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1.終わりの始まり
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今日は某祝日
今の日本に、日章旗を掲げている家庭が、今どれほど居るだろうか?
高層マンションの一角に、珍しく日章旗を掲げている玄関があるが・・・・。
その日章旗は、所々破れていて、赤いシミが点在している。
そんな日章旗が緩やかな風に靡いている。
「HAHAHAHAHAHAHAHA!!!!!」
下界には何処の国の者かは分からないが楽しそうに笑い声を雄叫び上げている。
どうやら、複数人で輪になってサッカーに興じているようだ。
「ボト!!ボト!!ボト!!ボト!!」
しかし、そのサッカーで使っているボールはやたら転がりが悪い。
「HAHAHAHAHAHAHAHA!!!!!!」
その転がりの悪さを承知した上で、その連中はサッカーを興じている。
そう、そのサッカーボールは・・・・・、「人の首」である。
首から下が切り落とされているのだ。
ソレを使って、この外国人達はサッカーに興じているのである。
人の首は女性のようだ。長い髪の毛が流血と絡まって、赤黒い手毬のような状態になっている。
その首の主・・・胴体は裸にされていて、手足を切り取られ、
陰部には金属製の棒のようなモノが突っ込まれていて、ゴミのように路上に放置されている。
その隣では・・・・・・。
ロープでぐるぐる巻にされビルの壁に固定された男性が、・・・・・・拳銃の的にされている。
パン!!!パン!!!!パン!!!!!撃っているのは、また別の外国人。
「ウガ!!ウグウ!!!ゲエエエエェェエ!!」
撃たれている男性は撃たれる度に悲鳴を上げる。・・・が死なない。
外国人たちは、その標的が即死しないように、腕や足を狙って撃っているのだ。
「HAHAHAHAHAHAHAHA!!!!!!」
外国人たちは、その苦しみ悶えている様を見て楽しんでいるようだ。
その隣では、もう一つの的が存在していた。
歳は30代の女性。ロープでぐるぐる巻にされ、口には猿轡(さるぐつわ)。涙を流しながら体が震えている。
その的に向かって、拳銃を構えていたのは、年端も行かない子供・・・少年だった。
「ホラ、シッカリトモッテクダサーーーイ。」
少年の傍らには大人の・・・・外国人男性が優しく少年に拳銃の持ち方をエスコートしている。
「い、嫌だ!!」少年は勇気を振り絞って言うが、「イイカライイカラ。」と外国人は意に介さない。
そして、少年が持っている拳銃のトリガーを指で押す。
パン!!!!!
チュイイイィィィィン!!!
その弾道は、的の女性を外して、ビルの壁に。
「オウ、ザンネンネエ。コンドハシッカリトネラッテクダサーーーーイ。」外国人は笑顔で少年に語りかける。
そして、再び少年が持っている拳銃のトリガーの指で押す。
パン!!!!!!
「ウグ!!!!!!」今度は的の女性の体に当たったようだ。
「お母さん!!!!!!!!!!」少年は大声で叫ぶ。
少年が標的にしていた女性は、自分の母親だった。
「ウウウウウゥゥゥ・・・。」
的の女性は、どうやら致命傷にはならなかったようだ。肩から血が滴り落ちた。
「オウ、オシイデスネエ?モウスコシチャントネラッテクダサーーーイ。」外国人は笑顔で言う。
そして、再度少年が持っている拳銃のトリガーを指で押す。
が、少年は力いっぱい抵抗するが、所詮は子供の力。
あっさりと、トリガーは押されてしまう。
パン!!!!!!!!!!!!!!
