川石男(ロックマン)伝説

赤沼

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第二章:川石男・『陸・海・空』三制覇?編

『陸』②、ロックマンの新兵器

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 ロックマンがスネークハンターになって数日。蛇を見つけるたびに武器(笑)を振りかざして特攻するものの、収獲はいまだにゼロでした。成果は上がらずとも何度も仕事を抜け出すので、いい迷惑です。

 そこで、みんなで相談して、ロックマンをからかってやろうと計画してみました。


仕掛けは簡単。
①まずはおもちゃの蛇を用意します。(私は胴体がぐねぐねしているコブラを用意しました)
②おもちゃの蛇に糸を結びつけます。(見えにくい釣り糸がベスト)
③ロックマンの目の前で、糸を引いて蛇を動かします。

以上!


 ロックマンの目の前を通過していく蛇!(おもちゃ)
 生きているわけではないので、ぐねぐねの胴体そのままに水平移動!
 草むらから草むらへ一直線!

 それを見たロックマンは――――

 「うおおおぉぉぉぉーー! 動いてる動いてる! こりゃ大物だ!!」



 …………なぜ気がつかない?
 
 蛇ってぐねぐね動きながら移動するでしょ?
 これはんだよ?
 胴体がぴくりとも動かないのをおかしいと思わないの??


 そんな私の心の声をあざ笑うかのように、ロックマンは車に走りました。

 「5万! 5万!」

 と叫びながら。


 ……5万?


 やがて、草むらからおもちゃの蛇を発見したロックマンは、怒ってつめよってきました。

 「なんだよこのおもちゃ。せっかく5万だと思ったのに……」
 「さっきから気になってたんだけど……5万ってなに?」

 ロックマンは、きょとんとしたあと、得意げにどや顔で言いました。

 「え? の知らないの? これくらいのいいサイズだと5万くらいするんだぞ!」

 知らないよ。なにその謎の情報?

 私の知らない売り先情報を手に入れた……わけではないでしょう。
 ロックマンが【どや顔ロックマン】になる時は、間違いなく、何かを勘違いしているか、思い込んでいる証拠です。

『マムシは普通は5000円だけど、大きいサイズなら5万円になる』←これが今回のロックマンの思い込みです。

 意味がわかりません。なんでいきなり10倍のインフレ価格に跳ね上がるのか。
 どんな計算をすればそんな数式が成り立つのか、誰か私に教えてください。





 ――――それからも、ロックマンは蛇を追い続けました。

 休みの日にも、田んぼのあぜ道を、武器を構えてうろうろしていたそうです。そして、近所のじいちゃんばあちゃんに見つかり逃げ帰った、と証言していました。

 しかし、ロックマンがそれほどの努力をしても、いまだに一匹の蛇も獲れませんでした。


 ……そりゃ木の枝とポカリでは無理でしょう。


 この時点で、ロックマンの脳内では、のです。


 流れを書き出すと

 マムシ一匹5000円 → 大きいサイズのマムシは5万円 → マムシ一匹5万円


 なんでこうなったのか……。

 ロックマンは、本気で5万だと思い込んでいるのです。こうなったら誰の言う事も聞きません。
 口を開けば、出るのは蛇の話題ばかり。それも捕まえられない事への愚痴のみです。

 「何匹も見つけるんだけど、まだ一匹も捕まらない。せっかく5万が目の前にいるのに……」

 もはや、ロックマンの目には、蛇がお札にしか見えていないのでしょう。バイトのみんなも、そんなロックマンにうんざりしていました。

 バイトに来ていた友人Bも、うんざりしていたひとりでした。
ロックマンの言動に心底げんなりし、少しこらしめてやろうと計画を立てたのです。

 「ロックマン、そんな武器じゃダメに決まってるだろ。俺が売ってやるよ」

 そう言ってBは、新たな武器をロックマンに売ったのです。


 マジックハンドいいものを。

 マジックハンド分かります?
 グリップについているスイッチを握ると、ロボットアームみたいな先端が、ガシャンガシャンと閉じたり開いたりするアレです。

 「このマジックハンド、1000円で売ってやるよ」
 「……これ、100均のじゃない?」
 「バカ。雑貨屋で買った、いいマジックハンドだよ」

 私は知っています。そのマジックハンド、Bが100均で買っていた事を。でも、私も心底うんざりしていたので、何も言うつもりはありません。

 「マムシ一匹5万円なんだろ? 1000円の投資で5万円になるならいいじゃないか」

 その言葉でロックマンはマジックハンドを購入する事を決意しました。
 例え100円のマジックハンドでも、ロックマンが1000円の価値を感じて買ったんだから、いいんじゃないでしょうか。
 しかし、当然ロックマンは1000円なんて大金は持っていないので、Bへの借金という形での購入です。

 実は私、兄も一緒に仕事をしています。Bとロックマンのやりとりを静観していた兄でしたが、そんな兄がおもむろに口を開いたのです。

 「ロックマン、1本だけじゃバランス悪いだろ? 俺も同じの持ってるから売ってやるよ。1本じゃ逃がすかもしれないけど、2本で挟めば捕まえられるんじゃないか?」

 こうして、ロックマンは新兵器を手に入れました。
 の使い手となったロックマン。

 ロックマンの活躍は、次回をご期待ください。

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