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俺と彼女の甘い露
★18
しおりを挟む頭の中で要らぬ事を色々と思い巡らしている内に、痛そうに息を切らしていた彼女の呼吸音が落ち着きを取り戻して、ゆっくりと深呼吸するようになった。
「まだ痛む?」
俺の問いに夏実は首を横に振って
「でもまだ動いちゃやだ」
と返答した。
「それってまだ痛いって意味だろ?」
繋がっているんだから俺にも夏実の痛みが分かればいいのに。と、その時少しだけ思った。
そうすれば男は自分本意に欲望を押し付ける事なく女を幸せに出来るだろうから。
「今は痛くないんだけど、湊人が入ってきた時痛かったからこのまま全部入っちゃうともっと痛いのかなって怖くて」
ゆっくりとそう話す夏実の声が震えている。
「怖いなら抜くよ。そんなの夏実が可哀想だ」
俺は悲しくなってきて腰を引こうとした。
「それも嫌だ。抜いちゃ嫌!」
でも夏実は抜くなと言う。
「どうして?」
怖いと言う癖に抜くなとか言い出す彼女の意図を探ろうと、俺は夏実の顔がしっかり見える様に少しだけ上体を反らす。
「だって湊人の……凄くあったかいんだもん。
この世で生きる全てのものは温かいと感じる方に心が動くんでしょ? 今の私の心も、温かい湊人の方に動きたいから」
両肘を立てた俺の腕の間で、夏実は美しく可憐に微笑みながら……昨夜の俺の言葉を自分の言葉として使ってくれていて
「夏実……」
一心に俺と気持ちを繋げようとしているのが直接的に伝わった。
(俺もこの尊い夏実と気持ちを繋げたい……でもどうすればいい?腐る言葉を言い続ければいいのか?)
夏実の口から出る言葉はあんなにキラキラと輝いて俺の心に直接伝わるのに。と、何故か悔しくなった。
「んっ」
自分のチープな言葉で自己嫌悪に陥るくらいならと、俺は舌を伸ばして夏実の唇を舐めた。
それは昨夜から唯一まともに出来ている、夏実の甘い露との融合を可能にする行為だったから。
「んぅ♡」
夏実の唇を舌で割り開き歯列を舐めると、夏実が前歯の門を開け口内へと俺の舌を導いてくれる。
「んん……っふ……」
口内の奥まったところから夏実の舌先が待ち受けていて、侵入した俺の舌をチロチロと愛撫してくれる。
「ふぅっ、んん……んっ」
それが嬉しくて、俺も一緒になって夏実の舌と同様に舌先を硬くして同じようにチロチロベロベロと舐め合った。
スーツの俺とドレスの夏実とでした、舌先同士の遊び。
あの時はお互い舌を出して遊んだけれど、今はもう遊びじゃない。俺が本気で夏実と気持ちを繋げる為の……言わば舌の性交だ。
「んふぅん♡」
「んっ!」
しばらくそうしていたら、夏実の腕が俺の背中へと回り少し引き寄せてきた。
俺もまた嬉しくなって夏実の望む通りグッと、強く強く抱き締める。
「んふうぅん!!」
すると夏実が急に高い声を出したので、俺はハッとして舌を解き抱き締める腕の力を緩めようとする。
「ごめん夏実、強すぎた」
「ちがうの……キスも抱き締めるのも、やめてほしくないの」
ハアハアと息をしながら、夏実が首を横に振りながら言う。
「じゃあどうして?」
「どうしてって……やだなぁ」
俺の表情が何故か可笑しかったらしく、しばらくクスクス笑いだした。
「なんだよ」
夏実の笑う意味が分からなくて不機嫌な声を出したら夏実は尚も笑いながら
「キスやハグに夢中になって抜けちゃったんだもん。っていうか、湊人が先に気付いてよぅ! 私初めてなんだからっ」
「あ」
「あ、じゃないよ! 経験者の癖にぃ」
