【完結】彼女が18になった

チャフ

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【番外編】彼氏が30歳になった(side夏実)

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 朝ご飯はなるべく家族みんなで食べる広瀬家の方針とは違い、共働きの薗田家では「出来る事は自分で責任持ってする事」と、朝ご飯も各自で好きなものを準備して食べる事になっている。

「ふああぁぁぁぁあ~~」

 ……ただし、お父さんを除いて。

「おはようお父さん」
「あれっ? なっちゃんなんで玄関にいるの?」
「お誕生日だから湊人に朝ご飯作ってあげたのっ。私は今から自分の支度っ!」
「ああ、そう……。はるちゃんは? もう仕事?」
「うん。今日は早い当番なんだって」
「ふぅん……じゃあ、俺のコーヒーは……」
「パンもコーヒーも私が用意してあげるから、お父さんは早く歯を磨いて髭剃ってきて!」
「ふぁあい」

 玄関でお父さんと朝からこんな会話をしているとやっぱりイラッとくる。

(子どもの私はちゃんと自分の事やるのに、お父さんったら誰かにコーヒー淹れてもらうのあり気でのんびり行動するし、やっぱりお酒臭いし髭も汚いし、なんかヤダっ!!!!)

 お母さんも毎日お父さんに対してイライラを募らせる気持ちが分かるし、身体から出てくる匂いも顔からチョビチョビ生えてる髭の感じも湊人とは全然違うってハッキリ思った。


 7時過ぎになったら、インターフォンの音を鳴らす音が響いて

「湊人くんも毎日飽きないもんだねぇ」

 まだダラダラとコーヒーを飲んでいるお父さんを無視して湊人の待つ門扉まで駆け出す。


「寝起きん時はごめんな。ハムエッグ凄く美味しかったよ」

 セミダブルベッドで寝ていたボサボサ髪の彼とは違い、そこにはかっこよくスーツを決めて髪も掻き上げおでこを半分見せている王子様湊人が私に優しく微笑んでくれている。

「ううん、いいの」

 寝起きに叱られたのは、正直そこまで凹んではない。叱られるのはしょっちゅうだし、ちゃんと湊人に言われた事を守ればこうして王子様の微笑みを私にくれるから。

 ただ……。

(今朝はちょっと、ドキドキバクバクキュンキュンが強いかなぁ……)

「お胸ちょっと気持ち良かったし♡」

 まだ1時間前にペロペロクリクリされた感触がまだ残っているんだもん♡

 私のその言葉で湊人も恥ずかしそうに息を詰まらせていたんだけど、そういう湊人の表情を私も恥ずかしがりながら目にするのはやっぱり幸せだ。

(18歳になっても、30歳の湊人を大好きでい続けて良かった。
 だって初日の朝から、こんなに幸せいっぱいなんだもん♡)




「湊人いってらっしゃい!」

 私は彼との朝の挨拶を済ませて大きく手を振る。

(誕生日デートの約束は18時かぁ。美味しいディナー食べて夜になったら、もっともっと幸せな時間が待っているのかなぁ……。
 ペロペロクリクリの感触以上の事をしていくのは不安もあるけど、絶対に幸せになれる素敵な時間になるんだろうな♡)

 私は、湊人の真新しいスーツ姿が見えなくなるまで、彼の背中を元気に見送った。





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