【完結】彼女が18になった

チャフ

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可愛い彼女と俺の恋

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「処分する手間省けるから全部持って帰れ」
「ありがとおっさん!! じゃなかった!  広瀬さん!!」
「いいよ呼び方おっさんで……ちょっと皿とか洗ってくるからとりあえずノート見ながら自習しろ茉莉は」

 茉莉が俺に尊敬の眼差しみたいなものを注いできたから思わずこっちは顔を背けてその場から離れ、シンクに避難させておいたものを洗って片付ける事にした。

(まさかあのノートがそんなに喜ばれるとは思ってなかった……しかも夏実の為だけに2年かけて自習して書き溜めたノートが即廃棄する事なく他人の手に渡るなんて……)

 昨日の朝実家に寄って真新しい参考書のついでに持ってきたゴミに近いノートの山がまさか早々と夏実の友人の手に渡り有効活用されるとは全く予想していなかったのだ。

(夏実はきっと喜ぶんだろうなぁ……こういうの)

 気恥ずかしいが、そう考えたら案外嫌な気はしない。

 食器の片付けを終えてカウンター越しから滉と茉莉の様子を再び伺った。

 滉は相変わらずだが、茉莉の方は何やらウズウズして俺の方を見つめてくるので

「滉の邪魔にならないようにダイニングテーブルに来い」

 と茉莉へ手招きして椅子に座らせる。

「やっぱりちょっと教えてもらいたくって♪」
「仕方ねーなぁ……」
 
 そこからはノートと照らし合わせながらテキストの問題を解く茉莉の様子を見てやる合間に、ちょこちょこと小声で会話を始めた。

「おっさんって、字が本当に綺麗だよね」
「でも図は書けないからコピーして貼り付けてるだろ? 字は夏実の宿題手伝う時に汚い字だと恥ずかしいから矯正したんだよ。字の練習する本とかあるだろ?ああいうので」
「おっさんって勉強好きなの?」
「中高はあんまり好きじゃなかった。高校も結構ギリギリで合格したから」
「マジ? じゃ大学は?」
「大学受験も失敗しまくったから、俺の出身大学聞いたら茉莉ドン引きすると思う。学生生活も遊んでばっかりだったしなぁ」
「なのになつこの勉強教えられたんだ?」
「夏実が小1の頃俺大1だぞ? 楽勝に決まってんだろ」
「って事は高校受験の時におっさん27かぁ」
「そう、だからこのノートを使い始めたのはその頃だな。夏実に高校受験対策の勉強を教えながら俺も高1の内容を自習し始めたんだ。じゃないといざ夏実が入学してから俺が困ると思ったから」
「おっさん文系? 理系?」
「思いっきり文系。だから夏実が1年で理系の大学志望校に選んだ時は度肝抜いた。ヤバいって焦って理系科目の自習始めてさ、あの時はめちゃくちゃ焦って勉強ばかりしていたよ」
「なつこが理系選んだのは多分滉の影響だよ」
「いや、最近夏実に訊いたら俺を困らせる為って言ってた。俺の苦手な分野なら勉強に熱心になるの諦めてくれると思ったらしい」 
「……でも、おっさんは頑張って予習したんだ?なつこの為に」
「そうだよ。本気で理系に進む気だと思い込んでたから」
「ヤバいじゃん」
「夏実は勉強好きだと俺は思い込んでいたから余計にな」
「え? なつこ勉強嫌いなの? あんなに成績良いのに」
「なんか地道に努力してたらしい……これも最近知ったけど、予習してきた俺に応える為に夏実も必死だったって」
「そっかぁ……なつこはなつこで頑張ってたんだね。おっさんと同じで」
「そうみたいだな」



 
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