【完結】この花言葉を、君に

チャフ

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10月18日

プロローグ

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 7年前の10月18日。
 私は恋をてた。

「私ね、悪い女と悪い男の間に生まれた悪魔みたいな子なの」

 棄てたいと思っていたから、方法は雑で投げやり。

貴方あなたと違って『見た目通り』の人間じゃない。貴方は私をいつも『かっこいい』って簡単に言ってしまえているけれど、中身の私は真逆なの。だって本当だし、『在籍するのも4年か5年』って社長には話を通していたの」

 とにかく、「彼」に嫌われてしまおうと……その一心で強い酒をあおり、今まで誰にも明かした事のない話をポンポンと投げ付けた。


「そっか……」

 「彼」はバーカウンターに顔を伏せ、細かく震え、とても残念がっているように見えた。

「だからもう2度と貴方に会う事はないと思う。明日から遠い場所で修行するから」
「遠い場所って、どこ?」
「…………」
「…………言う、わけないよね。完璧主義の遠野とおのさんが」

 顔を伏せたまま、こもった声で問う「彼」に何て答えてやれば良いのか悩んでいると、「彼」はすぐにそう結論付けてしまう。

 色んな面が苦手だった「彼」の中で唯一助かったのが、その場の空気を察する能力だ。
 その日も「彼」のそれに助けられ……私はそれ以上無駄な言葉を発する事なくその場を離れる事が出来、当時の私の願いだった「恋の廃棄」も叶えられたのだった。
 
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