ブシュウ!!!!!!的の女性の胸付近に銃弾は当たった。
「!!!!!!!!」女性は悲鳴もあげられず、目からは涙が流れ・・・・・・そして、絶命した。
「うわあああぁぁぁぁぁぁぁl!!!!!!!!!!!!!!!」
「お母ーーーーーさーーーーーーーーん!!!!!!!!!!!!」
少年は断末魔のような大声を出した。
「OH、ジョウズニアタリマシタネ。サスガオトコノコデスネ。」外国人は笑顔で言う。
「ふう・・・ふう・・・ふう・・・。」少年は涙を流しながら怒りが最高潮になっているのを堪えているようだ。
「よ、よくも、僕のお母さんを!!」少年がそう言って持っていた拳銃を外国人に向けると。
外国人はヒョイと少年の体を拳銃を持っていた腕ごと持ち上げ、
自身のズボンのポケットにしまってあった拳銃で・・・。
パン!!!パン!!!パン!!!・・・・・・・・・。
少年の顔面に3発、撃ち込んだ。
少年の顔面は、至近距離から撃たれたせいか、グチャグチャになり、その後方には脳みそが周囲に飛び散っていた。
「オウ、カエリチガカオニカカッテシマイマシタ。キタナイデスネエ」
そう言って、外国人は持ち上げていた少年を放り投げてから顔を拭った。
「オイ、オマエ。」もう一人の外国人暴徒が聞いてくる。
「ナンデスカ?」
「メスヲムヤミニコロスハモッタイナイデス。タノシンデカラコロシテクダサイ。」
「オウ、ソレナラダイジョウブデス。ベツノストックナラ、アチラニタクサンアリマース!」
そう言って指差した先には・・・。
日本人女性が五人ほど、ぐるぐる巻にされて動けなくなっていた。
ぐるぐる巻きにされている女性たちは、ポツポツと所々出血しているのだが・・・。
なんと、有刺鉄線でぐるぐる巻きにされているのだ。
「オー、アナタサスガデスネ!ヌカリナシデス。」
「スキナダケタノシンデクダサーイ!マタアトデホカクシマスカラ、モンダイナイデスネ。」
「ワカリマシタ。アリガトウ。」もう一人の外国人暴徒はぐるぐる巻にされている女性たちに近づいていく。
路上は大量の流血。死体が点在していて、所々から煙が上がっている。
路上の大量の流血は・・・五人ほどの大人の男女が両腕を針金?のようなモノでひと括りにされて・・・。
バイクに引っ張られていた。
路面を延々と引きづられていた為に衣服は破け・・・皮膚も破れているのだ。そこからの流血なのだ。
当然の運転手は、どこかの外国人だ。
「HAHAHAHAHAHAHAHA!!!!!」その外国人も楽しそうにそのバイクを運転している。
下界は、今、そんな状態になっているのである。
俺は牧坂圭一郎・・・詳しい自己紹介は、また落ち着いた時にでもしたいと思う・・・・。
今、高層マンションの自宅の部屋の中で妻と息子と三人で息を潜めている・・・。
「#%$&%’((()’&&%&’!!!!!」
「’’&%&’()(&$%&&’!!」
部屋の外からは、韓国語だか中国語を話してる男の怒号の声がひっきりなしに響いていた。
ここは寝室。
2つのベッドを使って・・・一つは扉に。もう一つはベランダに通じる大窓に立て掛けている。
ベッドの木材の隙間から、微かに日差しが入り込んでくるが、基本この部屋は暗い。
俺は顎に手を当て、「無精髭が随分伸びてきたな・・・。」
もう、こんな状態が3日も続いていれば当然の結果か・・・・。
「あなた、いつまでこうしていたら良いの?」妻の真須美が話しかける。
「俺に聞いたって分かる訳無いだろ。」
妻の真須美と小声で話し合っていた。
真須美の髪の毛も中途半端にウェーブパーマが解けてボサボサだ。
息子の翼はイヤホンを耳にしながら、携帯ゲーム機を無言でやり続けていた。
ドンドンドンドン!!!!!!
玄関ドアが力強く叩かれている。
さっき、しっかり施錠して、家の家具でバリケードを作っておいて良かった・・・。
ここは比較的奥に位置する俺たち夫婦の寝室だ。
念の為、リビングのベランダにも家具をバリゲードを設置。
まあ、ベランダから侵入される事は無さそうだが、念には念を入れた。
「パンパンパン」甲高い火薬音が外から聞こえた。
どうやら、下界では拳銃で発砲しているようだ。
「ここは、日本じゃ無かったのか?」
「日本に決まってるでしょ?」真須美が呆れながら、小声で返事した。
「どうして、こうなった?」思わずネットスラングが出てしまう。
「あたしが知る訳無いでしょ?」真須美は少し苛ついてきているようだ。
「ウ~~~。」下界からサイレンが聞こえてきた。もう、このサイレン音も何度聞いたことか・・・。
消防車かパトカーか?
兎に角、この状況を早くなんとかしてくれよ。
「ダダダダダダダダダダッ!!」今度は下界からマシンガンのような音まで聞こえてきた。
一体、下界はどういう状態なんだ?
