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【番外編】ふわふわな日(朝香side)
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「あ……」
「あの時、あーちゃんのナカで出さなかったけど、それでも妊娠する事はあるから」
「……」
「まして、あーちゃんの生理あったの、ちょうど2週間前だし」
りょーくんは私の両肩に手を置いてずっと「ごめんなさい」してくる。
「りょーくん……」
「最低だよね、こんな男。朝起きてそれに気付いて『ヤバい!』って焦ったんだけどさ、思い付いたのが『コンビニや24時間営業のドラッグストアでゴム買おう』でさ……それであーちゃんがまだ眠ってる隙に買いに行ったんだ。
それで、帰ってきたらのうのうとまたあーちゃんのそばで添い寝して」
「最低じゃないよ」
私は、目を潤ませている彼にそう言い、自分の頭を温かな胸に埋める。
「あーちゃん……」
「最低なんて思わないよ。だって昨夜のりょーくんはとても優しかったし私もいっぱい気持ち良くなったし、もしそれでりょーくんとの赤ちゃんが出来てたって後悔はしないよ」
「そんな……」
声を震わせる彼の背中に自分の腕を回し、ギュッと抱き締めて、私は顔を上げてニッコリ笑ってみせた。
「それに私、普通より生理周期長めなんだ。だから、生理開始から2週間ならまだ全然平気なの」
「えっ?」
「いつも35日周期でね、35日より早まった時がないの。念の為に生理周期を記録するアプリを使ってて、確か今の日数なら妊娠の可能性まだ低いかも」
「それ、本当?」
「うん、絶対ってわけじゃないんだけどね」
私は彼を安心させる意味でベッドから起き上がり、スマホのアプリを開く。
「生理周期が長いから、高校生の時に病院で診てもらった事もあるんだ。自分の体だけど目に見える場所じゃないから、そこはきちんと確認したくて。最近は仕事が忙しくてサボっちゃってたけど毎朝体温も測ってたんだ」
「そうなんだ……俺も見ていい?それ」
「いいよ。これが私の基礎体温グラフで」
「基礎体温?」
りょーくんはアプリに興味が出たみたいで、私のスマホを覗き込んで良いか確認してきたから遠慮なく見せてあげ、詳しく教えてあげた。
「……っていう感じ」
私だけ全裸でりょーくんだけ服着て、2人共ベッドの上に座ってアプリを真面目に見ているのって状況的に変かな?とも思うんだけど、りょーくんは凄く真剣に私の説明を聞いてくれてめちゃくちゃ学んでる!って雰囲気でいたから、こういう事を伝えるのにちょうどいいタイミングでもあったのかなと思い直す。
「凄く分かりやすかった。教えてくれてありがとうあーちゃん! 俺、凄く頑張る!!」
「こちらこそ長々と聞いてくれてありがとうりょーくん!」
りょーくんの「凄く頑張る」の言い方が少年っぽくて笑いが出ちゃいそうになるけど、優しくて誠実なりょーくんそのものを表しているようでとても好感を得た。
「このアプリ、俺も時々見ていい?」
「もちろん♪」
「俺にとっても大事な事だし」
「うん」
「あと、『体温測るのサボりがちだった』っていうあーちゃんの言葉が気になったかな。そこはちゃんと頑張ろう! 俺もちゃんと声かけて協力出来る事はするから」
「うん♪」
「あと、やっぱり何かあーちゃんの体に異変とかあったら細かい事でも教えて。生理がちょっとでも遅れてるだとか、そういう事」
「そうだね」
「絶対に責任取るから! 大学辞めてでもあーちゃんを守って、しっかり働くから!」
「りょーくんにとって大学が大事なのは良く知ってるから、私も私で自分の体調にしっかり責任持つよ。避妊は100%ではないから、出来る限りって事で」
りょーくんは見た目と真反対の、真面目な性格だなぁってつくづく感じるし、ここまで女性に対して誠実で真面目な男性ってなかなか居ないんじゃないかとさえ思う。
(初体験の相手がりょーくんで本当に良かったなぁ……私も自分の体なんだから、りょーくんに負けないくらい真面目に基礎体温とか避妊とか気をつけなくちゃ!)
