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彼女と俺の可愛い甘え
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村川くんのスーツに袖を通した俺は、再び夕紀さんに声を掛け
「昨夜から本当にご迷惑をおかけし」
「まぁまぁご迷惑だなんてとんでもないです。座って下さい。お腹空いているでしょう?」
……たのだが、夕紀さんの優しい言葉に俺は素直に体を動かした。
「はい、いただきます」
俺の前に差し出されたのは、先輩からの予告通り乳白色の具無し味噌汁と取り皿。そしてテーブル中央には色とりどりのふりかけおにぎりとだし巻き卵の皿も乗っている。
「お味噌汁で、胃腸が大丈夫そうでしたら少しずつ取り皿に取ってゆっくり召し上がって下さいね。出社時間までたっぷり時間がありますから」
夕紀さんはエプロンを外して向かいの席に座り
「このふりかけおにぎりね、全部ユウちゃんのお手製なんだよ。ユウちゃんの和食は宇宙一美味しいんだから♪」
俺の右隣にはジュン先輩が座ってそれぞれ「いただきます」の手を合わせていた。
「美味しい……」
まず驚いたのが豆乳味噌汁だ。具が一切入っていないのに満足感のある汁物で、しかも冷やされているというのが尚の事良い。
「美味しいです。おにぎりも……卵焼きもっ!!」
「村川くんの卵焼きは夏実の目指す味だ」という認識でいたが、夕紀さんの卵焼きは料亭で出されているかのようなレベルで本当に驚く。
「ふふっ♪ 亮輔くんとファーストリアクションが一緒だ♪」
「さっすが業務部のイケメン兄弟なだけはあるねー!」
「ジュンもこのくらい驚いてくれたら嬉しかったなぁ~」
「いやいや俺も喜んだのよ?だーけどユウちゃん、俺がオーバーリアクション取ったら『嘘っぽい』って言うじゃん!」
「まぁねー、日頃の行いが残念過ぎるもんね」
「俺の日頃の行いがさも悪いみたいな言い方しないでよユウちゃぁんっ!」
そして、ジュン先輩は朝からジュン先輩だって思うし、夕紀さんはやっぱり伝説の夕紀さんだって思った。
特に漫才を見ているようなこの人2人のオープンなやり取りは聞いてて心地良い。
……和食の朝食も美味しかったのだが、サッと急須で淹れた煎茶もやはり美味しかった。
「緑茶が美味い」と感じたのも初めてかもしれない。
(って……!!料亭顔負けの朝食にのんびり舌鼓を打ってる場合ではなかった!!)
食事の美味しさに心身ともに和やかになってしまうのも良かったのだが、俺が犯してしまったであろう昨夜の件について脳内整理をしていく方が先決だ。
「あの……昨夜の事なんですが」
俺は何故この家で一泊お世話になったのか、その理由を訊こうと思ったのだが……
「ブフッ……え……広瀬さん、知りたいんですか?」
「詳細聞いたら広瀬きっと『会社辞める!!』って叫んじゃうよ?それでも知る勇気ある?」
と、2人から笑われる。
「えっ??!」
(俺!! 会社辞めるとか言い出すレベルの粗相をしたのか??!!!
酒を飲む前からも鏑木さんの事でイライラムカムカしてたのは事実だが、なんかやらかしまくった????)
途端に背筋が冷えたのだが
「あー♪ 冗談冗談♪ 広瀬さん、とってもかっこよかったですから♪ 私1人辱めを受けただけで」
「そーそー! 広瀬の行動は個人的にヒーローな感じだったよ? ただ、ユウちゃんがとにかく赤面モノで、ぜーんぶ終わった後で俺がユウちゃんを夜中じゅう撫で撫でしまくって気持ちを落ち着かせたのが大変だったってだけで」
夕紀さんは両手で顔を恥ずかしそうに覆い隠し、ジュン先輩は眉毛をへの字に曲げながらそんな事を口にしたものだから
「いや! 俺が恥ずかしいんじゃない方が嫌です! そっちの方が申し訳ないですし、それだけで会社辞めたい気分になるんですけど!