気にはなってはいるが、ベランダから覗き込む勇気は無い。
ただ、外からの異臭が凄いのが何かを物語っている。
もう、この異臭も数日間続いているので慣れてしまった自分が怖い。
「あーーーー・・・・。私のお店はどうなったのかしら?」真須美が目をうつろにしながら言う。
「ああ、あの自由が丘にオープンさせた雑貨屋か?」
「そうよ・・・・・。」
「今はそれどころでは無くなったしなあ・・・・。」
「・・・・・・そうよね。何を今更って話よね・・・・。」
俺は、真須美にそれ以上かけてやる言葉が見つからない。
息子の翼は、われ関せずな感じで携帯ゲーム機で遊び続けている。
やれやれ・・・・、息子は、ある意味大物かもしれないな・・・・・。
「おい、翼、どんなゲームやっているんだ?」俺は画面を覗き込む。
それは、一人の兵隊が戦場で銃を使って敵の兵隊を撃ち殺していく主観視点のゲームだった。
翼は、無駄のない動きで百発百中で敵の兵隊を撃ち殺していく。
「ほう、翼は上手いな。」
「別に・・・。もうずっと、この手のゲームやり続けているから・・・・。」
相変わらず、無感情な奴だな・・・・。
次の瞬間、画面が切り替わりスコア表示されている。
翼がダントツのハイスコアだが・・・・・。
「おい、翼、このゲームもしかしてオンラインゲームなのか?」
「そうだよ。世界中のゲーマーと対戦していたよ。」
・・・・・・って、事ははインターネット回線はまだ生きている?・・・・・って、事だよな?
電気も水道も、今の所大丈夫だ。一体どうなっているんだ?
「ドンドンドンドン・・・・。」また、玄関ドアを誰かが叩いている。
その後は相変わらずの「&’&()())’)&’$%#&!!」何言ってるかサッパリ分からない。
中国語か韓国語で男がまくし立てている。
怖くて、玄関近くのリビングに行くにもままならない。
取り敢えず、息を潜めてひたすら時間が過ぎるのを待つしか無いのだが、
これ、夜になったら、どうなるんだ?
昼間の今よりヤバい状況にならないのだろうか?
そう思いながら、タバコに火を着けようとしたら真須美が
「あなた!こんな時に、ヤメて!!」小声だがきつい口調で俺を叱責した。
「あ?・・・あ、ああ、分かったよ。すまない。」
俺はタバコの箱ごと握りつぶし向こうに放り投げた。
確かに、今はタバコを吹かしている場合では無いのだ。
「父さん。」翼が、俺に話しかけた。
「ん?どうした?」
「僕、トイレ行きたくなったんだけど。」
「・・・・トイレかあ。」
トイレはリビングの隣に有る。ここより玄関ドアに近づく事になるが、背に腹は変えられないよな。
「分かった。父さんも一緒に行くよ。」
「真須美はここでじっとしておいてくれ。」
「分かったわよ。」
俺は、翼の背中に手をやり、促すように翼の部屋をゆっくり出た。
ドアも慎重にゆっくりと物音を極力立てずに開けた。
リビングに入ってみると、玄関ドアを叩く音がさっきより大きく聞こえる。
「ドンドンドンドン!!!」
「・・・たまらんなあ・・・。」
俺は翼の肩をしっかり抑えながら、トイレに促した。
「あ・・・・。」
「どうした?翼、早く入れ。」
「また、あの声が・・・・。」
「あの声?」
「うん。」
「あの玄関ドアの向こうに居る連中の声か?」
「・・・・違うと思う。」
俺は少し苛ついて「取り敢えず、声のことは後で。さあ!」
トイレの扉をゆっくりと開け、
「翼、入れ。」
「うん。」
翼をトイレに入れた後、ゆっくりと扉を閉めた。
「翼、大は流すなよ、大は。」と小声で俺は言った。
「分かったよ。」翼も小声で答えた。
しばらくして、申し訳無さそうな水の音が確認出来た。
「小で流したんだろうな。」
扉が開いた。
翼は携帯ゲーム機をやりながらトイレから出てきた。
「お前、こんな時でも、それやるのか?」
「・・・・・。」翼はイヤホンしているので、俺の声は聞こえなかったようだ。
「まあ、いいわ。早く部屋に戻ろう。」
「・・・・・。」翼は携帯ゲーム機の画面に釘付けだ。