「キスとハグで身体を上に持ち上げたらそりゃ抜けるよな、身長差で」
「ホントだよもぉ~! しっかりしてよ湊人ぉ」
夏実は笑った理由をまた可笑しそうに話して、俺にダメ出しする。
「あーあ、ダメだなぁ俺は」
俺は上半身を起こし、首を回す。
抜けたモノを見たらまだ大丈夫そうだけど挿入したまま動かずにいた時間が長かったのか、黒い薄膜はちょっと使い物にならなさそうだった。
薄膜を外したら内側が結構濡れていて「完全に俺の所為だ」と知る。夏実が痛がっていたのが気にかかり秘部にもティッシュを当ててみたが、思ったより出血が少量でホッとした。
「もう、出来ないの?」
心配になったのか夏実も起き上がって、ぬらぬら光る俺の棒を指でツンっとつついた。
「ちょっ! やめろって!」
嫌がる俺が楽しいのか、夏実は「ふふ~♡」っと笑いまだそのツンツンを辞めようとしない。
「わかったわかった!またゴム着けりゃいいから!」
観念してまた薄膜の包みを開けて新しいのを装着し始めたが、その間夏実に凝視されてなんだか恥ずかしくなってくる。
「夏実は痛いんじゃないのか? ほんの少しだけど血が出てたし」
恥ずかしいのをそんな言い方で誤魔化すなんて、自分もガキみたいだなと感じる。
夏実の方はというと「んふふ~」とか「えへへ~」とかヘラヘラっと笑って
「んー……多分、平気♪」
なんていい加減な返答をする。
「平気ってなんだよ」
「だって、ちゃんと気持ちが繋がるの、もっと実感したいし♡」
上目遣いで、しかも指で小さなハートを作りながらそう言う夏実は反則だと思った。
「キスやハグもしながらするのって意外と難しい?」
なんだかんだ言ってさっきの行為も良かったらしく、上目遣いで俺に訊く。
「そうだなぁ」
何か良い案は無いかと考えながらぼんやり呟いたが、すぐに思い付いて胡座をかくと夏実に「おいで」と手招きした。
「え? 何?」
「いいから。俺に『ハグー!』してきて」
俺の「ハグー!」に夏実はピクンと身体を跳ねさせ喜びながら胡座をかく俺の膝に飛びつくように乗っかる。
「……こう?」
「そうそう。夏実は呑み込み早いな」
「えへ♡ 褒められた♡」
「そりゃ褒めるよ、とっても良い子だから」
キスとハグと挿入。
俺の膝に夏実を座らせ顔も向き合った体勢になりその準備が整ったところで、また俺達は愛ある行為を再開させた。
「これって、中に入りすぎないかな?」
「安心して。そこは俺がちゃんと調整してやるから。夏実は気にしないで気持ち良くなればいい」
「湊人も気持ち良くなる?」
「今の時点でめちゃくちゃ気持ち良いからそれも心配しなくていいよ」
「わかった。でも、動くのは遠慮しなくていいからね♪」
「動いていいのか?」
「奥は怖いから、激しくなければ♪」
「了解」
見つめ合って、確認をして、上も下も身体も心も全部密着して……俺達は気持ち良くなった。
棒を片手で支えながら奥まで入っていかないようにしながら挿入しているから、俺からのハグは腕一本にはなるが、その分夏実が可愛くギュウッと抱きついてくれていて、とても幸せな気持ちになる。
「あっ……」
絶頂間近になり、俺は腰を動かすのをやめ棒を支えていた手でシコシコと扱き始める。
「んふうぅ♡」
夏実はその間、舌をいっぱい絡めながら甘い露をとろとろと俺に流してくれたから
「ん……っ!」
上では夏実の露を喉の奥へ嚥下してまた体内で夏実と自分が融合するのをイメージしながら、下で思う存分迸った。
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