【完結】彼女が18になった

チャフ

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彼女に伝う俺の愛

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 今まで俺と外デートする時の夏実のファッションは、一言で言えば「清楚系」。
 メイクも大人びた雰囲気で、25センチの身長差を気にしてか靴もヒールの高いものを選んでいる。

 初めは「最近の10代はそんな服装が流行ってるのか?」と思っていた。
 実際街を歩いて周囲を見回すと10代なのか20代なのか見分けがつかない服装の女性であふれているように思う。

 誕生日デートの時もやはりそうで、姉の菜央ちゃんから譲り受けたという「あー、結婚前の菜央ちゃんそんな服着てたな」っていうキレイ目可愛い服装を身にまとっていた。
 だが、デート2日目に夏実とした奇怪フード巡りで行列に並んでいた時に「やっぱり10代だってそれらしい服装する女も居るじゃないか」と気付いた。
 今までのデートも、誕生日デートも、夏実が着ていた服装は似合っていたとは思うし、隣に並ぶ歳上の俺とのバランスはちゃんととれていたと思う。
 しかし行列に並ぶ若い女性に挟まれながら改めて夏実の格好を頭の先から眺めてみると「俺って菜央ちゃんとデートしてるんだっけ?」という変な違和感に包まれた。

 30男に釣り合うファッションをしてくれてるのに、素直に喜べない。
 夏実にそれは似合ってない訳ではなく、むしろ俺好みなファッションなのに、何故か嬉しくない。
 今まで全く気付かなかった感情が、奇怪フードを求める10代の夏実とのギャップと共に湧き上がって……直後、シャボン玉がパンと割れるような感覚に陥り、それが俺を少しモヤモヤとさせた。
 そのモヤモヤはホテルに戻って性欲によって吹き消された訳だけど、今日の昼に夏実へメールを送りながら「夏実は勉強の事と同じく、その面でも頑張りすぎていたんじゃないか」という事実にようやく気付いた。

「ねぇ、私の服装変じゃない? 湊人の好みとかけ離れてない?」

 夏実の腹に好物をパンパンに詰める事に成功した俺は、そのまま彼女と一緒に電車に乗って少しだけ離れた繁華街の方へと移動する。

「変じゃないよ。『夏実が友達と遊びに行くような服装で来て』っていう俺の指示通りだし、頭の団子も可愛い」

 俺の指示通りの服装をした夏実は、頭のてっぺんにデカい団子を冠し、ギンガムチェックのオフショルダートップスに濃紺のワイドパンツというシンプルなスタイルで、足には厚底のサンダルを履いていた。
 メイクの種類なんて俺には分からないけれどなんとなく雰囲気的に「頑張りすぎてない感」が出ていて嬉しい。

「やっぱり変だよ。湊人はスーツ姿だし余計に違和感あるって」
「そうか? ラフって指示したから俺としてはもっとTシャツジーパンくらいの感じをイメージしてたよ」
「それはラフ過ぎてデート向きじゃないし。本当はもっとオシャレしたかったのになぁ~」
「サンダルももっとぺたんこにすれば良かったのに。いつも足疲れないか?」
「湊人と歩くのにぺたんこなんて絶対いやー! 手が繋げないもん」
「ははっ、可愛いなぁ夏実は」

 夏実とそんな会話をしながら、俺は指を夏実の手に絡めて恋人繋ぎをした。



 俺みたいな年齢の社会人が夜蝶観測キャバクラあそびを理由に多数行き交うこの道は、ネオンの光を強く感じる。

「あっ」

 15センチ見上げた夏実の瞳は潤んでいた。
 それは鬱陶しい外湿度の所為だろうか?

「夏実、こっち……」

 それとも繋いだ手を裏路地へと導く、俺特有の低い声だろうか?
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