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俺と彼女と営みの巣
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「ふぅん週末同棲かぁ……かなり前進したんだね、広瀬にしては。良かった」
「俺にしてはってどういう意味ですか?」
意味が分からず先輩の方へ振り返ると
「フツーに考えて独身の枯れススキみたいなオジサンが棚ぼたみたいにJKから求愛されたら欲望真っしぐらでこっそり囲い愛しちゃうよおぉ♪
刹那的で刺激的だけど激甘な果実の味だもんどうせそんなの数ヶ月も続かないんだからテキトーなマンション契約しておままごと同棲をJKが飽きるまで堪能してぇ、その後ササーッとマンション引き払うけどね♡ 俺がっ、独身オジサンならっ♪」
「!!」
「その点広瀬は正統派の真面目人間だからちゃんと相手の親と相談して段階踏んで結婚までの道筋をきちんと踏んでいくじゃあん♪ まーじめに賃貸物件いっぱい見て吟味して、あーでもないこーでもないやりながら真面目に相手との結婚生活想像してどーのこーのやる段階まで着実に進んでるんだな~って微笑ましくほのぼの思っちゃったわけですよ俺はっ♪」
見上げたジュン先輩の目の色が不気味な色に変わり、ハイテンションボイスに戻してニヤリと笑む顔が視界いっぱいに飛び込んできてイラっとした。
「夏実に向かってふしだらな表現使わないで下さいよ!!!!」
怒りでノートパソコンを閉じる俺の手の力も強まる。
「やだぁ~♡ 広瀬クンこわぁいっ♡」
「恐くなりますよそんな発言や表情されてきたらっ!」
ふしだら発言にもイラッとくるが、今のわざとらしく怖がる演技する先輩の仕草にもまたイライラした。
「そういうところだよ広瀬っ! 」
……のだが、先輩は直後に真面目な表情へと変え
「賃貸物件なんてもっとテキトーに選べばいいんだよ。気に入らなかったら他探せばいいんだし、同棲始めたら生活感が合わなくて別れるケースだってあるんだし」
と、俺の肩をポンッと優しく叩いて至極真面目なアドバイスをしてくれた。
一応先輩もただふざけて俺をイラつかせたのではなく、「もっと力を抜いて部屋を探せばいい」と伝えたかったようだ。
「そうしたいところですが、やっぱり吟味しないといけませんよ。夏実が快適に過ごせる空間を与えてやらなきゃいけないし、テキトーな場所選んで彼女に嫌われて振られたくないですから」
「……ふぅん」
「夏実だけじゃないです。夏実を大切に育てたきた人達は、俺にとっても繋がりが深いんです。夏実の両親から特に条件つけられた訳ではありませんが、夏実も両家の家族も納得のいく住まいを俺は探したいんです」
先輩の温かな体温で俺は心を落ち着かせ、真面目に自分の考えを吐露した。
「うん、だから彼女のご両親は広瀬との交際を許してるし、彼女からも親御さんからも今回の同棲を許すどころか真に望まれてるんだろうね。素敵な事だよ」
目を細めて微笑みながら、ジュン先輩は俺の肩をまた優しくポンポン叩いた。
「先輩……?」
(酒に酔っているとはいえ、なんで先輩はこんなにテンション上げたり真面目トーンでしみじみしたりしているんだろう?)
いつも変な人ではあるが、今俺の目に映る先輩の態度は慈愛に満ちているようなやわらかさがある。
ふざけた発言もあったが、真に安堵しているような……そんな雰囲気を先輩から感じ取った。
「もう帰ろうよ広瀬。駅に着く頃には22時になっちゃうよ? 広瀬の地元、終電大丈夫?」
先輩はニコニコ微笑みながら壁掛け時計の方を指差して俺に現在時刻の確認をさせる。
「あ!! やばっ!!」
一応終点はもう少し遅い時間にもあるのだが、そろそろオフィスを出ないと帰宅時間がえげつない時刻になってしまう。
「ほらほら急いで広瀬。ここは俺が戸締まりしとくからさっ」
ジュン先輩はそう言って立ち上がった俺の背中をトンッと押した。
「もしかして先輩は今から事務作業か何かするんですか?」
「違う違うっ。明日から土日休みだし、職場にチャリ置いたままにしたら愛するユウちゃんに怒られるから取りにきただけなの。酔っ払ってるからちゃんと押して歩いて帰るの。外からここの階見上げたらオフィスに明かりついてたからさぁ、気になって上がってきたっていうだけの話っ!」
……と、そもそもオフィスに用があった訳ではなく「ビルの駐輪場に通勤用自転車を置いたままにしたら愛妻に叱られるので取りに来ただけだった」という先輩の理由を聞かされ、俺は先輩の安堵の意味にようやく気付く。
(なるほど、そういう事だったのか……)
ビルの明かりが煌々としているのを外から見上げた先輩は予想したんだろう。
こんな時間になるまでサービス残業してそうな後輩が、またどっかで倒れているんじゃないかと……。
「……酔っ払ってるんですから、絶対に自転車漕がないで下さいよ?」
デスク後ろのロッカーから荷物を取り、ジュン先輩の顔を見る。
「わかってるって! 飲酒運転になるもんねー? そんな事しないよーだ」
先輩は赤い顔でヘラヘラしながらも、俺がオフィスから出るのを手を振って見送ってくれた。
