【完結】彼女が18になった

チャフ

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可愛い彼女と俺の恋

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「なつこ、おっさんへの気持ちが強いってゆーか……基本そーゆー誘いはスルーしてたしその頃から周りの友達に『歳の離れた幼馴染が好きだ』って言い始めたみたい」
「そうなのか……」

 昨夜の話もショックを受けたが、今の話にも相当ダメージを受けている。
 しかもそのどれも、俺は全く聞かされておらず……その「周りの友達に俺への片思いを打ち明けた」という内容の部分が、夏実から女友達を失う結果に繋がってた事を最近知ったのもあって手負いは想像以上だ。

「もしかしてそれって高校に入ってからも?」

 これ以上本当は聞きたくなかったが、やはり訊いてしまった。
 中学生の夏実がそうだったのだから、高校もきっとそうに違いない……と。要らぬ予想を立ててしまう。

「なつこが帰宅部になった理由の一つでもあるんじゃねぇの?」

 滉はそこで目を伏せて静かにそう言ったが

「まぁ、うちの高校スポーツそんなに力入ってなくて部活入ったとしても滉だってなつこだってモチベ上がらなかっただろうし小テストが1年から毎日あったから勉強しないとっていうのもあるよね?100パーそれが理由ってわけじゃないと思うよ、私は」

 茉莉がすぐにフォローを入れる。

「まぁ……俺の世代よりも増えたからな、テストのたぐい

 今の俺の台詞は茉莉のフォローに完全に乗っかりたかったのではなく、実際夏実から入学当初に聞かされたぼやきの一つを参考にして口にしたものだった。
 高校の立地からしてライバル校が周囲にないせいで俺の世代は進学校というにはまだまだ緩い面も多く、夏実達が入学する数年前からその面の改革が学内で進んだという噂を聞いている。
 部活動の在籍率もあの頃はまだ高かったというのに、今じゃかなり低くなった……とも。

「実際モテてたんだよなつこ。胸がデカめなのもあるけど顔も可愛いし一年の時から男子の間でクラス順位の上位にあがっていたし」

 茉莉は皿の残りの菓子を自分の方に寄せて一つずつ口に入れてはモグモグしながらそんな事も話してくる。

「その『クラス順位』ってあれか? 成績の順位じゃないヤツ?」
「そーそー、よく分かったねおっさん。因みに一位は私ね! 滉と付き合ってる上での一位だから! ダントツ!!」

 茉莉はさも自慢げに人差し指を突き出してほくそ笑んでやがる。

(へー。お前可愛いのか、へー……)

 俺にとっては全く惹かれない外見と内面をしているが、男子高生にとってはどストライクなのだろう。実際滉が一目惚れしてるくらいだし。

「……そりゃあ、俺の代でもやってたから。クラスの女子の人気順位。っていうかなんで女子の茉莉が男の間でこっそりやってる事について知ってるんだ?」

 まさか滉が教えたのか?と、そっちを向いてみるが「俺じゃねぇ」と短く返答される。

「とにかく! 私ほどじゃないけどなつこも男子に人気あったんだけど、なつこは中学の時からの経験もあって全く無視してたの。その代わり滉と私を引き合わせる為に3人でなるべく行動するようになって」
「なつこのおかげで俺と茉莉は付き合える結果に繋がったんだけど、同時に俺らはなつこを他の男子から守ってたんだ。当時はまだ片思いしてる男の存在知ってるのは俺だけで茉莉含め他の生徒に内緒にしつつも、誰からも言い寄られないようにって」
「私達の行動が、なつこを恋愛知識ゼロの子にしてしまった経緯はあるけど『なつこを守る』って事は出来てたつもり」
「そうか、それは本当にすまない」

 今ので夏実が「恋愛面でアホの子」の理由が見えてきたが、滉と茉莉のおかげで俺の心が掻き乱される要因を潰してくれたという事にも繋がる。これは本当に感謝しなければならないと感じた。

「それで、本題だ。中学の時からなつこは片思いの相手について告白しようかずっと悩んでいた。『可愛いと毎日のように言われているけど、自分の事が好きなのかどうか全く分からない』って。『8歳の時には既にその相手には彼女が居て、初恋に気付いた時点で想いは叶わないと知ってたけどそれでも少しずつ好きの気持ちを育てていった』とも言っていた」
「おっさんは女の子の気持ちなんて分からないだろうけど、叶わない相手に想いを寄せるって苦しいんだよ。小学生なら尚更別の男子の方へ気が向くよ。私だってそうだったもん。なつこの一途さは女の私から見ても貴重だと思う」
「おっさんはさっき、いつから好きかなんて付き合ってからは関係ないみたいな事言ったけどさぁ、それって結果論じゃん。16歳の誕生日になつこがおっさんにどんな気持ちで告白したのか知らねぇからそんな事言えるんだよ」
「なつこはもうそんな事気にしてないかもしれない。けど、私……特に滉はどうしてもそこが引っかかってんの。
 本当におっさんはなつこが告白するまで、好きでもなんでもなかったのかって」

 2人から続けざまにそう言われて、余計に言葉が詰まる。
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