【完結】彼女が18になった

チャフ

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2人で眺める永遠への光

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「あー!! すっごく楽しい!」

 遊園地のメインゲートを通過して数時間、夏実は俺の腕をグイグイ引っ張って絶叫系アトラクションに乗りまくっている。

「はは……20年ぶりに乗るから流石に俺は疲れたかも」
「私が楽しんだ分、湊人に無理させちゃったよね? もうしばらく休憩していようか? 顔は青くないみたいだけど……」

 ご褒美遊園地デートなんだから思いのままはしゃいで楽しんでいればいいのに、夏実はインドアでマスク無しの俺を気遣ってくれている。

「全国で1番人の多いテーマパークじゃなければなんとかなるよ。冬休みに入る時期だから今日もそれなりに多いんだろうけど」
「しんどくない?」
「しんどくはないよ、寧ろ楽しんでるさ」
「湊人が楽しいなら私も嬉しい♪」

 休憩がてら一緒に昼食をとり、夏実の元気で明るい様子を眺めていると、「疲れたけれどやはり連れて来てよかった」という喜ぶ娘の笑顔に和む父親みたいな心境になった。


「それにしても湊人がこんなに絶叫マシン乗れるなんて知らなかったよ。私が物心ついた頃は湊人そういう乗り物も場所も行くイメージなかったもん」
「確かに俺が行ってたのは夏実が生まれる前の話だからなぁ。あとは高校の遠足とか」
「えー湊人の時代って遠足に遊園地行ったんだ? いいなぁ~静華さんも今の私みたいにいっぱい乗るタイプ?」
「静華はガンガン乗るタイプで、俺はその頃にはもう積極的には乗らなかったな。だからあいつ一人で行かせて俺は下で待ってるタイプ」
「そっかぁ~……今年は遠足じゃなくて球技大会だったからなぁ本当に羨ましい」
「それもあったから連れて行きたかったんだよ。最近静華と夏実仲良くしてるから、あいつからそういうエピソード聞く機会があるんじゃないかと思ったし、あと本当に期末試験頑張っていたから」
「でも期末試験頑張った程度なのに、ここまでご褒美くれるなんて大袈裟過ぎないかな?」
「夏実にとっては学生最後のテストになるかもしれないだろ? 卒業何年かして大学受験するなら話は別になるけど」

 俺の「学生最後のテスト」の言葉に、夏実は深く大きく頷く。
 実際未来はどうなるか分からないが、現段階で夏実は「そのつもり」なのだろうという気持ちをその仕草で俺は察した。


「日が落ちたら、ここのイルミネーション凄いらしいよ。今年はここの球数多いらしくて雰囲気が日中と違うってネットで書いてあった」
「昼間もこんなに楽しいのに夜も凄いの!? ご褒美なんていうレベルじゃないくらいヤバい!!」
「俺もネットの画像でしか知らないけどガチでヤバいらしいから、今のうちに夏実の乗りたいものたくさん乗っておこう」
「うん! でも湊人は無理しないでね! しんどくなったらいつでも言ってね!」
「だいぶ休憩出来たから今はもう平気だよ。ありがとう夏実」

 ヤバイ! と言いながら興奮する夏実も、やっぱり俺の事を彼女らしく気にしてくれていて……。
 少々疲れていようが、こんな俺に気遣いする優しくて可愛い夏実に付き合わなきゃ男が廃るだろう。という彼氏としての部分も芽生えたりする。
 その芽生えは先程思った父親みたいな感情よりも大きく、ずっと強いというか……。


 ……とにかく、自分の中でも「パパみ」の部分が少しずつ取れていく感覚も、今この瞬間で感じた。



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