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2人で眺める永遠への光
★13
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夏実はハッと息を呑んで驚き
「この指輪ってもしかして……?」
と、ケースの中身に顔を近付けようとした。
ここはゴンドラの中だから夏実が急に立ち上がったら危ないと思った俺は、彼女の身体を支えながら
「俺がそっち行くから」
と夏実の座る側に移動し、ほんの少し揺れ傾いたゴンドラ内で夏実を気遣う。
「ダイアモンドは俺が選んだけど、リングの部分は夏実が選んだデザインだよ。2ヶ月くらい前、夏実は今の指輪のクリーニングしてもらっている最中に店長さんと『楽しい雑談』したんだろ? ……その話を店で直接聞いたんだ」
今日の為に準備したエンゲージリングは、以前夏実が一人であの店に立ち寄った際に店長と会話を交えながら「エンゲージリングを作ってもらうとしたらどんなリングのデザインが良いか?」と、夏実が選んだリングだった。
俺が先月頭に店を訪れた際店長は、「営業部員として投げかけた問いではあったが、18歳とは思えないくらいリングを真剣に選んでいて、しかもその場で決められなかったからその後もほぼ毎日店に立ち寄って一つに絞っていた」とその時の夏実の様子を俺に教えてくれた。
卒業後に結婚しようと夏に一度だけ二人で約束しただけで……明確な日程を何も決めていないのに、だ。
「嘘……だってあの時は店長さんと『楽しい雑談だよ』って。店長さんも本当は忙しいのに買うなんて決めてもいないのに、何回も高校生の私に付き合ってくれてただけで」
至近距離で潤ませる夏実の目に、俺は胸がいっぱいになりながら
「それでも夏実が真剣に選んだんだから店長さんは顧客情報にそれを記録していたんだし、エンゲージリングを用意しようとした俺に伝えたんだと思う。だからこれは、夏実と俺とで作った……俺からの一番の『ご褒美』のつもり」
……なんとか目の前の夏実の顔を笑顔にしたくて、言葉を伝える。
「夏実、このエンゲージリングを……受け取って……くれる?」
自分でも思う。仕事の面でも、プライベートの面でも、ここまでお膳立てされたプロポーズは無いだろうと……。
だからこの期に及んで「受け取ってくれるか?」と夏実に言うなんて本当に俺は狡くて醜い中年男だ。
「うっ……」
でも、いつだったか夏実の言っていた「片思いが長い方が想いが強い」に当てはめてみたら俺の方が実は「そう」なんだし、今も言葉を詰まらせて丸く大きな目から大粒の涙をこぼしている夏実の反応が「一体どっちなのか?」と不安になってしまった。
少しだけ沈黙が流れて……
ゴンドラが頂点に達し、一瞬止まったような感覚がした。
「ふふ♡」
その時、涙を流すばかりだった夏実の口角が上がって
「ハグうぅぅ♡」
と、俺の耳に可愛い声で夏実は囁く。
ゴンドラが再び動き出し、ゆっくりと下がっていくような感覚を、夏実の身体を抱きとめながら俺は感じ
「愛してる。今までもそうだし、これからもずっとそれは変わらない」
改めて彼女と至近距離で向き合って、誕生日の夜にプラチナリングを嵌めた時と同じ行動を俺は取る。
ケースから、リングを外して……
まるで、一つの儀式をするかのように……
夏実の左手をとって……
「生涯俺は……」
そこまで言って薬指の第二関節のところまで指輪を通して……
「夏実を愛し続けます」
彼女を見つめながら続きの言葉を言い、プラチナリングに重ねる。
「誕生日の時とおんなじだぁ♡」
