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高校生活

登校

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数日学校を休んだあと、俺は登校した。

「久しぶりやけど体調大丈夫なん」
たまたま同じ電車に乗り合わせた零が聞いてきた。
「体調は別に悪くないから大丈夫」

そうかとだけ言って1人で学校へ向かっていった。
俺らは4人で学校へ向かった。

学校は嫌いではなかったが、1ヶ月ほど行っていないと流石に気まずかった。
健と一緒に入ると、クラスメイトがびっくりした顔でこっちを見ていた。

「もう体調大丈夫?」
そう聞かれた。

「もう大丈夫」
事情を知っているのかと思うと、気まずいし辛かったけれど何も思わないようにした。

担任も特には何も言わず、俺が来ているのを見てにこっと笑って終わった。

零の席に行くと相変わらず英単語帳を開いていた。
「おおちゃんと教室入れたんか」

今まで学校では小声でしか喋らない零が普通に喋っていた。
俺はそのことに驚いた。

「西塔ずっと待ってたってさ」
クラスメイトが零の肩を組んで言った。

そのことにも驚いて え?としか言えなかった。

零を特に虐めていたメンバーはほとんど文系に進んだらしく、また今回の件で俺と零が被害者だと知ったからなのか零に話しかける人が増えたと言う。

「零、改めてよろしく」
俺は色々な感情を整理できないままそう言った。

ただ俺が困ったのは昼休憩の時だった。
学校では、クラスで机を近付けて食べるというのが主流だった。

しかし、あれ以来人に関することが苦手になって、更に1番苦手なのが食べることに関することだった俺には苦痛だった。

「奏の机で食べる?」

もし誰かの食べているものが俺の机に落ちたら気持ち悪い。
俺の机で人が食べるのは気持ち悪い。
鳥肌が立つくらいに嫌だった。

頷くことが出来ず、自分の机に教科書を開き嘘をついた。

「不登校だった分追いつくために勉強するわ」
そう笑いながら言った。

「勉強するほど真面目だっけ」
からかいながら机を俺の机にくっつけ、そこに弁当を広げてきた。
健もその中に混じり、一緒に食べることになった。

見なければ大丈夫。触らなければ大丈夫。
そう言い聞かせた。

弁当をカバンから出しながら、零はどうするんだろうと後ろを振り返ると、1人で食べようとしていた。

「西塔が気になんのか」

健がそう言った声に零が反応してこっちを見た。

「あ、俺ええよ 1人で食いたいし」

そう言った。

俺も本当はそう言いたいと思った。
でも、こんな大人数の中言いにくかった。
そもそも前までの俺は10人くらいで弁当を食べていた。

急にそんなこと言うのは、俺のキャラじゃない。
そう思った。

俺は極力周りを見ずに食べた。

健が食べ終わった後に 具合でも悪いのかと聞いてきたが、首を振った。

泊まり行事でも、そんな機会何回もあるんだから慣れないと。
ご飯を人と食べれないなんて、これから先に支障が出る。
その考えで俺はなんとか毎日の昼休憩を耐えた。

その泊まり行事の1週間前になり、色々な決め事をする日になった。
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