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2人で眺める永遠への光
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晴美さんは多少嫌がりながらも「後もう少しだけね」と許可して、和明さんは子どものように「やった♪」と喜びテレビを観ている親父の方へ行ってしまう。
嬉々として親父に酒を注いでもらう和明さんを、俺も晴美さんも同様に見ては……
「なんかうちの人が不甲斐なくて悪いね、湊人くん」
「いえ、実際和明さんと喋るのが物凄く久しぶりなんで楽しくはありますよ」
こっちはこっちで苦笑いの会話を交わす。
「夏実、今回の期末試験相当張り切ってるみたいです。今は風呂入ってると思うんですけどそのまま部屋で今日やった分の復習するんだと思います」
俺が椅子に座りながら今の夏実の様子を母親の晴美さんに報告すると、当然の事ながら「夏実が期末試験を頑張る理由」も把握済みなようで
「クラスの男の子に愚痴られたから相当気にしてるんだろうね」
溜め息混じりのセリフを吐いて、また缶ビールを口にした。
「夏実は『受験モードでピリピリしてる中で出てしまった言葉だから気にしない』なんて強がり言ってましたけどね」
「なっちゃんが気にしない筈がないでしょ。『お前は受験しなくて楽でいいな』なんて言われたんだもん」
「っていうか、俺その話聞いて『今時中学生みたいな低レベルの愚痴を言う18歳なんて居るんだ』って引きましたよ」
「寧ろ18歳なんてそんなもんなのかもよ? なっちゃんが単にその辺大人びてんのかも。多分愚痴を言ったその男の子だけじゃなくて周りもみんなそう思ってる場合もあるんじゃないかな」
「確かに……『大学進学するのはうちの高校が進学校だし、なんとなく』なんていう、進学後の未来を描けてない高校生も居そうですよね」
「だろうね。逆になっちゃんは、湊人くんの側に居る未来を中学生の頃から描いていて、現在進行形でその未来を明確に想像しているからこういう生活してるんだもん……湊人くんはどう思う?」
和明さんと違って晴美さんは鋭い。
晴美さんの一見漠然とした質問に感じる「どう思う?」には、なんとなく俺が今から晴美さんに伺い立てる内容の事を先回りして問うているような気がした。
「それは勿論思います……はっきりと」
先回りされた発言に対する返答をどうしようかと頭の中で迷い……それでもなんとか言葉を選んで、自分の中で思い描いている事を、大好きな彼女の母親に伝えようとする。
「……はっきりって? 具体的には?」
「俺は夏実の気持ちに寄り添いたいですし、願いを叶えてあげたいって思うんです」
「うん……それは私にもちゃんと伝わってるよ。
私が監視しなくても湊人くんはなっちゃんを大事に扱ってくれているんだろうし、この週末だってなっちゃんの勉強を朝から晩までずっと付き合ってくれていたんだろうなって想像出来る。なっちゃんの勉強に邪魔になるような事は、今までしてこなかったでしょ湊人くんは」
「はい……そうですね」
「なっちゃんからまだ今週どうするのか聞いてないけど、先月の中間の時みたいに湊人くんは『家に寄らずに真っ直ぐ帰れ』って言っただろうし、なっちゃんもそれは納得済みだって事だろうし」
「その通りです」
「そして湊人くんはなっちゃんに『試験が終わったら何がご褒美あげよう』と密かに計画している」
「っ!!」
続けていた晴美さんとの会話を、突然自ら止める。
やはり晴美さんは察しが良く、俺が今から何を言おうとしているのか予想済みなようだ。
「図星なんだ。湊人くんは相変わらず表情が素直だよね」
風呂上がりのビールで上機嫌になっているほろ酔いの晴美さんが、俺の顔にピッと人差し指を突き立てる。
突き立ててきたその場所は夏実のする動作と全く一緒で、こちらの緊張が少し解れた。
「晴美さん」
「何?」
「クリスマス前の土日……また泊まりのデートを許可して頂けますか?
