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俺と彼女の進む路(みち)
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しおりを挟む夏実との誕生日ラブラブデートも終わってしまえば、繁忙期と決算期というダブル地獄に追われる日々が待ち受けている。
今日は雨から解放されて晴れたり曇ったりな天気らしく、梅雨明けもそろそろ近いのだろうと予測される。
朝ラッシュも夏めいてきたとでも表現すべきか、人肌の熱気が余計にこもっていた。
当然の事ながら喫煙者の身体からも要らぬ臭いがいつも以上にムンムンとしていて、マスクを着用していてもそれが透過してきそうで俺にとっては地獄の季節がやって来たと言ってもいい…………ただし、土曜日までは。
[朝から暑いけど今日もお仕事頑張ってね♡]
[夏実も気をつけて学校行くんだよ。お弁当ありがとう」
[りょ]
[卵焼きに挑戦してみたからお弁当楽しみにしてね♡]
薗田家を通り過ぎてからずっと俺の目線はスマホ画面に注がれ、今まで夏実と待ち合わせくらいしか使用してなかったメッセージアプリをフル稼働させている。
(えーっと……「りょ」って「了解」の意味だからここは俺も「りょ」って返信すべきか?
っていうか夏実のスタンプいつも可愛いよな。俺もなんか可愛いのいくつか購入しようかな?)
と、今の俺は口元を気味悪く弛ませており、今朝ほどマスク着用で良かったと感じた日はない。
(やはり俺も「りょ」を打つのはまだ早いか……ハートマークですら打つの恥ずかしいもんなぁ)
しばしメールの返事内容を逡巡した後、
[それは昼休憩が楽しみだ]
[昨日も言ったけど、お弁当作りは無理しなくていいからね]
[卵焼きめちゃくちゃ嬉しいけどね]
と、返信を立て続けにポンポンと送り、涎が垂れてしまいそうなくらい口を半開きにしていた。
(夏実の事を考えたりメッセージ送るだけで癒されるなぁ。弁当食べるのも楽しみだし、朝から幸せ過ぎる……)
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