「じゃあ、お疲れ様です」
「じゃあまたねー! おつかれー」
(先輩にイラッとして申し訳なかったな。俺の事を心配してわざわざ様子を見に来てくれたというのに……)
「俺にしてはってどういう意味ですか?」
意味が分からず先輩の方へ振り返ると
「フツーに考えて独身の枯れススキみたいなオジサンが棚ぼたみたいにJKから求愛されたら欲望真っしぐらでこっそり囲い愛しちゃうよおぉ♪
刹那的で刺激的だけど激甘な果実の味だもんどうせそんなの数ヶ月も続かないんだからテキトーなマンション契約しておままごと同棲をJKが飽きるまで堪能してぇ、その後ササーッとマンション引き払うけどね♡ 俺がっ、独身オジサンならっ♪」
「!!」
「その点広瀬は正統派の真面目人間だからちゃんと相手の親と相談して段階踏んで結婚までの道筋をきちんと踏んでいくじゃあん♪ まーじめに賃貸物件いっぱい見て吟味して、あーでもないこーでもないやりながら真面目に相手との結婚生活想像してどーのこーのやる段階まで着実に進んでるんだな~って微笑ましくほのぼの思っちゃったわけですよ俺はっ♪」
見上げたジュン先輩の目の色が不気味な色に変わり、ハイテンションボイスに戻してニヤリと笑む顔が視界いっぱいに飛び込んできてイラっとした。
「夏実に向かってふしだらな表現使わないで下さいよ!!!!」
怒りでノートパソコンを閉じる俺の手の力も強まる。
「やだぁ~♡ 広瀬クンこわぁいっ♡」
「恐くなりますよそんな発言や表情されてきたらっ!」
ふしだら発言にもイラッとくるが、今のわざとらしく怖がる演技する先輩の仕草にもまたイライラした。
「そういうところだよ広瀬っ! 」
……のだが、先輩は直後に真面目な表情へと変え
「賃貸物件なんてもっとテキトーに選べばいいんだよ。気に入らなかったら他探せばいいんだし、同棲始めたら生活感が合わなくて別れるケースだってあるんだし」
と、俺の肩をポンッと優しく叩いて至極真面目なアドバイスをしてくれた。
一応先輩もただふざけて俺をイラつかせたのではなく、「もっと力を抜いて部屋を探せばいい」と伝えたかったようだ。
「そうしたいところですが、やっぱり吟味しないといけませんよ。夏実が快適に過ごせる空間を与えてやらなきゃいけないし、テキトーな場所選んで彼女に嫌われて振られたくないですから」
「……ふぅん」
「夏実だけじゃないです。夏実を大切に育てたきた人達は、俺にとっても繋がりが深いんです。夏実の両親から特に条件つけられた訳ではありませんが、夏実も両家の家族も納得のいく住まいを俺は探したいんです」
先輩の温かな体温で俺は心を落ち着かせ、真面目に自分の考えを吐露した。
「うん、だから彼女のご両親は広瀬との交際を許してるし、彼女からも親御さんからも今回の同棲を許すどころか真に望まれてるんだろうね。素敵な事だよ」
目を細めて微笑みながら、ジュン先輩は俺の肩をまた優しくポンポン叩いた。
「先輩……?」
(酒に酔っているとはいえ、なんで先輩はこんなにテンション上げたり真面目トーンでしみじみしたりしているんだろう?)
いつも変な人ではあるが、今俺の目に映る先輩の態度は慈愛に満ちているようなやわらかさがある。
ふざけた発言もあったが、真に安堵しているような……そんな雰囲気を先輩から感じ取った。
「もう帰ろうよ広瀬。駅に着く頃には22時になっちゃうよ? 広瀬の地元、終電大丈夫?」
先輩はニコニコ微笑みながら壁掛け時計の方を指差して俺に現在時刻の確認をさせる。
「あ!! やばっ!!」
一応終点はもう少し遅い時間にもあるのだが、そろそろオフィスを出ないと帰宅時間がえげつない時刻になってしまう。
「ほらほら急いで広瀬。ここは俺が戸締まりしとくからさっ」
ジュン先輩はそう言って立ち上がった俺の背中をトンッと押した。
「もしかして先輩は今から事務作業か何かするんですか?」
「違う違うっ。明日から土日休みだし、職場にチャリ置いたままにしたら愛するユウちゃんに怒られるから取りにきただけなの。酔っ払ってるからちゃんと押して歩いて帰るの。外からここの階見上げたらオフィスに明かりついてたからさぁ、気になって上がってきたっていうだけの話っ!」
……と、そもそもオフィスに用があった訳ではなく「ビルの駐輪場に通勤用自転車を置いたままにしたら愛妻に叱られるので取りに来ただけだった」という先輩の理由を聞かされ、俺は先輩の安堵の意味にようやく気付く。
(なるほど、そういう事だったのか……)
ビルの明かりが煌々としているのを外から見上げた先輩は予想したんだろう。
こんな時間になるまでサービス残業してそうな後輩が、またどっかで倒れているんじゃないかと……。
「……酔っ払ってるんですから、絶対に自転車漕がないで下さいよ?」
デスク後ろのロッカーから荷物を取り、ジュン先輩の顔を見る。
「わかってるって! 飲酒運転になるもんねー? そんな事しないよーだ」
先輩は赤い顔でヘラヘラしながらも、俺がオフィスから出るのを手を振って見送ってくれた。
「じゃあ、お疲れ様です」
「じゃあまたねー! おつかれー」
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