俺は、翼の肩を掴んで、促した。
「ドンドンドンドン!!!!」また、扉を叩く音が響いてきた。
今回の音は今までで飛びきり大きな音だ。
「さ、翼行くぞ。」
「・・・・・・。」
「バァァァァーーーン!!!」鉄製の玄関扉が、物凄い勢いで、俺達の目の前を通り抜けていった。
「は?」
あれだけ、たくさんの家具を重石(おもし)にしてバリケードにしていたのに、
鉄製の玄関ドアはいともアッサリとぶち破られてしまったようだ。
扉が向こうでグルグル回って、しばらくして・・・・倒れた。
「あ、あなた!何!?」真須美が翼の部屋から顔を出した。
で、真須美は状況を察したようだ。思いっきり青ざめた顔に変わった。
俺も、いろんな意味で観念した。
翼はようやく携帯ゲーム機の画面から目を離した。
しかし、表情は変化なしだ。
俺は翼の腕を強く掴み、ダメ元で真須美のいる寝室へ走った。
その瞬間、翼の携帯ゲーム機が手からこぼれて、宙を舞った・・・・。
「あ・・・。」翼が思わず声を上げた。
「ガシャン!!」携帯ゲーム機の角が地面にぶつかって、転がっていった。
「翼!!それどころじゃないだろ!!」俺は翼を諭して、更に強く彼の腕を引っ張った。
そして、そのまま真須美のいる部屋へ素早く入り込んだ。
真須美はあ・うんの呼吸で、俺と翼が部屋に飛び込んだ次の瞬間に扉を閉めた。
「・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・。」
「%(&’&())(((((!!」
「)’(’&%&&%$$#%&$%&!!」
さっきまで外で聞こえていた韓国語?中国語?がすぐ近くで聞こえるようになってしまった。
周囲の散乱したモノを蹴散らしている音がガチャンガチャンと聞こえてきた。
「あ、ああああなた、私達どうなるの?」真須美が半泣きで俺に聞いてきた。
俺に分かるわけ無いのだが、目の前で子供のように怯えている真須美を見て、彼女をどうにかしなければと思い
「・・・・・。」俺は無言で真須美のボサボサ頭を抱きしめた。
翼は、あんまり状況が理解出来てないようだ。
ボーっと俺たちの様子を見ている。
部屋の奥にある学習机の椅子に座って、焦点が定まらない様子でどこかを見ていた。
「)%&%%$%%&$&’()()(&’%!!」
「’&&’$%$%#%&’())’(&’%!!」
俺は、さっきより近い所から声が聞こえてきたのが分かった。
「もう、ここも終わりだ。」
「終わるの!?」真須美が声を震わせながら、俺を見つめる。
その表情は、今まで見たこともない程、蛇に睨まれたカエルのように怯えていた。
「結局、これも、俺達の因果応報だ。」
「こ、ここここんな時に、ななななに言ってるの!?」
「今まで、やってきた事の報いだよ。」
「私達が何やったって言うのよ!?」真須美は俺の言葉に激昂した。
「シッ!!」
真須美は我に返ったような表情をした。
「(’(&’&’’%()&()!!」
「%$$”$#$%%&767&’&%!!」
どうやら俺達の存在に気づいたようだ。
俺は真須美を翼が座っている椅子の側に促し、自分はまた部屋の扉の前に戻った。
「・・・・そう言えば、寝室のクローゼットの中に、俺が学生時代の・・・・。」
「?どうしたの?あなた?」
「真須美、そこのクローゼットの中に有る紫色の布袋を出してくれないか?」
「??」真須美は訝しげな表情ながら、俺の指示に従って、クローゼットを開けた。
クローゼットの隅にその紫色の長尺物を入れる布袋が視界に入ってきた。
「・・・・・・やってみるかな?イチかバチか・・・・。」俺は真須美にアイコンタクトを送った。
真須美は無言で、紫色の布袋を俺に渡した。
「BMWのキーは・・・よし、ポケットに有るな。」
「バァァァァーーーン!!!」
その瞬間、遂に寝室のドアが蹴破られた。
「ああ~、私達もう、終わりよ!!!」真須美がクシャクシャの顔で涙を流していた・・・・・・。
今の日本に、日章旗を掲げている家庭が、今どれほど居るだろうか?
