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俺と彼女と幼馴染み
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しおりを挟む「おはよ♡ 湊人♡」
可愛い声が耳をくすぐり、俺は目を覚ました。
「ん……おはよう夏実」
薄目を開けると可愛い声の主がにっこり微笑みかけている。
(あぁ、もう朝なのか。仕事に新居準備に忙しくしているから、最近は目を閉じたら一瞬で朝にワープしている気がする……)
「おはよーの、ちゅー♡」
積極性のある柔らかな唇が、睡眠のみでは癒されない俺の唇と重なり
「んー」
口や顎に髭が生えてる事も忘れてそれにむしゃぶりつく。疲れた中年でもこっちの方は貪欲で積極的に身体を動かせるらしい。
「ん~ん♡」
俺の首にかけられている白い腕よりも力強く、彼女の腰を抱いて引き寄せ
「ん…………っぁ……ふ」
可愛らしい鼻声を、艶かしいものへと変化させる。
(朝かぁ~~……朝、だもんなぁ。濃厚なのは1日の生活に響くよなぁ)
理性と本能が脳内で入り混じり、彼女の唇を食むこのキスをこれからどうしてやろうかと思い巡らせる。
「はぅん♡」
(あっ、今の喘ぎは反則だろ。半立ちの棒がますます反応してし……)
「わあ!!!」
……と、そこで俺は我に返った。
「もおぉ~耳元で大声出したら鼓膜破れるよぅ!」
誕生日の朝と全く同じ状況で、お団子頭の夏実が俺のベットでしゃがみ込み文句を言っている。
「いやだから! 実家で俺の寝込み襲うなって!!」
「寝込みを襲ったんじゃないもん。寝起きを襲ったんだもん」
「どっちも一緒だよ!」
俺は身体に掛けていたタオルケットを手繰り寄せて元気になりつつあった棒を隠し後方へ下がるという、誕生日の朝と全く同じ行動を取る。
いや、一緒なのはここが実家のの自室ってくらいで身につけているものが使い古した部屋着どころか、上半身裸のパンイチ姿で眠っていた分状況は最悪だ。
(しかも今回は絶対!!男の朝の生理現象が現役女子高生にバレた!!)
既にお互いの裸を見て知ってるとはいえ、これは死にたいくらい恥ずかしい。
だが、これから俺は夏実と新居で共に生活していくのだ。どっちみち朝の生理現象云々はいずれ夏実の目に入ってしまうんだからそれがほんの少し早く経験させてしまったに過ぎず、気を抜いた寝姿や半裸や半立ち棒を見られたくらいで恥ずかしがっている場合ではないのかもしれない。
(というか、行動を気をつけるべきは夏実ではなく大人の俺なんだよな……)
つまるところ、悪いのは慣れ親しんだ実家の自室で無防備な格好を晒している俺だという事になる。
「いやなんか……変な格好で寝ててごめん。あとデカい声も……ごめん」
段々声を小さくしながら謝る俺に夏実は「気にしてない」とでも言うような表情で上半身裸の俺に抱きつく。
「湊人の裸、もう知ってるもん♡ へーきへーき♡ 大声は困っちゃうけど。それにぃ……」
夏実は俺の下半身に掛かっているタオルケットを両手で抱えて思い切りバサっとベットの下へ落とし
「あっ!夏……」
「あれぇ~ちっちゃくなっちゃったぁ♪ またおっきくしちゃおうっかなぁ♡」
パンツの上から俺の股間をスリスリ両手で撫で始める。
「ちょっ! あっ! 馬鹿っ!!」
彼女の白い手が綿生地に擦れるだけでもムクムク復活する棒の状態にやはり恥ずかしくなり、夏実の動く手首を掴んで持ち上げる。
「もう知ってるんだってば。湊人のおち」
「朝は! 寝起きはダメだろ!! 特におっ……」
夏実の言葉にかぶせるように俺も言葉で返そうとし、ハッとして喉が詰まる。
「おっ? ……なぁに?」
夏実の表情が小悪魔の女のようになり、意地悪気に首を傾げた。
「おっ……」
「え? なぁに? おっ?」
夏実は更に目付きを小悪魔にしながら「おっ」の続きを言えとばかりに迫ってきて、対する俺は叱られた子どものような心境になる。
俺が『おっさん』と口にしたらどうなるか、互いに分かっているからだ。
「おっ……!! とっこは、さぁ!! 朝にそうなるの、生理現象だから! 性欲とか関係なくそうなるから、そっとしておいて欲しいんだよ」
(やった! 「おっ」まで出かかっていたワードをなんとか誤魔化す事に成功したぞ!!)
無理矢理ではあったが「おっ」に続くワードとして「とこ」を選択出来た自分を褒めたいと思った。
「むうぅ」
一方夏実は悔しそうに唇を尖らせながらベッドを降りて、自分が落としたタオルケットを俺の傍らに戻す。
「もう9時過ぎだよ? さっき宅配便が来て無事に届いたからお母さんが『おいでー』って。お姉ちゃんももう来てるよ!」
手を腰に当てながら得意気に話す夏実に俺は慌てた。
「え? もうそんな時間?? ヤバっ!」
寝癖でボサボサになった自分の頭を指で搔きむしりベッドから降りようとしているのに
「だから急がないと湊人っ!」
夏実は部屋から出て行ってくれない。
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