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第二章:川石男・『陸・海・空』三制覇?編
『陸』④、後日談
しおりを挟む前回お話したロックマンVSヤマカガシの激闘から、ロックマンのマムシへの情熱は薄れていました。その理由を尋ねると、ロックマンはしょんぼりしながら答えました。
「俺さ、あの戦いの前も後も、何度も蛇と遭遇したんだけど、マジックハンドで掴めたのはあの時だけなんだよ。マジックハンドって本当にいい武器なのかな?」
検索してみると、蛇捕獲専用のマジックハンドが見つかったのですが、ロックマンが装備しているのはそんな専門道具じゃなく、100均のオモチャマジックハンド。これで動く蛇を捕まえるのは極めて難しいでしょう。
しかしそれでも、ロックマンが当初に用意していた武器(木の枝)に比べれば、はるかにマシなのもゆるぎない事実。
私はそれよりも、ロックマンがあの死闘後も二丁マジックハンドを持って、草むらをうろついていた事実に愕然としました。
さらに、しゅるっとINしない事が実証された○カリスエットもこりずに持ち歩いていたそうです。もし掴めていたら、どうするつもりだったのでしょうか?
そんな心の疑問に答えることもなく、ロックマンは言葉を続けます、
「あの時は蛇のシッポを踏んでたから掴めたけど、あのやり方じゃダメだ」
次にロックマンが発した言葉に、私は耳を疑いました。
「マムシはシッポを踏むと、全身の骨が砕けて商品価値がなくなるからな。なんとか踏まずに動きを止めないと」
…………はい?
その偽情報、どこから仕入れてきたのでしょう?
シッポを踏んだだけで全身の骨が砕け散る生物が、どこに存在するのか?
おそらく、いつもの思い込みでしょう。
この思い込みのために、マムシ捕獲に困難を感じ、意欲が激減していたのです。
翌年、そんな失意のロックマンに追い討ちをかける事件が発生しました。
ロックマンの心のより所だったマムシの売り先『マムシ屋』が火事で全焼してしまったのです。
もともと経営が火の車だったらしく、経営を再会する気はないようです。
なんでも、近年『マムシに滋養強壮の効果が無い』と科学的に立証されたらしく(聞いた話なんで、本当か嘘かは保障できません)その影響もあってか経営が悪化し、マムシの買い取り価格は500円程度にまで激減していたとの事。
ロックマンの思い描いていた『マムシで一攫千金』は、最初から絵空事だったのです。
マムシ屋の火事からしばらく後、ロックマンは私に言ってきました。
「知ってるか? マムシって実は5000円だったらしいぞ」
はい。私、最初から5000円って話しかしていませんから。
5万円なんて言っていたのは、あなただけですから。
マムシの価格が500円だった事は伏せておきました。
だって……命を張って、二丁マジックハンドまで購入したのに、500円って……。
こうして、ロックマンの『陸』制覇の野望は終わりました。
結局ロックマンは、陸・海・空、全ての野望を叶えられませんでした。
しかし、ロックマンの戦いは、まだまだ続くのです。
川石男・『陸・海・空』三制覇?編はこれで終わり。次回から、ロックマンの車に関するお話です。
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