高層マンションの一角に、珍しく日章旗を掲げている玄関があるが・・・・。
その日章旗は、所々破れていて、赤いシミが点在している。
そんな日章旗が緩やかな風に靡いている。
「HAHAHAHAHAHAHAHA!!!!!」
下界には何処の国の者かは分からないが楽しそうに笑い声を雄叫び上げている。
どうやら、複数人で輪になってサッカーに興じているようだ。
「ボト!!ボト!!ボト!!ボト!!」
しかし、そのサッカーで使っているボールはやたら転がりが悪い。
「HAHAHAHAHAHAHAHA!!!!!!」
その転がりの悪さを承知した上で、その連中はサッカーを興じている。
そう、そのサッカーボールは・・・・・、「人の首」である。
首から下が切り落とされているのだ。
ソレを使って、この外国人達はサッカーに興じているのである。
人の首は女性のようだ。長い髪の毛が流血と絡まって、赤黒い手毬のような状態になっている。
その首の主・・・胴体は裸にされていて、手足を切り取られ、
陰部には金属製の棒のようなモノが突っ込まれていて、ゴミのように路上に放置されている。
その隣では・・・・・・。
ロープでぐるぐる巻にされビルの壁に固定された男性が、・・・・・・拳銃の的にされている。
パン!!!パン!!!!パン!!!!!撃っているのは、また別の外国人。
「ウガ!!ウグウ!!!ゲエエエエェェエ!!」
撃たれている男性は撃たれる度に悲鳴を上げる。・・・が死なない。
外国人たちは、その標的が即死しないように、腕や足を狙って撃っているのだ。
「HAHAHAHAHAHAHAHA!!!!!!」
外国人たちは、その苦しみ悶えている様を見て楽しんでいるようだ。
その隣では、もう一つの的が存在していた。
歳は30代の女性。ロープでぐるぐる巻にされ、口には猿轡(さるぐつわ)。涙を流しながら体が震えている。
その的に向かって、拳銃を構えていたのは、年端も行かない子供・・・少年だった。
「ホラ、シッカリトモッテクダサーーーイ。」
少年の傍らには大人の・・・・外国人男性が優しく少年に拳銃の持ち方をエスコートしている。
「い、嫌だ!!」少年は勇気を振り絞って言うが、「イイカライイカラ。」と外国人は意に介さない。
そして、少年が持っている拳銃のトリガーを指で押す。
パン!!!!!
チュイイイィィィィン!!!
その弾道は、的の女性を外して、ビルの壁に。
「オウ、ザンネンネエ。コンドハシッカリトネラッテクダサーーーーイ。」外国人は笑顔で少年に語りかける。
そして、再び少年が持っている拳銃のトリガーの指で押す。
パン!!!!!!
「ウグ!!!!!!」今度は的の女性の体に当たったようだ。
「お母さん!!!!!!!!!!」少年は大声で叫ぶ。
少年が標的にしていた女性は、自分の母親だった。
「ウウウウウゥゥゥ・・・。」
的の女性は、どうやら致命傷にはならなかったようだ。肩から血が滴り落ちた。
「オウ、オシイデスネエ?モウスコシチャントネラッテクダサーーーイ。」外国人は笑顔で言う。
そして、再度少年が持っている拳銃のトリガーを指で押す。
が、少年は力いっぱい抵抗するが、所詮は子供の力。
あっさりと、トリガーは押されてしまう。
パン!!!!!!!!!!!!!!
