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Chapter5:告白

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 メンタル削られ続けたら就活も、ここでようやく実を結び……

『わあぁ~! 内定おめでとうあおくんっ!!』

 無事、内定の連絡を受け取る事が出来た。

「この後授業あるのに電話しちゃってごめんねはなちゃん」
『報告嬉しいよ~♪ わざわざ電話してくれてありがとう』

 嬉しさのあまり、俺は真っ先に彼女へ電話をかけ喜びを一層噛み締める。

「はなちゃん、いつも応援してくれたから」
『あおくんの実力で勝ち取ったんだもん、私の応援なんて微々たるもんだよぅ』
「そんな事ないよ、すごく感謝してる」

 はなちゃんは謙遜するけど、彼女とメッセージや通話のやり取りなくしてここまで来れなかったと俺は思う。

「ごめんね時間取らせて。次の授業頑張ってね」
『うん! あおくんは体を休めてね! 美味しいものいっぱい食べてね』
「ありがとう。またね」
『うん、またね』

 俺は通話を切って、ほうっと溜め息をついた。

(幸せだ……)

 もちろんこの幸せは内定通知だけが理由じゃない。

(この幸せをずっとずっと感じていたい)

 スマホをポケットの中にしまっても、思い浮かべるのははなちゃんの優しい笑顔ばかり。

(明日……はなちゃんに告白しよう)

 俺は2ヶ月前から決意していた事を、明日の夕方決行しようとしていた。




 翌日。
 今日は俺はバイトも入れず一日フリー。
 はなちゃんは珍しくレジとは別の業務をしているらしく17時過ぎに上がれるようだ。

(ああぁっ……告白かぁ。緊張するなぁ)

 一日フリーだったから、午前中に秋服を買いピシッと決めてみた。
 髪も眉もいつも以上に整えたし、見た目はバッチリだと……思う。


 はなちゃんが働くコンビニに到着し、店内を覗くと金髪の女性がキビキビと動いて圧倒された。

(あの人が「みどりちゃん」かな?)

 はなちゃんからは度々話に聞いている、バイトの後輩。

(凄いな……ベテランみたいにフットワーク軽い……)

 「金髪のギャルママ」というパワーワードにたじろいでしまったけれど、想像していたのとは良い意味で裏切られた。

(久子さんやはなちゃんが居るコンビニだもんなぁ。バイトとはいえ従業員さんみんなしっかりしてるんだなぁ……)

 あまりにもしっかりしているので、店舗の前でジロジロ見るだけでは申し訳ない気持ちになる。

(はなちゃんと話をするんだから、コーヒー2つくらい買っておこうっと)

 そう思って自動ドアを開けると

「いらっしゃいませこんにちは」

 というみどりちゃんの声に被るように

「あっ! あおくん?!」

 スタッフルームから私服姿のはなちゃんが出てきて全身がカッと熱くなった。

「あ……はなちゃん」
「どうしたの? あおくん」

 トコトコと駆け寄ってくるはなちゃんはやっぱり可愛い。

(久しぶりのリアルはなちゃんだぁ)

「今日はこの時間にバイト終わるって聞いていたから……来ちゃった」

 もっと良い言い方もあったはずなのに、目の前で可愛らしく動くはなちゃんにドキッとして、ガキみたいな返事をしてしまった。

「来ちゃった……かぁ」

 上目遣いで俺の言葉を繰り返すはなちゃんは本当に可愛い。

「うん」

 見つめていたら溶けてしまいそうだ。
 思わず目を逸らしてしまった。

「嬉しい♪」
「うん……」

 こんなに喜んでくれているのに、直視出来ない自分がちょっと情けない。

「あ、そうだ。近くの桜並木ね、ちょうどいい紅葉になってるんだよ! 今日は良い天気で夕日も綺麗に見えるかも」

 はなちゃんは店の向こう側を指差す。

「うん、見てみたいな」

 ……実は、俺もはなちゃんと色付いた桜の葉を見たくてこの時間帯を狙って来たんだ。だけど言えない。

(ああっ! 俺の馬鹿っ! 今から告白しようとしているのに気の利いた言葉も言えないなんてっ!!)

「じゃあ、ホットコーヒー買ってくるね!」

 なんとはなちゃんは俺が今しようとしていたコーヒーをみどりちゃんに注文しに行ってしまった。

「あっ! 俺が払うよっ」

 はなちゃんについていきながらスマホを取り出すのが精一杯。

「えっ? いいよぅコーヒーくらい」
「ポイント貯まって、そろそろ期限切れちゃうから」
「そうなの?」
「うんうん! ポイント使っておきたいなー……なんて」

(ああぁぁぁ馬鹿……俺って本当に馬鹿だ、情けなさすぎる……)

「そっかぁ、じゃあお願いしますっ」
「うん、まかせて」

(確かに期限切れ間近のポイントがあるんだけど……)

 俺はみどりちゃんに注文し、スマホをかざす。

(本当はこんな流れでの支払いにはしたくなかった……なんというか、もうちょっとスマートな流れでコーヒーを買っておきたかった)

 悪いことをしていないのに「ごめんなさい」って気になってしまう。


 
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