【完結】この花言葉を、君に

チャフ

文字の大きさ
上 下
25 / 113
【番外編】私とコーヒー

1

しおりを挟む



 私は毎朝、自分でコーヒーをれて飲む。

「1ヶ月振りのグアテマラアンティグア……」

 私は数日前に店の焙煎機で丁寧に煎った珈琲豆を電動コーヒーミルにかけ、少々粗めにき始めた。

 そこからは、息をするように私の体は動いていく。

 小鍋に水を入れ火にかけたら冷蔵庫を開けて、ネルが入った保存容器と浄水された水のボトルを取り出しネルだけ小鍋の中に落とす。

 ボトルの水を電気ケトルに注いでスイッチを入れる。

 ネルの煮沸消毒が終わったら小鍋を火から下ろして湯を捨て、ネルを軽く洗って絞りしっかり水気を切り、持ち手のついた金具にネルを通していく。

 電動コーヒーミルのスイッチを切って挽いた珈琲をネルの中に入れて縁をトントンと軽く手で叩いて粉を平らにならし、真ん中だけほんの少しくぼませる。

 沸いた湯をドリップポットに一旦注いでからカップにも移しカップを温めつつ湯を90度より下回るように温度を下げる。

 適温になった湯をドリップポットに戻したらいよいよ湯を粉に落としていく。最初は湯を粉に乗せるイメージで少量だけ。粉を蒸らす為だ。

 蒸らしが終わったらゆっくり、一定のスピードでコーヒーが落ちるように湯を注いでいく。
 1杯分抽出出来たらネルをサーバーから外して、サーバーに溜まったコーヒーの濃度が均等になるように少しだけサーバーを揺らす。

 出来上がったコーヒーを緑色の陶器製カップに注いだら、ようやく完成だ。




「やっぱり美味しい……」

 私は生まれて初めてコーヒーという飲み物に出会った日の事を懐かしみながら、ダイニングの椅子に腰掛けゆっくりとその香りや味を楽しむ。

「もう、25年も前になるのか……私も歳をとったもんよね……」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします

文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。 夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。 エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。 「ゲルハルトさま、愛しています」 ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。 「エレーヌ、俺はあなたが憎い」 エレーヌは凍り付いた。

会社の上司の妻との禁断の関係に溺れた男の物語

六角
恋愛
日本の大都市で働くサラリーマンが、偶然出会った上司の妻に一目惚れしてしまう。彼女に強く引き寄せられるように、彼女との禁断の関係に溺れていく。しかし、会社に知られてしまい、別れを余儀なくされる。彼女との別れに苦しみ、彼女を忘れることができずにいる。彼女との関係は、運命的なものであり、彼女との愛は一生忘れることができない。

捨てられた王妃は情熱王子に攫われて

きぬがやあきら
恋愛
厳しい外交、敵対勢力の鎮圧――あなたと共に歩む未来の為に手を取り頑張って来て、やっと王位継承をしたと思ったら、祝賀の夜に他の女の元へ通うフィリップを目撃するエミリア。 貴方と共に国の繁栄を願って来たのに。即位が叶ったらポイなのですか?  猛烈な抗議と共に実家へ帰ると啖呵を切った直後、エミリアは隣国ヴァルデリアの王子に攫われてしまう。ヴァルデリア王子の、エドワードは影のある容姿に似合わず、強い情熱を秘めていた。私を愛しているって、本当ですか? でも、もうわたくしは誰の愛も信じたくないのです。  疑心暗鬼のエミリアに、エドワードは誠心誠意向に向き合い、愛を得ようと少しずつ寄り添う。一方でエミリアの失踪により国政が立ち行かなくなるヴォルティア王国。フィリップは自分の功績がエミリアの内助であると思い知り―― ざまあ系の物語です。

アンコール マリアージュ

葉月 まい
恋愛
理想の恋って、ありますか? ファーストキスは、どんな場所で? プロポーズのシチュエーションは? ウェディングドレスはどんなものを? 誰よりも理想を思い描き、 いつの日かやってくる結婚式を夢見ていたのに、 ある日いきなり全てを奪われてしまい… そこから始まる恋の行方とは? そして本当の恋とはいったい? 古風な女の子の、泣き笑いの恋物語が始まります。 ━━ʚ♡ɞ━━ʚ♡ɞ━━ʚ♡ɞ━━ 恋に恋する純情な真菜は、 会ったばかりの見ず知らずの相手と 結婚式を挙げるはめに… 夢に描いていたファーストキス 人生でたった一度の結婚式 憧れていたウェディングドレス 全ての理想を奪われて、落ち込む真菜に 果たして本当の恋はやってくるのか?

悪役令嬢の涙

拓海のり
恋愛
公爵令嬢グレイスは婚約者である王太子エドマンドに卒業パーティで婚約破棄される。王子の側には、癒しの魔法を使え聖女ではないかと噂される子爵家に引き取られたメアリ―がいた。13000字の短編です。他サイトにも投稿します。

初めから離婚ありきの結婚ですよ

ひとみん
恋愛
シュルファ国の王女でもあった、私ベアトリス・シュルファが、ほぼ脅迫同然でアルンゼン国王に嫁いできたのが、半年前。 嫁いできたは良いが、宰相を筆頭に嫌がらせされるものの、やられっぱなしではないのが、私。 ようやく入手した離縁届を手に、反撃を開始するわよ! ご都合主義のザル設定ですが、どうぞ寛大なお心でお読み下さいマセ。

振られた私

詩織
恋愛
告白をして振られた。 そして再会。 毎日が気まづい。

処理中です...