ブシュウ!!!!!!的の女性の胸付近に銃弾は当たった。
「!!!!!!!!」女性は悲鳴もあげられず、目からは涙が流れ・・・・・・そして、絶命した。
「うわあああぁぁぁぁぁぁぁl!!!!!!!!!!!!!!!」
「お母ーーーーーさーーーーーーーーん!!!!!!!!!!!!」
少年は断末魔のような大声を出した。
「OH、ジョウズニアタリマシタネ。サスガオトコノコデスネ。」外国人は笑顔で言う。
「ふう・・・ふう・・・ふう・・・。」少年は涙を流しながら怒りが最高潮になっているのを堪えているようだ。
「よ、よくも、僕のお母さんを!!」少年がそう言って持っていた拳銃を外国人に向けると。
外国人はヒョイと少年の体を拳銃を持っていた腕ごと持ち上げ、
自身のズボンのポケットにしまってあった拳銃で・・・。
パン!!!パン!!!パン!!!・・・・・・・・・。
少年の顔面に3発、撃ち込んだ。
少年の顔面は、至近距離から撃たれたせいか、グチャグチャになり、その後方には脳みそが周囲に飛び散っていた。
「オウ、カエリチガカオニカカッテシマイマシタ。キタナイデスネエ」
そう言って、外国人は持ち上げていた少年を放り投げてから顔を拭った。
「オイ、オマエ。」もう一人の外国人暴徒が聞いてくる。
「ナンデスカ?」
「メスヲムヤミニコロスハモッタイナイデス。タノシンデカラコロシテクダサイ。」
「オウ、ソレナラダイジョウブデス。ベツノストックナラ、アチラニタクサンアリマース!」
そう言って指差した先には・・・。
日本人女性が五人ほど、ぐるぐる巻にされて動けなくなっていた。
ぐるぐる巻きにされている女性たちは、ポツポツと所々出血しているのだが・・・。
なんと、有刺鉄線でぐるぐる巻きにされているのだ。
「オー、アナタサスガデスネ!ヌカリナシデス。」
「スキナダケタノシンデクダサーイ!マタアトデホカクシマスカラ、モンダイナイデスネ。」
「ワカリマシタ。アリガトウ。」もう一人の外国人暴徒はぐるぐる巻にされている女性たちに近づいていく。
路上は大量の流血。死体が点在していて、所々から煙が上がっている。
路上の大量の流血は・・・五人ほどの大人の男女が両腕を針金?のようなモノでひと括りにされて・・・。
バイクに引っ張られていた。
路面を延々と引きづられていた為に衣服は破け・・・皮膚も破れているのだ。そこからの流血なのだ。
当然の運転手は、どこかの外国人だ。
「HAHAHAHAHAHAHAHA!!!!!」その外国人も楽しそうにそのバイクを運転している。
下界は、今、そんな状態になっているのである。
俺は牧坂圭一郎・・・詳しい自己紹介は、また落ち着いた時にでもしたいと思う・・・・。
今、高層マンションの自宅の部屋の中で妻と息子と三人で息を潜めている・・・。
「#%$&%’((()’&&%&’!!!!!」
「’’&%&’()(&$%&&’!!」
部屋の外からは、韓国語だか中国語を話してる男の怒号の声がひっきりなしに響いていた。
ここは寝室。
2つのベッドを使って・・・一つは扉に。もう一つはベランダに通じる大窓に立て掛けている。
ベッドの木材の隙間から、微かに日差しが入り込んでくるが、基本この部屋は暗い。
俺は顎に手を当て、「無精髭が随分伸びてきたな・・・。」
もう、こんな状態が3日も続いていれば当然の結果か・・・・。
「あなた、いつまでこうしていたら良いの?」妻の真須美が話しかける。
「俺に聞いたって分かる訳無いだろ。」
妻の真須美と小声で話し合っていた。
真須美の髪の毛も中途半端にウェーブパーマが解けてボサボサだ。
息子の翼はイヤホンを耳にしながら、携帯ゲーム機を無言でやり続けていた。
ドンドンドンドン!!!!!!
玄関ドアが力強く叩かれている。
さっき、しっかり施錠して、家の家具でバリケードを作っておいて良かった・・・。
ここは比較的奥に位置する俺たち夫婦の寝室だ。
念の為、リビングのベランダにも家具をバリゲードを設置。
まあ、ベランダから侵入される事は無さそうだが、念には念を入れた。
「パンパンパン」甲高い火薬音が外から聞こえた。
どうやら、下界では拳銃で発砲しているようだ。
「ここは、日本じゃ無かったのか?」
「日本に決まってるでしょ?」真須美が呆れながら、小声で返事した。
「どうして、こうなった?」思わずネットスラングが出てしまう。
「あたしが知る訳無いでしょ?」真須美は少し苛ついてきているようだ。
「ウ~~~。」下界からサイレンが聞こえてきた。もう、このサイレン音も何度聞いたことか・・・。
消防車かパトカーか?
兎に角、この状況を早くなんとかしてくれよ。
「ダダダダダダダダダダッ!!」今度は下界からマシンガンのような音まで聞こえてきた。
一体、下界はどういう状態なんだ?