っていうか夕紀さん本当にごめんなさい!! 詳細教えて下さい!!!!」
冷どころか全身が凍りつく思いだ。
「大阪の鏑木さんって、プライドが高い子なのかな? あの狭山さんが手を焼くなんて相当だなと私も思いますし、広瀬さんが御立腹されたのも同情しますよ」
「なんたって大阪はまだ昔の気質が残っているからね。矢野橋の行動も目に余るものがあるし」
「広瀬さん、どの辺りまで記憶がありますか?」
「それは……鏑木さんに『自信過剰で居たら狭山さん達に申し訳ないからやめた方がいい』と忠告して……鏑木さんも俺もカッとなって日本酒をコップで一気飲みした辺りまで……ですが」
「ふふふっ……なるほど」
「じゃあ、そこから後の話をしなきゃだねー。」
2人は尚も笑いながら俺の起こした一部始終を話してくれた。
……と言っても前半部分は村川くんからの伝聞で、酒を一気飲みした俺を心配した村川くんが急遽電話でジュン先輩を呼び出したらしく、2人は慌てて珈琲店から車で居酒屋まで迎えに来てくれたのだそうだ。
「昨夜から本当にご迷惑をおかけし」
「まぁまぁご迷惑だなんてとんでもないです。座って下さい。お腹空いているでしょう?」
……たのだが、夕紀さんの優しい言葉に俺は素直に体を動かした。
「はい、いただきます」
俺の前に差し出されたのは、先輩からの予告通り乳白色の具無し味噌汁と取り皿。そしてテーブル中央には色とりどりのふりかけおにぎりとだし巻き卵の皿も乗っている。
「お味噌汁で、胃腸が大丈夫そうでしたら少しずつ取り皿に取ってゆっくり召し上がって下さいね。出社時間までたっぷり時間がありますから」
夕紀さんはエプロンを外して向かいの席に座り
「このふりかけおにぎりね、全部ユウちゃんのお手製なんだよ。ユウちゃんの和食は宇宙一美味しいんだから♪」
俺の右隣にはジュン先輩が座ってそれぞれ「いただきます」の手を合わせていた。
「美味しい……」
まず驚いたのが豆乳味噌汁だ。具が一切入っていないのに満足感のある汁物で、しかも冷やされているというのが尚の事良い。
「美味しいです。おにぎりも……卵焼きもっ!!」
「村川くんの卵焼きは夏実の目指す味だ」という認識でいたが、夕紀さんの卵焼きは料亭で出されているかのようなレベルで本当に驚く。
「ふふっ♪ 亮輔くんとファーストリアクションが一緒だ♪」
「さっすが業務部のイケメン兄弟なだけはあるねー!」
「ジュンもこのくらい驚いてくれたら嬉しかったなぁ~」
「いやいや俺も喜んだのよ?だーけどユウちゃん、俺がオーバーリアクション取ったら『嘘っぽい』って言うじゃん!」
「まぁねー、日頃の行いが残念過ぎるもんね」
「俺の日頃の行いがさも悪いみたいな言い方しないでよユウちゃぁんっ!」
そして、ジュン先輩は朝からジュン先輩だって思うし、夕紀さんはやっぱり伝説の夕紀さんだって思った。
特に漫才を見ているようなこの人2人のオープンなやり取りは聞いてて心地良い。
……和食の朝食も美味しかったのだが、サッと急須で淹れた煎茶もやはり美味しかった。
「緑茶が美味い」と感じたのも初めてかもしれない。
(って……!!料亭顔負けの朝食にのんびり舌鼓を打ってる場合ではなかった!!)
食事の美味しさに心身ともに和やかになってしまうのも良かったのだが、俺が犯してしまったであろう昨夜の件について脳内整理をしていく方が先決だ。
「あの……昨夜の事なんですが」
俺は何故この家で一泊お世話になったのか、その理由を訊こうと思ったのだが……
「ブフッ……え……広瀬さん、知りたいんですか?」
「詳細聞いたら広瀬きっと『会社辞める!!』って叫んじゃうよ?それでも知る勇気ある?」
と、2人から笑われる。
「えっ??!」
(俺!! 会社辞めるとか言い出すレベルの粗相をしたのか??!!!
酒を飲む前からも鏑木さんの事でイライラムカムカしてたのは事実だが、なんかやらかしまくった????)
途端に背筋が冷えたのだが
「あー♪ 冗談冗談♪ 広瀬さん、とってもかっこよかったですから♪ 私1人辱めを受けただけで」
「そーそー! 広瀬の行動は個人的にヒーローな感じだったよ? ただ、ユウちゃんがとにかく赤面モノで、ぜーんぶ終わった後で俺がユウちゃんを夜中じゅう撫で撫でしまくって気持ちを落ち着かせたのが大変だったってだけで」
夕紀さんは両手で顔を恥ずかしそうに覆い隠し、ジュン先輩は眉毛をへの字に曲げながらそんな事を口にしたものだから
「いや! 俺が恥ずかしいんじゃない方が嫌です! そっちの方が申し訳ないですし、それだけで会社辞めたい気分になるんですけど!
っていうか夕紀さん本当にごめんなさい!! 詳細教えて下さい!!!!」
冷どころか全身が凍りつく思いだ。
「大阪の鏑木さんって、プライドが高い子なのかな? あの狭山さんが手を焼くなんて相当だなと私も思いますし、広瀬さんが御立腹されたのも同情しますよ」
「なんたって大阪はまだ昔の気質が残っているからね。矢野橋の行動も目に余るものがあるし」
「広瀬さん、どの辺りまで記憶がありますか?」
「それは……鏑木さんに『自信過剰で居たら狭山さん達に申し訳ないからやめた方がいい』と忠告して……鏑木さんも俺もカッとなって日本酒をコップで一気飲みした辺りまで……ですが」
「ふふふっ……なるほど」
「じゃあ、そこから後の話をしなきゃだねー。」
2人は尚も笑いながら俺の起こした一部始終を話してくれた。
……と言っても前半部分は村川くんからの伝聞で、酒を一気飲みした俺を心配した村川くんが急遽電話でジュン先輩を呼び出したらしく、2人は慌てて珈琲店から車で居酒屋まで迎えに来てくれたのだそうだ。
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