【完結】彼女が18になった

チャフ

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俺と彼女と彼女の事情

18

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「……主任はその『何か』について気にならないんですか?」

 俺を見つめたままの森田さんは、そう口だけを動かす。

「もう気にしないよ。俺は変な男だし、アブノーマルな性嗜好を持つ気色悪い人間なのは紛れもない事実だし。
 ……逆にそんな俺に何か告白しようもんなら森田さんまでもがアブノーマルになってしまうんじゃないかな」

 俺は笑い顔を見せながら無理矢理なこじつけ論を織り交ぜて言葉を続ける。

「あの男と別れる時に変な事を言われたとしても気にしなくていい……あの男には新しい彼女が居て、恐らくあの男の思い描く『ノーマルな恋愛』をするんだろう。
 もう既にあの男らが俺や森田さんを『変人』『アブノーマル人間』て揶揄していて会社の誰かに悪口として有る事無い事言ってたとしても、実際俺らの耳には入ってきていないんだから。寧ろ会社の人達に感謝しようって気でいなきゃ」

 俺が女子高生と付き合っていると知れ渡ってからも、実際俺の耳には新入社員時代のような陰口や噂話の類いを耳にする事はなく、文字通り静観された。
 上司どころか後輩からも「気味が悪いから辞めさせろ」という声さえも聞いていない。
 唯一野崎さんは俺を嫌悪する態度を取っているし、何かを揶揄する時は「広瀬さん」ではなく「主任」と呼び方を変えてまで皮肉を言う事はあってもその程度だし曲解した意見を言う訳ではない。

「俺にも森田さんにも変な噂が立っていないのは、勿論あの男が変な気を起こすのを止めた可能性もあるけれど周りが噂と仕事っぷりを分けて考えてくれてるからだと思う。少なくとも俺は『アブノーマルな俺を周りに認めてもらいたいから真面目に真摯に仕事する』って決めているよ。
 なんだってそうだけど、真面目に真摯に取り組んでいたら周りはちゃんと評価してくれる……この世界はそういった優しいものであってほしいと俺は思うから」

 世界というものは俺が想像するよりも広大で、そんな生易しいものではないかもしれない。
 とはいえ少なくとも俺が今居る会社の人達はそんな優しい世界を皆で形作っている良い人が大多数だ。
 もしかしたら単に口に出してないだけで、各々持っている4次元世界で俺にドン引きしていたり嫌悪し気味悪がり「いつか居なくなってほしい」と思っているのかもしれないが俺の耳に入っていないのだから知らぬ存ぜぬで図々しく生きておけばいい。
 なんだったら、俺とは別方向でのアブノーマルな何かを嗜好とする人間だっているだろう。もし俺が誰かの何かを知ったって、きっと俺はその誰かにドン引きしたり嫌悪し気味悪がることはしない。だってそれはお互い様なのだから。

「飲み物、新しいの頼む? 森田さん一度も口付けないからせっかくのカクテルが氷で薄まってるよ」

 俺は手元の飲み物を飲み干した直後、目を赤くして潤ませる森田さんのびしょ濡れグラスを持ち上げ自分の方に引き寄せた。

「えっ!」
「取り敢えずさっきのと同じカクテル頼んでおく? これは俺が飲んでおくから」

 それからメニューをペラペラめくって目の前のびしょ濡れカクテルと同じ見た目の写真を探す。

「いや、いいですよ別に。飲まずにいた私が悪いんでそんなの飲んで頂かなくても……」

 慌てた声を出しながら森田さんの手が俺の視界に出てきたけれど

「そんな顔してる森田さんには美味いの飲んでいて欲しいからダメ」

 と、彼女の手を拒否して俺はグラスを口につけてそのまま一気飲みした。

 「あー」と声を出す森田さんの隣で、俺は飲み切った口元を押さえて「けふっ」と空気を漏らす。

「普通、彼氏でもしませんよっ! そんな事っ!」

 俺の前で開いてたメニューを手に取ってそう言う森田さんの顔は、いつもの明るい笑顔に戻りつつあったので

「やっぱり俺は変人でアブノーマルなんだな」

 と負けないくらい笑ってやった。

「じゃあ、その変人でアブノーマルな主任の恋バナいっぱい聞きたいです!」

 森田さんもまた俺以上の笑顔を返してくる。

「え~? 変人でアブノーマルな人間の話聞いて森田さんどうするんだよ?」
「決まってるじゃないですか~♪ 主任の幸せエピソードいっぱい聞いて和むんですよだって私も変人でアブノーマル人間ですからっ!」
「仕方ないなぁ」

 スマホで路線確認をすると、1時間後に森田さんにも俺にも都合の良い便が来る事を知ったので俺は仕方なく夏実とのエピソードを掻い摘んで話し始める。

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