気にはなってはいるが、ベランダから覗き込む勇気は無い。
ただ、外からの異臭が凄いのが何かを物語っている。
もう、この異臭も数日間続いているので慣れてしまった自分が怖い。
「あーーーー・・・・。私のお店はどうなったのかしら?」真須美が目をうつろにしながら言う。
「ああ、あの自由が丘にオープンさせた雑貨屋か?」
「そうよ・・・・・。」
「今はそれどころでは無くなったしなあ・・・・。」
「・・・・・・そうよね。何を今更って話よね・・・・。」
俺は、真須美にそれ以上かけてやる言葉が見つからない。
息子の翼は、われ関せずな感じで携帯ゲーム機で遊び続けている。
やれやれ・・・・、息子は、ある意味大物かもしれないな・・・・・。
「おい、翼、どんなゲームやっているんだ?」俺は画面を覗き込む。
それは、一人の兵隊が戦場で銃を使って敵の兵隊を撃ち殺していく主観視点のゲームだった。
翼は、無駄のない動きで百発百中で敵の兵隊を撃ち殺していく。
「ほう、翼は上手いな。」
「別に・・・。もうずっと、この手のゲームやり続けているから・・・・。」
相変わらず、無感情な奴だな・・・・。
次の瞬間、画面が切り替わりスコア表示されている。
翼がダントツのハイスコアだが・・・・・。
「おい、翼、このゲームもしかしてオンラインゲームなのか?」
「そうだよ。世界中のゲーマーと対戦していたよ。」
・・・・・・って、事ははインターネット回線はまだ生きている?・・・・・って、事だよな?
電気も水道も、今の所大丈夫だ。一体どうなっているんだ?
「ドンドンドンドン・・・・。」また、玄関ドアを誰かが叩いている。
その後は相変わらずの「&’&()())’)&’$%#&!!」何言ってるかサッパリ分からない。
中国語か韓国語で男がまくし立てている。
怖くて、玄関近くのリビングに行くにもままならない。
取り敢えず、息を潜めてひたすら時間が過ぎるのを待つしか無いのだが、
これ、夜になったら、どうなるんだ?
昼間の今よりヤバい状況にならないのだろうか?
そう思いながら、タバコに火を着けようとしたら真須美が
「あなた!こんな時に、ヤメて!!」小声だがきつい口調で俺を叱責した。
「あ?・・・あ、ああ、分かったよ。すまない。」
俺はタバコの箱ごと握りつぶし向こうに放り投げた。
確かに、今はタバコを吹かしている場合では無いのだ。
「父さん。」翼が、俺に話しかけた。
「ん?どうした?」
「僕、トイレ行きたくなったんだけど。」
「・・・・トイレかあ。」
トイレはリビングの隣に有る。ここより玄関ドアに近づく事になるが、背に腹は変えられないよな。
「分かった。父さんも一緒に行くよ。」
「真須美はここでじっとしておいてくれ。」
「分かったわよ。」
俺は、翼の背中に手をやり、促すように翼の部屋をゆっくり出た。
ドアも慎重にゆっくりと物音を極力立てずに開けた。
リビングに入ってみると、玄関ドアを叩く音がさっきより大きく聞こえる。
「ドンドンドンドン!!!」
「・・・たまらんなあ・・・。」
俺は翼の肩をしっかり抑えながら、トイレに促した。
「あ・・・・。」
「どうした?翼、早く入れ。」
「また、あの声が・・・・。」
「あの声?」
「うん。」
「あの玄関ドアの向こうに居る連中の声か?」
「・・・・違うと思う。」
俺は少し苛ついて「取り敢えず、声のことは後で。さあ!」
トイレの扉をゆっくりと開け、
「翼、入れ。」
「うん。」
翼をトイレに入れた後、ゆっくりと扉を閉めた。
「翼、大は流すなよ、大は。」と小声で俺は言った。
「分かったよ。」翼も小声で答えた。
しばらくして、申し訳無さそうな水の音が確認出来た。
「小で流したんだろうな。」
扉が開いた。
翼は携帯ゲーム機をやりながらトイレから出てきた。
「お前、こんな時でも、それやるのか?」
「・・・・・。」翼はイヤホンしているので、俺の声は聞こえなかったようだ。
「まあ、いいわ。早く部屋に戻ろう。」
「・・・・・。」翼は携帯ゲーム機の画面に釘付けだ。
俺は、翼の肩を掴んで、促した。
