【完結】今日はキミと何をしよう？

Chapter4:海の家

④

「いやー、すごく助かったよ！　2人とも、本当にありがとう！！」

　ゴミ拾いしていたらポリ袋いっぱいになるくらいの量が拾えて、店長であるまさやんのお兄さんからめちゃくちゃ感謝された。

「いえいえ」
「おかげで明日のメンバーには集合時間遅いので連絡できるよ。明日の子達喜ぶと思うんじゃないかな」
「店長さんのお役に立てて嬉しいです」
「本来なら残業代支払わなくちゃいけないんだけど……」
「いえいえ残業代が欲しくてゴミ拾いしたわけじゃないですから」

　お財布を出しているお兄さんにはなちゃんは首も手もブンブン振って恐縮するも、俺の顔をチラ見した途端

「あ、でも彼は本当に良く頑張っていましたから残業代なら彼の方に渡してください」

　なんて涙が出てくるような発言に変えたのでめちゃくちゃビックリした。

「いやいやいいよいいよはなちゃん！　そんな事言わなくても」
「だってあおくん、本当に頑張っていたんだもん！　ゴミ拾いだって尖ったものがあるのに手で全部拾ってたし」
「それは全然……危ないゴミマジでなかったから」

「よしっ！！　2人とも良い子だってのは分かった！！」

　2人でそんな言い合いをしていたら、お兄さんはパンッと手を叩いて

「ちょっとだけ待ってな……いいもんか分かんないけど、お土産渡してあげるよ」

　一旦店の裏へと戻って、両手に手持ち花火セットを持って戻ってきた。

「今度雅志まさしが泊まりのバイトするって時用に買い置きしてた分なんだ。2人にあげるよ」
「「えっ？」」

　いきなりの花火セットに俺とはなちゃんの声がユニゾンする。

「一応兄貴だからさ、弟の為に用意してやったんだけど思えばアイツ、夜に花火やっても片付けは次の日って先延ばしするんだよ。んなヤツにいちいち花火買っておく義理はねぇなって2人見てたら思ったんだ」
「店長さん……」
「お兄さん……」

　お兄さんは強面こわもてだし商売に関してはガチな人だけど、真面目なバイトにはめちゃくちゃ優しくしてくれる。それは去年も感じてはいたけれど、花火セットのお土産までもらうなんて思ってもみなかった。

「雅志には『自分で買って持ってこい』って言っておくからもらってやって」
「「ありがとうございます！」」

　俺もはなちゃんも同時に頭を下げて……

「良かったね♪　あおくん」
「うん！　良かったね♪」

　顔を見合わせてニコニコと微笑み合った。



　俺達は電車に乗って帰宅し、待ち合わせした駅近くのファミレスで晩飯を済ます。

　もらった花火はそのまま俺のマンション近くにある花火OKな公園で楽しみ、はなちゃんはコンビニのレジ業務を終えた久子ひさこさんに迎えに来てもらう事になった。

「めちゃくちゃ充実した1日だったね」

　花火を片付け終え、久子さんの車が到着するまではなちゃんと会話を楽しんだ。

「そうだね。電車の中で俺も寝ちゃった」
「私も～！　気がついたら2人とも頭をお互いの肩に乗っけちゃってたよね」
「うん、俺の頭重たくなかった？」
「全然～熟睡しちゃってて重さなんて気付かなかったから」
「でも、楽しかったよね♪」
「うん♪　すっごく良い夏の思い出になったよー」

　朝早くから夜まではなちゃんと一緒に居られて楽しかったし、彼女の言う通り今日は忘れられない思い出となった。

「そうだね……」

　良い思い出となったし、はなちゃんの素敵な一面を色々と知れて有意義な時間が過ごせたと本気で思っている。

（内定が取れて落ち着いたら…………）

　可愛くて、かっこいい部分もあって、ダイアモンドみたいにキラキラと輝いているような彼女を手放したくないとさえ思っていて……

（はなちゃんに、告白しよう……必ず）

　そう、心に決めたのだった。