「あの時、あーちゃんのナカで出さなかったけど、それでも妊娠する事はあるから」
「……」
「まして、あーちゃんの生理あったの、ちょうど2週間前だし」
りょーくんは私の両肩に手を置いてずっと「ごめんなさい」してくる。
「りょーくん……」
「最低だよね、こんな男。朝起きてそれに気付いて『ヤバい!』って焦ったんだけどさ、思い付いたのが『コンビニや24時間営業のドラッグストアでゴム買おう』でさ……それであーちゃんがまだ眠ってる隙に買いに行ったんだ。
それで、帰ってきたらのうのうとまたあーちゃんのそばで添い寝して」
「最低じゃないよ」
私は、目を潤ませている彼にそう言い、自分の頭を温かな胸に埋める。
「あーちゃん……」
「最低なんて思わないよ。だって昨夜のりょーくんはとても優しかったし私もいっぱい気持ち良くなったし、もしそれでりょーくんとの赤ちゃんが出来てたって後悔はしないよ」
「そんな……」
声を震わせる彼の背中に自分の腕を回し、ギュッと抱き締めて、私は顔を上げてニッコリ笑ってみせた。
「それに私、普通より生理周期長めなんだ。だから、生理開始から2週間ならまだ全然平気なの」
「えっ?」
「いつも35日周期でね、35日より早まった時がないの。念の為に生理周期を記録するアプリを使ってて、確か今の日数なら妊娠の可能性まだ低いかも」
「それ、本当?」
「うん、絶対ってわけじゃないんだけどね」
私は彼を安心させる意味でベッドから起き上がり、スマホのアプリを開く。
「生理周期が長いから、高校生の時に病院で診てもらった事もあるんだ。自分の体だけど目に見える場所じゃないから、そこはきちんと確認したくて。最近は仕事が忙しくてサボっちゃってたけど毎朝体温も測ってたんだ」
「そうなんだ……俺も見ていい?それ」
「いいよ。これが私の基礎体温グラフで」
「基礎体温?」
りょーくんはアプリに興味が出たみたいで、私のスマホを覗き込んで良いか確認してきたから遠慮なく見せてあげ、詳しく教えてあげた。
「……っていう感じ」
私だけ全裸でりょーくんだけ服着て、2人共ベッドの上に座ってアプリを真面目に見ているのって状況的に変かな?とも思うんだけど、りょーくんは凄く真剣に私の説明を聞いてくれてめちゃくちゃ学んでる!って雰囲気でいたから、こういう事を伝えるのにちょうどいいタイミングでもあったのかなと思い直す。
「凄く分かりやすかった。教えてくれてありがとうあーちゃん! 俺、凄く頑張る!!」
「こちらこそ長々と聞いてくれてありがとうりょーくん!」
りょーくんの「凄く頑張る」の言い方が少年っぽくて笑いが出ちゃいそうになるけど、優しくて誠実なりょーくんそのものを表しているようでとても好感を得た。
「このアプリ、俺も時々見ていい?」
「もちろん♪」
「俺にとっても大事な事だし」
「うん」
「あと、『体温測るのサボりがちだった』っていうあーちゃんの言葉が気になったかな。そこはちゃんと頑張ろう! 俺もちゃんと声かけて協力出来る事はするから」
「うん♪」
「あと、やっぱり何かあーちゃんの体に異変とかあったら細かい事でも教えて。生理がちょっとでも遅れてるだとか、そういう事」
「そうだね」
「絶対に責任取るから! 大学辞めてでもあーちゃんを守って、しっかり働くから!」
「りょーくんにとって大学が大事なのは良く知ってるから、私も私で自分の体調にしっかり責任持つよ。避妊は100%ではないから、出来る限りって事で」
りょーくんは見た目と真反対の、真面目な性格だなぁってつくづく感じるし、ここまで女性に対して誠実で真面目な男性ってなかなか居ないんじゃないかとさえ思う。
(初体験の相手がりょーくんで本当に良かったなぁ……私も自分の体なんだから、りょーくんに負けないくらい真面目に基礎体温とか避妊とか気をつけなくちゃ!)
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