「ドンドンドンドン!!!!」また、扉を叩く音が響いてきた。
今回の音は今までで飛びきり大きな音だ。
「さ、翼行くぞ。」
「・・・・・・。」
「バァァァァーーーン!!!」鉄製の玄関扉が、物凄い勢いで、俺達の目の前を通り抜けていった。
「は?」
あれだけ、たくさんの家具を重石(おもし)にしてバリケードにしていたのに、
鉄製の玄関ドアはいともアッサリとぶち破られてしまったようだ。
扉が向こうでグルグル回って、しばらくして・・・・倒れた。
「あ、あなた!何!?」真須美が翼の部屋から顔を出した。
で、真須美は状況を察したようだ。思いっきり青ざめた顔に変わった。
俺も、いろんな意味で観念した。
翼はようやく携帯ゲーム機の画面から目を離した。
しかし、表情は変化なしだ。
俺は翼の腕を強く掴み、ダメ元で真須美のいる寝室へ走った。
その瞬間、翼の携帯ゲーム機が手からこぼれて、宙を舞った・・・・。
「あ・・・。」翼が思わず声を上げた。
「ガシャン!!」携帯ゲーム機の角が地面にぶつかって、転がっていった。
「翼!!それどころじゃないだろ!!」俺は翼を諭して、更に強く彼の腕を引っ張った。
そして、そのまま真須美のいる部屋へ素早く入り込んだ。
真須美はあ・うんの呼吸で、俺と翼が部屋に飛び込んだ次の瞬間に扉を閉めた。
「・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・。」
「%(&’&())(((((!!」
「)’(’&%&&%$$#%&$%&!!」
さっきまで外で聞こえていた韓国語?中国語?がすぐ近くで聞こえるようになってしまった。
周囲の散乱したモノを蹴散らしている音がガチャンガチャンと聞こえてきた。
「あ、ああああなた、私達どうなるの?」真須美が半泣きで俺に聞いてきた。
俺に分かるわけ無いのだが、目の前で子供のように怯えている真須美を見て、彼女をどうにかしなければと思い
「・・・・・。」俺は無言で真須美のボサボサ頭を抱きしめた。
翼は、あんまり状況が理解出来てないようだ。
ボーっと俺たちの様子を見ている。
部屋の奥にある学習机の椅子に座って、焦点が定まらない様子でどこかを見ていた。
「)%&%%$%%&$&’()()(&’%!!」
「’&&’$%$%#%&’())’(&’%!!」
俺は、さっきより近い所から声が聞こえてきたのが分かった。
「もう、ここも終わりだ。」
「終わるの!?」真須美が声を震わせながら、俺を見つめる。
その表情は、今まで見たこともない程、蛇に睨まれたカエルのように怯えていた。
「結局、これも、俺達の因果応報だ。」
「こ、ここここんな時に、ななななに言ってるの!?」
「今まで、やってきた事の報いだよ。」
「私達が何やったって言うのよ!?」真須美は俺の言葉に激昂した。
「シッ!!」
真須美は我に返ったような表情をした。
「(’(&’&’’%()&()!!」
「%$$”$#$%%&767&’&%!!」
どうやら俺達の存在に気づいたようだ。
俺は真須美を翼が座っている椅子の側に促し、自分はまた部屋の扉の前に戻った。
「・・・・そう言えば、寝室のクローゼットの中に、俺が学生時代の・・・・。」
「?どうしたの?あなた?」
「真須美、そこのクローゼットの中に有る紫色の布袋を出してくれないか?」
「??」真須美は訝しげな表情ながら、俺の指示に従って、クローゼットを開けた。
クローゼットの隅にその紫色の長尺物を入れる布袋が視界に入ってきた。
「・・・・・・やってみるかな?イチかバチか・・・・。」俺は真須美にアイコンタクトを送った。
真須美は無言で、紫色の布袋を俺に渡した。
「BMWのキーは・・・よし、ポケットに有るな。」
「バァァァァーーーン!!!」
その瞬間、遂に寝室のドアが蹴破られた。
「ああ~、私達もう、終わりよ!!!」真須美がクシャクシャの顔で涙を流していた・・・・・・。
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