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俺と彼女の誕生日
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しおりを挟む今日はなんだか夢見が良い。
「みなとくん」
夢の中で大好きな彼女が俺に優しく微笑みかけている。
「いつも可愛いな、夏実は」
夢の中にいる俺はそう言って彼女の頭を撫でると
「ねぇ、今日から『湊人』って呼んでいいんだよね?」
と訊いてきた。
「どうしていきなりそんな事訊くんだよ? 今まで夏実は俺を『みなとくん』って、くん付けしてくれていたのに」
今まで通り「みなとくん」の呼び名で慣れてるんだから別にそのまま変えなくてもいいんだけどなぁ……なんて、夏実の黒いストレートロングヘアを手で梳きながら俺はぼんやり思っていたんだが
「あ、そうか……ごめんごめん。今日、誕生日だもんなぁ」
「7月13日になったら」と、彼女と交わした約束を思い出し、柔らかな唇にキスを落とした。
チュッ
「そうだよぉ。私、18歳になったんだから湊人はもう何もガマンしなくていいんだよ?」
チュッ
「そうだったな。誕生日おめでとう夏実」
チュッ
「湊人もでしょ? 30歳の誕生日おめでとう♡」
「んっ」
「んっ……ふぅん♡」
啄むようなキスを続けていたのに、彼女の舌が積極的に俺の歯列をなぞり誘惑してくるから俺もそれに応えようと口を開け、侵入してきた舌先をチロチロと愛撫した。
(ああ……気持ちいい……)
今までキスといったら唇をくっ付けるだけの可愛らしいキスしかして来なかったから、こういうキスは新鮮でそれでいて少し懐かしい気分にも陥る。
「ふぅん……んふぅん♡」
舌先を弄るだけで彼女の身体はビクビクと反応して、ここも性感帯なのだと知ると一層愛らしく感じてしまうのは何故だろうか?
「夏実はエッチな子だね」
唇を離しても胸の鼓動はおさまらず、夢の中なのに自分までこんなにセクシャルな気分になってしまって良いものだろうか? と本来なら自問自答すべきなのに
「だって湊人が大好きなんだもん♡」
可愛い顔且つ濡れた唇でそんな甘い言葉を掛けられたら、30なりたての中年だって理性が吹き飛ぶ。
「じゃあ夏実の望む通りもっともっとエッチにしてやろう。俺も夏実が大好きだから」
「あん♡」
理性ゼロとなった俺は夢の中だからと調子に乗って彼女をベッドの上へと押し倒すと、白くて美しい首や鎖骨の上を這うように己の舌を滑らし、蛞蝓の跡と同じように中年の唾液の跡筋を作っていく。
(うん、なかなか背徳的で興奮する……)
夢の中とはいえ初めて彼女に施す愛情表現に対し悦に入った俺は、彼女の腹から手を差し込んで薄ピンク色の可愛らしいブラごと張りのある豊かな胸を揉み、人差し指を素肌とブラの間へと滑り込ませた。
「やあぁん♡」
まだ勃起もしていない胸の突起が指先にすぐ当たる。
狭い空間で指を動かしクリクリと弄ってやると、甘い声と共にその部分がコリッとした感触の突起に成長して面白い。
その突起を更に可愛がってやろうと蛞蝓の舌は肩へと追いやりつつ親指もそこへ参戦させ、摘んでは揉み摘んでは揉みを繰り返していると
♪~~~♪~~~♪
突然スマホのアラーム音が鳴り響いて俺は両目を開けた。
「ああんっ♡」
眼前には夢の中と同じく夏実がトロンとした表情で俺を見つめている。
「え!? ……って、ええ??」
軽快なアラーム音が鳴り響く中、自分の右手が現実の彼女の服の中に入っていた事に気付いて
「うわあああ!!!!」
三十路にはふさわしくない大声を張り上げながら俺は上半身を起こしスマホのアラームを解除した。
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