプレゼント渡すぅ」
私の言葉に紗羅ちゃんはピッと人差し指を立てて
「そしたら、いつでも渡せるようにプレゼントを持っていたら良いんじゃない? 大学に持っていくのはアレだけど、バイトの時にはロッカーに入れておくとか」
と、アドバイスしてくれた。
「なるほど! むしろ私の家じゃなくてコンビニのロッカーに入れとこうかなぁ。出掛け前は必ず店舗通り過ぎるしロッカーに鍵かけられるし……」
「まあ、はなちゃんがあおくんに手渡ししやすい方法をとるのが一番なんだけどね」
「ありがとう紗羅ちゃん♪」
と、いう事でその翌日。
私はレジ業務ではなく、事務作業をスタッフルームの中で行っていた。
もちろん紗羅ちゃんのアドバイス通りネクタイピンのプレゼント袋はロッカーに入れている。
(あおくんにいつ会えるかなぁ? 内定決まったって事は、これからは会いやすくなるんだよね?)
次に会える日はいつかとワクワクしたり……
(私から会いたいってお誘いしてもよいのかなぁ? 仲良しさんの関係だからOK? 大胆すぎるかな?)
ドキドキしたりしながら、作業を終えて……
「よしっ! 終わったぁ~!! みどりちゃんに上がる事伝えようっと」
今日も16時からバイトに入っているみどりちゃんに私のバイト上がりともうすぐチャコ叔母さんが会議から戻ってくる旨を伝える為、私はスタッフルームの扉を開けて店内に顔をひょこっと出したんだ。
すると……
「あっ! あおくん?!」
自動扉がガーッと開いてあおくんが店内に入ってきたからそっちに注文してしまった。
「あ……はなちゃん」
「どうしたの? あおくん」
ビックリと嬉しさが入り混じり、あおくんへと駆け寄る。
(うわああぁ……久しぶりの身長差ぁ)
リアルな動くあおくん……というよりは、通話では感じられない身長差にドキッとしたんだ。
(私の頭の上にあおくんの頭があるぅ)
私の身長は155㎝で、あおくんは170㎝。
手のひら一つ分の身長差はスマホ上では感じることが出来ない。
(リアルってすごい……)
だからこそ、今この瞬間めちゃくちゃドキドキキュンキュンしてしまっていた。
「今日はこの時間にバイト終わるって聞いていたから……来ちゃった」
あおくんはニコニコっと私に微笑みながら来てくれた理由を話してくれる。
「来ちゃった……かぁ」
理由のないような「来ちゃった」が、本当に嬉しい。
「うん」
「嬉しい♪」
「うん……」
雑誌コーナーの前で見つめ合い照れ笑いしていたら、あおくんが恥ずかしそうに目線をそらした。
(いけないっ! 話題変えなくちゃ!)
「あ、そうだ。近くの桜並木ね、ちょうどいい紅葉になってるんだよ! 今日は良い天気で夕日も綺麗に見えるかも」
私は話題転換にと、並木道の散歩に誘った。
ちょうど私の手にはあおくんへのプレゼントがある。
(綺麗な葉っぱを見ながらベンチに座ってプレゼントを渡す……うん! 完璧なプランだ!!)
「うん、見てみたいな」
あおくんも私の提案に乗ってくれ、脳内でガッツポーズをとる。
(プラン決行だぁ! うまく行きそうな予感しかしないっ!)
「じゃあ、ホットコーヒー買ってくるね!」
私はみどりちゃんに業務連絡するついでにコーヒーの注文をしようとすると
「あっ! 俺が払うよっ」
あおくんは私の後ろにピッタリついてきて奢ってくれると言う。
「えっ? いいよぅコーヒーくらい」
「ポイント貯まって、そろそろ期限切れちゃうから」
「そうなの?」
「うんうん! ポイント使っておきたいなー……なんて」
(ポイントかぁ……それなら断れないなぁ)
「そっかぁ、じゃあお願いしますっ」
「うん、まかせて」
私は支払いをあおくんに任せ、その間にみどりちゃんへ連絡した。
「そうですか……」
みどりちゃんの目線が私の斜め上へと向く。
「みどりちゃんを5分くらい1人にさせちゃうから申し訳ないんだけど」
私の言葉にみどりちゃんは軽くコクンと頷き
「大丈夫ですよ、5分程度でしたら。華ちゃん先輩は予定入ったみたいですし」
と、色々察してくれてとってもありがたい。
「ありがとうみどりちゃん」
「頑張って下さいね華ちゃん先輩」
「頑張って」が意味深に聞こえるけど、そもそもネクタイピンのアドバイスをくれたのはみどりちゃんだし無碍にはしたくない。
「うん」
私はみどりちゃんにヒラヒラ手を振り、コーヒー2つとも持ってくれるあおくんと一緒に外へと出た。
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