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片想いの隣人と忘れられない後ろ姿
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しおりを挟む「だから、『付き合いませんか?』って村川さんに告白したんだよ俺は」
「告……白……?」
その上素敵な笑顔を私に向け続けながら「告白」の言葉までハッキリと示してくる彼の行動が余計に嬉しくて体がポカポカと温まっていく。
「俺……朝にそこの階段のところで村川さんと出会った時から、なんか……『可愛いな』って、実は……思ってて」
「ええっ?か、可愛い??!」
ポカポカ温まっている体に追い討ちをかけるような「可愛い」のフレーズが思いがけず、脳内処理が追いつかない。
「うん、村川さんの事を可愛いって今も思ってるし、一緒に居て凄く癒されるって感じるよ」
「そんな……」
多分、私の肌は今全部真っ赤になってる筈だ。そのくらい、全身が熱くて熱くてたまらない。
「あははっ。村川さん、顔も耳も首もピンク色だ♪ 可愛い♡」
そんな私を、笠原くんは屈託のない表情で褒め、今度は頬に優しく触れる。
「ぁっ」
「今の声も可愛くて好き。見た目や雰囲気だけじゃないよ、オムライスも美味しくてまた食べたいって思ったし、コーヒーについて詳しく話してくれる村川さんの目がキラキラ輝いているのも、凄く素敵だなって思ってる」
頬に触れてきた彼の指先は、微かに震えている。けれども触れ方はとても大胆で熱く、頬から顎のラインへとゆっくり降りていった。
「んぁ……」
その触れ方がとてもセクシーで、思わず変な声や吐息が私の口から漏れる。
「もう一度言うよ、村川朝香さん」
「はい……」
いつの間にか私の顎は彼の指先によって軽く摘まれ、彼の顔がどんどん近付いていって
「俺は、村川朝香さんの事が好きです。一目惚れしました。だから、俺と付き合ってくれませんか?」
愛の告白をする彼の息が顔全体に温かくかけられる。
それは、ニカラグアコーヒーのフルーティーさやほんのりとした甘さが感じられる……魅惑的な吐息だった。
「えっと……」
「返事、もらえませんか?こんな俺じゃ力不足かな……」
「そんな……事は」
「じゃあ、村川さんは……朝香さんは、俺の事をどう思ってくれてる?不快に……感じる?」
不快になんて感じるわけがない。
だって今、もっともっと彼の顔が接近していて、額までくっついちゃってるのにドキドキしかしてないんだから。
「私も……笠原くんの事……」
「うん?」
額がくっついて……鼻先もチョンッとくっついて……。
摘まれている顎が、ゆっくりと……彼の方へと引き寄せられていってて。
「私……本当、は……」
「うん」
呼吸していいのか分からないくらい、私は今彼と接近している。
接近の緊張やドキドキさもあるけど、そのくらい近付いているからこそ、この1年の間秘め続けていた彼への想いを吐露せざるを得ない状況になっていた。
「本当は私も、笠原くんの事、一目惚れしてたの。大学の入学式の日に、綺麗な金色の髪や、素敵な出立ちでいるその姿に」
「嬉しい。そんなに前から俺を好きで居てくれたなんて……っ」
彼は言葉を言い終えないうちに
チュッ
と、私の唇に吸い付く。
「!!!!!!!!」
ビックリして目を見開かせる私の唇からすぐに離れ、紅くて柔らかい感触をしていた彼の唇が「ありがとう」と動き、魅惑的で艶めいた吐息を私にフーッとたっぷりかけてきた。
「これからよろしくね。村川……朝香、ちゃん♡」
彼は私から顔を離し、満面の笑みを浮かべている。
私は頭の中が既にお花畑状態になっていて、冷静な判断が何も出来ないまま……。
「はい♡ お願いします♡」
と、彼の目を見つめながら、そう答えたのだった。
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