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10回目の帰省
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密にやり取りしている田上くんからの反応がない上に私の行動がいつもと違うという事で、ジュンは気を遣ってくれているらしい。
そしてちょうど良いタイミングで、勝手口の扉が開き背後からパタパタという軽快な足音が聞こえた。
「もしかして、朝香ちゃんが来てくれた感じ?」
客の居ない店内だから、カウンターテーブル越しのジュンの耳にもその音が判別出来たらしい。
「まぁ、そうね」
時刻は13時30分。
朝香ちゃんは事前の連絡通りに勝手口から入って、今はバックヤードでお着替え中。
「じゃあ行こうよ、お散歩デート」
ジュンは、バックヤードまで声が届かないよう、私にズイッと近付き小声で誘った。
「えぇ……?」
「実は今日の集会、珍しく配布のプリントがないみたいなんだよねー。だから義雄さんも参加の人数確認をする事ないと思うんだ」
「それホント? 不参加者はすぐにバレるのよ? そのプリントで」
集会で配布される紙の右上には義雄さんの字で各メンバーの名前が書かれており、いつもその紙で出席をキッチリとっている。
手元に名前入りの紙が残っていたら義雄さんがその日の夕方にクドクドと御高説賜るシステムになっているのだ。
「ホントホント。先週の木曜日は俺も義雄さんのプリント作成を手伝ったんだけど今日はその作業しなかったからねー」
「……」
「マジだよ。信じてよ」
「信じてよ」とは言うけど、ジュンの表情からはチャラさが抜けていない。
(本当かなぁ……でもまぁ、ジュンは朝から商店街の周辺をウロウロするくらい義雄さんの手伝いをしていたんだろうし嘘をつく理由がないもんなぁ)
清さんの入院キッカケで商店街の手伝いをするようになったけれどまだ日が浅い。ジュンが嘘を簡単につけるくらいの数をこなしていないのだ。
「朝香ちゃんに怪しまれないようにさ、14時50分にユウちゃんの駐車場で待っておくよ。
ユウちゃんは集会の時間が終わってすぐに店に戻るっていってたから、散歩時間は30分弱かなぁ」
「うん……まぁ、30分弱なら」
「ねっ♪ 良い案だと思うんだ♡」
本気で散歩デートをしたいのならわざわざ集会をサボってまでしようとは思わないだろう。
「そうね。それなら、してもいいかな。ジュンとの、散歩デート」
「散歩デート」というワードに気恥ずかしくなりながらも、私はコクンと頷きジュンの誘いに乗る事にした。
「やった♡ じゃあ、あと1時間ちょっとしたら待ち合わせね♡」
「うん……」
「楽しみにしてる♪」
ジュンはニコニコしながら私に小指を差し出して指切りをせがみ
「分かった。約束ね」
朝香ちゃんが着替えを済ませる前にと、ササッとジュンの小指に絡ませる。
「じゃあ、またね♡ ユウちゃん♡」
ジュンも素早く指切りをして、ササッと店から出て行ってしまった。
「夕紀さん、お疲れ様でーす」
朝香ちゃんが中に入ってきたのと同時に、店内は再び人の気配が無くなりジャズミュージックだけがしっとりと流れていて
「朝香ちゃんもお疲れ様」
「今日は集会の日ですよね!その間はいつもみたいに私にお店任せて下さいねっ♪」
「うん、今日もよろしくね。朝香ちゃん」
ジュンが店に居た事実を完全に隠してしまったかのように感じられる。
「はいっ! 今日も一日よろしくお願いしますね♪ 夕紀さんっ♪」
SSRキャラである朝香ちゃんの可愛く弾けるような笑顔を眺めながら、私は
「うん」
お姉さん的笑顔を作りながら、内心ソワソワしていた。
(14時50分にジュンが駐車場へ来る……待ち合わせまであと1時間15分後かぁ……)
そしてちょうど良いタイミングで、勝手口の扉が開き背後からパタパタという軽快な足音が聞こえた。
「もしかして、朝香ちゃんが来てくれた感じ?」
客の居ない店内だから、カウンターテーブル越しのジュンの耳にもその音が判別出来たらしい。
「まぁ、そうね」
時刻は13時30分。
朝香ちゃんは事前の連絡通りに勝手口から入って、今はバックヤードでお着替え中。
「じゃあ行こうよ、お散歩デート」
ジュンは、バックヤードまで声が届かないよう、私にズイッと近付き小声で誘った。
「えぇ……?」
「実は今日の集会、珍しく配布のプリントがないみたいなんだよねー。だから義雄さんも参加の人数確認をする事ないと思うんだ」
「それホント? 不参加者はすぐにバレるのよ? そのプリントで」
集会で配布される紙の右上には義雄さんの字で各メンバーの名前が書かれており、いつもその紙で出席をキッチリとっている。
手元に名前入りの紙が残っていたら義雄さんがその日の夕方にクドクドと御高説賜るシステムになっているのだ。
「ホントホント。先週の木曜日は俺も義雄さんのプリント作成を手伝ったんだけど今日はその作業しなかったからねー」
「……」
「マジだよ。信じてよ」
「信じてよ」とは言うけど、ジュンの表情からはチャラさが抜けていない。
(本当かなぁ……でもまぁ、ジュンは朝から商店街の周辺をウロウロするくらい義雄さんの手伝いをしていたんだろうし嘘をつく理由がないもんなぁ)
清さんの入院キッカケで商店街の手伝いをするようになったけれどまだ日が浅い。ジュンが嘘を簡単につけるくらいの数をこなしていないのだ。
「朝香ちゃんに怪しまれないようにさ、14時50分にユウちゃんの駐車場で待っておくよ。
ユウちゃんは集会の時間が終わってすぐに店に戻るっていってたから、散歩時間は30分弱かなぁ」
「うん……まぁ、30分弱なら」
「ねっ♪ 良い案だと思うんだ♡」
本気で散歩デートをしたいのならわざわざ集会をサボってまでしようとは思わないだろう。
「そうね。それなら、してもいいかな。ジュンとの、散歩デート」
「散歩デート」というワードに気恥ずかしくなりながらも、私はコクンと頷きジュンの誘いに乗る事にした。
「やった♡ じゃあ、あと1時間ちょっとしたら待ち合わせね♡」
「うん……」
「楽しみにしてる♪」
ジュンはニコニコしながら私に小指を差し出して指切りをせがみ
「分かった。約束ね」
朝香ちゃんが着替えを済ませる前にと、ササッとジュンの小指に絡ませる。
「じゃあ、またね♡ ユウちゃん♡」
ジュンも素早く指切りをして、ササッと店から出て行ってしまった。
「夕紀さん、お疲れ様でーす」
朝香ちゃんが中に入ってきたのと同時に、店内は再び人の気配が無くなりジャズミュージックだけがしっとりと流れていて
「朝香ちゃんもお疲れ様」
「今日は集会の日ですよね!その間はいつもみたいに私にお店任せて下さいねっ♪」
「うん、今日もよろしくね。朝香ちゃん」
ジュンが店に居た事実を完全に隠してしまったかのように感じられる。
「はいっ! 今日も一日よろしくお願いしますね♪ 夕紀さんっ♪」
SSRキャラである朝香ちゃんの可愛く弾けるような笑顔を眺めながら、私は
「うん」
お姉さん的笑顔を作りながら、内心ソワソワしていた。
(14時50分にジュンが駐車場へ来る……待ち合わせまであと1時間15分後かぁ……)
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