【完結】彼女が18になった

チャフ

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2人で眺める永遠への光

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「先週にさ、お互いの服を選んでおいて良かったよね♪湊人のニットすごく似合ってるよ!スヌードとの組み合わせもすごく合ってる♡」
「夏実も似合ってるよ。髪型変えてヒールの低い靴にするとだいぶ印象変わるんだなって思った」
「『結構歩くから足が疲れやすいよ』って湊人が行き先のヒント出してくれたからねー♪ 逆にヒールのない靴を探しに買い物しちゃったよ~!」
「そうそう、先週夏実の靴も買っておくべきだった。ごめんごめん」
「さっき湊人と車に乗る時も思ったけど、私達って何気に身長差あるよね。
 私が静華さんくらいの身長があれば良かったんだろうけど。170㎝あれば湊人との身長差は15㎝になってちょうど良くなるでしょ?」
「前から言ってるけど、俺が単に身長でかいだけなんだから夏実は自分のファッションに制限つけなくて良いんだよ。
 頑張ってヒールの高い靴履いたり頭に団子作る夏実ももちろん可愛いんだけど、どっちかって言うと俺は無理せずに夏実らしいスタイルでいって欲しいかな」
「そっかぁ♡」
「あと、静華は静華で自分の身長にコンプレックス抱いていたから本人にあんまり『背が高くてカッコいい』みたいなこと言わない方がいいぞ」
「えっ? そうだったの?? 私今まで静華さんに『背が高くてかっこいい』とか『背が高いの羨ましい』とかめちゃくちゃ言ってたかも!!」
「マジか。今はどうか知らないけど高校の頃はかなり気にしてたかなぁ」
「えーそうだったんだぁ……どうしよう私、もしかして静華さんを無自覚に傷付けていて何気に嫌われたりしてんのかな……?」

 付き合いが長い夏実との会話は基本楽しくて途切れることはない。しかし運転しているとついつい会話のハンドルがコントロールできなくなる節がある。
 今だって最初は互いのファッションを褒め合っていたのに、すぐ静華の話題へと転換した。

「うーん……俺の見る限りでは割と普通に夏実と友達やってる雰囲気だから、今は身長のこと気にしてないのかもしれないな」

 ハロウィン仮装以来、静華は夏実と仲良くしているのを俺に完全に隠さなくなったというか、逆に『女同士の仲良しアピール』のようなものを俺に見せつけてくるようになった。
 あいつもあいつで同年代の友達ほとんど居ない上にきょうだいも居ないから、夏実を良き友良き妹の如く接する事に関して俺は何も言わないことにしていた。

「そっかぁ、嫌われてないのなら良かった♪」

 夏実には菜央ちゃんという実姉は存在するものの、身近に居て何でも頼れるお姉さん的存在はやはり欲しいものなんだろうなと、安堵する今の表情からも見て取れた。






 薗田家を出発して2時間弱。
 夏実の選曲リストが3周目を回り、最初に流れたアップテンポな曲調のイントロが流れてきたのとほぼ同時に

「えっ?!」

 行き先に観覧車の一部が見えたらしい夏実が明るい声をあげる。

「えっ? 湊人違うよね? だよね??!」

 人混みの多く騒がしい場所を好まない俺の性格や体質を良く知る夏実にとって、今から行こうとする場所は意外に感じられたのだと思う。

「そのだけど?」
「えっなんで??」
「観覧車が見えたくらいで大袈裟だな、今まで何回も一緒に乗った事があるだろ?」
「それはアウトレットモールのだとか観覧車しかないところだよ! だってあれじゃん!!」
 
 嬉しさと驚きが混ざった声を出す夏実の顔を運転席からチラ見すると、やっぱりその声そのままを表現していて、今日の為に俺が選んだニットや俺と色違いのスヌードひっくるめて物凄く可愛いと思った。

「だから、今から遊園地行くんだよ。夜のイルミネーションの時間まで」

 遊園地の駐車場ゲートを通過する直前で今夜までの予定をバラしても、夏実の表情から驚きが取れていない。

「湊人そんな事していいの? 今も無理してない?
 っていうか、マスクちゃんと準備してるんだよね?」

 車を駐車させ、運転席を降りても夏実の座る助手席を外側から開けてもまだマスクを着用しない俺の様子に、夏実の表情は不安の色も見せている。

「持って来てるけど、今日はなるべくこのままでいくつもり。
 外に居て夏実に俺の表情を見せられないのはなんとなく嫌だから」

 寧ろ今まで、こんなに可愛い夏実に気を遣わせたり不安がらせてきて申し訳ないという気持ちでいっぱいになる。

「でも……」
「本当は夏実、絶叫マシンやアトラクション大好きだろ?
 今日は『ご褒美』だから、昼間からめいいっぱい遊ぼう」

 夏実に手を差し伸べ「大丈夫だから」と彼女を安心させながら俺は笑顔で誘った。
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