セットリングとなった薬指を見つめながら夏実は嬉しそうに微笑む。
「あの時は愛してるじゃなくて、これからもよろしく……みたいな感じだったけどな」
「誕生日も嬉しかったけど、プロポーズしてくれた今も嬉しい♡」
「良かった……俺も、夏実が喜んでくれて嬉しいよ」
「ふふ♡」
俺も嬉しくて笑顔になってるつもりのだが、夏実は更に輪をかけて嬉しそうに笑う。
「私も湊人を……」
俺の首元を温めていたスヌードを外し、自分のも脱ぐと
「生涯愛し続けます♡」
そう、俺の耳に可愛い声で囁いて……
カプッと首の付け根を甘噛みしたり、鎖骨をペロンと舐めてきた。
「んあぁっ!」
思わぬ夏実の行動に変な声が出て、驚きの意味で夏実の肩を掴み引き剥がそうとしたのだが
「エンゲージリングのお返しがしたいんだもん♡」
18歳の少女には似つかわしくない、発情した息遣いと艶のある声がまた俺との密着を試みる。
「お返しはぁっ……っあ、いいってぇ……」
「言葉と声が合ってないよぉ湊人ぉ? はむっ♡」
「あぁ……はむはむヤバいぃ……」
「はむはむ好きでしょ? 私、もう湊人の気持ちいいところぉ、いっぱい知ってるんだから♡」
「あっ……」
夏実の唇や舌が、俺の性感帯を甘く刺激する。
「っ、はあ……」
やわらかな水蜜桃から漏れ出る甘い蜜が、ピンク色の舌との接触によって首や鎖骨を濡らす度に、俺は口から男らしくもない喘ぎ声を漏らして発情する。
「そんな事されたら……キスしたくなるっ!」
「キスしよっ♡ 湊人好きぃ♡ 大好き♡ 愛してる♡」
「俺も夏実が好き。大好き。愛してる……」
舌と唾液と……喘ぐ声。
高め合った欲情は、互いの口で愛撫して、愛の言葉を掛け合い……また更に欲情する。
そんなエンドレスな愛の行為をゴンドラが下がっていく中ずっとやっていると、脳が蕩けて抱き合う夏実と共に沼のようなものにはまってズブズブと落ちていく気さえしてしていた。
「この指輪ってもしかして……?」
と、ケースの中身に顔を近付けようとした。
ここはゴンドラの中だから夏実が急に立ち上がったら危ないと思った俺は、彼女の身体を支えながら
「俺がそっち行くから」
と夏実の座る側に移動し、ほんの少し揺れ傾いたゴンドラ内で夏実を気遣う。
「ダイアモンドは俺が選んだけど、リングの部分は夏実が選んだデザインだよ。2ヶ月くらい前、夏実は今の指輪のクリーニングしてもらっている最中に店長さんと『楽しい雑談』したんだろ? ……その話を店で直接聞いたんだ」
今日の為に準備したエンゲージリングは、以前夏実が一人であの店に立ち寄った際に店長と会話を交えながら「エンゲージリングを作ってもらうとしたらどんなリングのデザインが良いか?」と、夏実が選んだリングだった。
俺が先月頭に店を訪れた際店長は、「営業部員として投げかけた問いではあったが、18歳とは思えないくらいリングを真剣に選んでいて、しかもその場で決められなかったからその後もほぼ毎日店に立ち寄って一つに絞っていた」とその時の夏実の様子を俺に教えてくれた。
卒業後に結婚しようと夏に一度だけ二人で約束しただけで……明確な日程を何も決めていないのに、だ。
「嘘……だってあの時は店長さんと『楽しい雑談だよ』って。店長さんも本当は忙しいのに買うなんて決めてもいないのに、何回も高校生の私に付き合ってくれてただけで」
至近距離で潤ませる夏実の目に、俺は胸がいっぱいになりながら
「それでも夏実が真剣に選んだんだから店長さんは顧客情報にそれを記録していたんだし、エンゲージリングを用意しようとした俺に伝えたんだと思う。だからこれは、夏実と俺とで作った……俺からの一番の『ご褒美』のつもり」
