【完結】彼女が18になった

チャフ

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俺と彼女と幼馴染み

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「……本当に夏実は俺の見た目を変えていくつもりなのか?」

 高速道路へと向かう道を突き進みながら夏実に訊くと「当たり前じゃん」と即答される。

「だって湊人自分で言ったんじゃん私のファッションの為なら路線変更するって。
 だから今日のヘアスタイルから足元まで夏らしさを前面に押し出してみたの♪ 
 今日のポイントは白のクロップドパンツで、サックスシャツとボーダーカットソーで鎖骨丸出しを回避させてあげたんだから! でもこれからどんどん変えていくの!! 湊人が変わっていくの超楽しみ♪」
「明るい青なんて着たことないし白のパンツも初めて履いた」
「だって湊人の着る服モノトーンばっかりでつまんないんだもん。モスグリーン好きなら緑も買えばいいのに」
「部屋の好みと体に合う色って違うだろ? デカイから色味があるの着ると膨張して見えそうだし」
「そんな事絶対にない!! 今日の上下の色の組み合わせも似合ってるから!」
「これはアレだろ? 夏実のファッションカラーに合わせた的な感じか」
「そうそう♪ サックスブルーって好き♡ 青系全部好きだけど」

 今日の夏実は白のコットンワンピースを着ているが、鞄とスニーカーの色が俺の上着と同色になっている。
 っていうか、色の明度が高いブルーのシャツも落ち着かないが、これに白のボトムスを合わせるのも落ち着かない。ボーダーカットソーの濃いネイビーだけがオアシスって感じだ。
 おまけにセットされた俺のヘアスタイルに至っては「ジュン先輩と村川くんを足して2で割った」という表現しか思いつかない。

「湊人の会社って髪の色は黒じゃなきゃダメ? 亮輔さんはちょっと焦げ茶っぽく見えた気がするんだけど」

 おまけに今度は嫌な予感しかない質問が飛び出してきた。

「村川くんのは地毛だろうし、そもそもあれは焦げ茶じゃなくて黒なんじゃないか? 仕事中焦げ茶に見えた事はないよ。そもそも社会人だから白髪染めでないヘアカラーはダメだと思う」
「あれぇ? 焦げ茶に見えたの照明の所為かなぁ」
「そうそう! だから俺の頭を染めようなどという良からぬ思想は持つんじゃないっ!」
「はーい」

 一般的な意見を述べてみたつもりだが、そう言われてみればジュン先輩は昔から茶髪だし癖っ毛でふわふわしてるから陽の光に当たると余計に明るく見える。社内でも一応は明るい茶髪が居るのは事実なのだが
 
(でもジュン先輩の場合、黒い毛が頭頂から出てるところを全く目にした事がないからあれは何だろう? 肌の色素も薄いからあれも地毛……なんだろうか)

 長年お世話になっている先輩の髪色が地毛か染髪かというプライベートな部分に踏み込んだ事がなかったので思わず自問自答してしまった。

「じゃあパーマかけるのはOKだよね? 学校の校則じゃないんだから」
「!!」

(は? パーマ?? 一体夏実は俺をどうしたいつもりなんだ??)

 高速道路を走っているからむやみに夏実の方を向いてガツンと言ってやれないのが悔しい。

「先に言っておくけど、髪も勝手に切らないでね! これからの湊人は頭のてっぺんから爪先までぜーんぶ! 『夏実ちゃんプロデュース』略して『夏P』なんだから!」
「なつぴー…………」

(前途多難じゃねーか……12歳差のジェネレーションギャップがいきなりこんなところでも飛び出してきてしまったぞ)

 夏実がネットで俺の服を買いたいと言ってきた時も「今セール中だから!」「ハイブランドなんて買うわけないから!」と断言してきたから、注文画面のカード情報入力だけして全部夏実に任せてしまったんだが、実際箱で届いたアイテム数に引いてしまった。
 トータル金額見たらちゃんとセール価格だったんだと判明したが、結婚予定の相手にカード情報を教えるのはまだ早かったんだと学んだ。

(いや、18にしてはしっかり考えててお買い物上手だとは思っている……思っているんだが、ちゃんと詳細は俺も把握しておかないと後々金銭で揉める夫婦になってしまいそうでめちゃくちゃ嫌だ。
 しかも相手は夏実だし。そんな事に絶対なりたくない……)






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