誕生日の時とは違って、今回は一泊なんですけど少し遠くの方へ旅行させてあげたいな……なんて思いまして」
「……」
俺の伺いに、今度は晴美さんの方が俺との会話を止める。
「遠くの方って言っても、新幹線で何時間もかかるような場所でもないですし、飛行機を使うわけでもないです」
「それは……分かってるけどさ」
「夏実にはまだ何も言ってませんしこの段階で晴美さんに行き先を伝えるつもりはないです。夏実にバレてもいけないので」
恐らく、晴美さんは「自分の予想が当たった」と気付いたのだろう。それ以降はうんうんと頷いて
「どうぞ、行ってらっしゃい。特別なクリスマスデートをなっちゃんに経験させてあげてね」
と優しい口調で俺に言った。
嬉々として親父に酒を注いでもらう和明さんを、俺も晴美さんも同様に見ては……
「なんかうちの人が不甲斐なくて悪いね、湊人くん」
「いえ、実際和明さんと喋るのが物凄く久しぶりなんで楽しくはありますよ」
こっちはこっちで苦笑いの会話を交わす。
「夏実、今回の期末試験相当張り切ってるみたいです。今は風呂入ってると思うんですけどそのまま部屋で今日やった分の復習するんだと思います」
俺が椅子に座りながら今の夏実の様子を母親の晴美さんに報告すると、当然の事ながら「夏実が期末試験を頑張る理由」も把握済みなようで
「クラスの男の子に愚痴られたから相当気にしてるんだろうね」
溜め息混じりのセリフを吐いて、また缶ビールを口にした。
「夏実は『受験モードでピリピリしてる中で出てしまった言葉だから気にしない』なんて強がり言ってましたけどね」
「なっちゃんが気にしない筈がないでしょ。『お前は受験しなくて楽でいいな』なんて言われたんだもん」
「っていうか、俺その話聞いて『今時中学生みたいな低レベルの愚痴を言う18歳なんて居るんだ』って引きましたよ」
「寧ろ18歳なんてそんなもんなのかもよ? なっちゃんが単にその辺大人びてんのかも。多分愚痴を言ったその男の子だけじゃなくて周りもみんなそう思ってる場合もあるんじゃないかな」
「確かに……『大学進学するのはうちの高校が進学校だし、なんとなく』なんていう、進学後の未来を描けてない高校生も居そうですよね」
「だろうね。逆になっちゃんは、湊人くんの側に居る未来を中学生の頃から描いていて、現在進行形でその未来を明確に想像しているからこういう生活してるんだもん……湊人くんはどう思う?」
和明さんと違って晴美さんは鋭い。
晴美さんの一見漠然とした質問に感じる「どう思う?」には、なんとなく俺が今から晴美さんに伺い立てる内容の事を先回りして問うているような気がした。
「それは勿論思います……はっきりと」
先回りされた発言に対する返答をどうしようかと頭の中で迷い……それでもなんとか言葉を選んで、自分の中で思い描いている事を、大好きな彼女の母親に伝えようとする。
「……はっきりって? 具体的には?」
「俺は夏実の気持ちに寄り添いたいですし、願いを叶えてあげたいって思うんです」
「うん……それは私にもちゃんと伝わってるよ。
私が監視しなくても湊人くんはなっちゃんを大事に扱ってくれているんだろうし、この週末だってなっちゃんの勉強を朝から晩までずっと付き合ってくれていたんだろうなって想像出来る。なっちゃんの勉強に邪魔になるような事は、今までしてこなかったでしょ湊人くんは」
「はい……そうですね」
「なっちゃんからまだ今週どうするのか聞いてないけど、先月の中間の時みたいに湊人くんは『家に寄らずに真っ直ぐ帰れ』って言っただろうし、なっちゃんもそれは納得済みだって事だろうし」
「その通りです」
「そして湊人くんはなっちゃんに『試験が終わったら何がご褒美あげよう』と密かに計画している」
「っ!!」
続けていた晴美さんとの会話を、突然自ら止める。
やはり晴美さんは察しが良く、俺が今から何を言おうとしているのか予想済みなようだ。
「図星なんだ。湊人くんは相変わらず表情が素直だよね」
風呂上がりのビールで上機嫌になっているほろ酔いの晴美さんが、俺の顔にピッと人差し指を突き立てる。
突き立ててきたその場所は夏実のする動作と全く一緒で、こちらの緊張が少し解れた。
「晴美さん」
「何?」
「クリスマス前の土日……また泊まりのデートを許可して頂けますか?
誕生日の時とは違って、今回は一泊なんですけど少し遠くの方へ旅行させてあげたいな……なんて思いまして」
「……」
俺の伺いに、今度は晴美さんの方が俺との会話を止める。
「遠くの方って言っても、新幹線で何時間もかかるような場所でもないですし、飛行機を使うわけでもないです」
「それは……分かってるけどさ」
「夏実にはまだ何も言ってませんしこの段階で晴美さんに行き先を伝えるつもりはないです。夏実にバレてもいけないので」
恐らく、晴美さんは「自分の予想が当たった」と気付いたのだろう。それ以降はうんうんと頷いて
「どうぞ、行ってらっしゃい。特別なクリスマスデートをなっちゃんに経験させてあげてね」
と優しい口調で俺に言った。
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