……なんとか目の前の夏実の顔を笑顔にしたくて、言葉を伝える。
「夏実、このエンゲージリングを……受け取って……くれる?」
自分でも思う。仕事の面でも、プライベートの面でも、ここまでお膳立てされたプロポーズは無いだろうと……。
だからこの期に及んで「受け取ってくれるか?」と夏実に言うなんて本当に俺は狡くて醜い中年男だ。
「うっ……」
でも、いつだったか夏実の言っていた「片思いが長い方が想いが強い」に当てはめてみたら俺の方が実は「そう」なんだし、今も言葉を詰まらせて丸く大きな目から大粒の涙をこぼしている夏実の反応が「一体どっちなのか?」と不安になってしまった。
少しだけ沈黙が流れて……
ゴンドラが頂点に達し、一瞬止まったような感覚がした。
「ふふ♡」
その時、涙を流すばかりだった夏実の口角が上がって
「ハグうぅぅ♡」
と、俺の耳に可愛い声で夏実は囁く。
ゴンドラが再び動き出し、ゆっくりと下がっていくような感覚を、夏実の身体を抱きとめながら俺は感じ
「愛してる。今までもそうだし、これからもずっとそれは変わらない」
改めて彼女と至近距離で向き合って、誕生日の夜にプラチナリングを嵌めた時と同じ行動を俺は取る。
ケースから、リングを外して……
まるで、一つの儀式をするかのように……
夏実の左手をとって……
「生涯俺は……」
そこまで言って薬指の第二関節のところまで指輪を通して……
「夏実を愛し続けます」
彼女を見つめながら続きの言葉を言い、プラチナリングに重ねる。
「誕生日の時とおんなじだぁ♡」
セットリングとなった薬指を見つめながら夏実は嬉しそうに微笑む。
「あの時は愛してるじゃなくて、これからもよろしく……みたいな感じだったけどな」
「誕生日も嬉しかったけど、プロポーズしてくれた今も嬉しい♡」
「良かった……俺も、夏実が喜んでくれて嬉しいよ」
「ふふ♡」
俺も嬉しくて笑顔になってるつもりのだが、夏実は更に輪をかけて嬉しそうに笑う。
「私も湊人を……」
俺の首元を温めていたスヌードを外し、自分のも脱ぐと
「生涯愛し続けます♡」
そう、俺の耳に可愛い声で囁いて……
カプッと首の付け根を甘噛みしたり、鎖骨をペロンと舐めてきた。
「んあぁっ!」
思わぬ夏実の行動に変な声が出て、驚きの意味で夏実の肩を掴み引き剥がそうとしたのだが
「エンゲージリングのお返しがしたいんだもん♡」
18歳の少女には似つかわしくない、発情した息遣いと艶のある声がまた俺との密着を試みる。
「お返しはぁっ……っあ、いいってぇ……」
「言葉と声が合ってないよぉ湊人ぉ? はむっ♡」
「あぁ……はむはむヤバいぃ……」
「はむはむ好きでしょ? 私、もう湊人の気持ちいいところぉ、いっぱい知ってるんだから♡」
「あっ……」
夏実の唇や舌が、俺の性感帯を甘く刺激する。
「っ、はあ……」
やわらかな水蜜桃から漏れ出る甘い蜜が、ピンク色の舌との接触によって首や鎖骨を濡らす度に、俺は口から男らしくもない喘ぎ声を漏らして発情する。
「そんな事されたら……キスしたくなるっ!」
「キスしよっ♡ 湊人好きぃ♡ 大好き♡ 愛してる♡」
「俺も夏実が好き。大好き。愛してる……」
舌と唾液と……喘ぐ声。
高め合った欲情は、互いの口で愛撫して、愛の言葉を掛け合い……また更に欲情する。
そんなエンドレスな愛の行為をゴンドラが下がっていく中ずっとやっていると、脳が蕩けて抱き合う夏実と共に沼のようなものにはまってズブズブと落ちていく気さえしてしていた。
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