父子旅

プロローグ

～冒険の始まり～

「お～い、そろそろ森を出て町にいくぞ～」

俺は、上の方に向かって呼びかける声を出す。

「はあい、ととさん」

ひらりとした身のこなしで降りてきたのは、黒髪に赤い目をした子供。

かわいらしく無邪気な笑顔を浮かべている。


それだけ見れば、たいていの女性は「かわいい～！」とメロメロになるだろう。

しかし、俺は知っている。


目線をずらし、子供が飛び降りてきたものを見つめる。


今まで薬草採取をしていたので遠目からはわからなかったが、ついさっきまでこの子が足をプラプラ揺らしながら座っていたのは、大量の魔物の死骸だ。

なんてものの上に座って待っているんだと突っ込みたいところだが、この子にとってこれは普通なのだ。

なぜなら・・・。


「ねえ見て、ととさん。これ、僕がやっつけたんだ」

すごいでしょ！と瞳を輝かせながら、俺に自慢してきた。

「・・・はあ。これを今から解体するのか」

あまりの数にげっそりとしながらも、頭をなでながら「ああ、そうだな。すごいな」と答える。

ただそれだけで、にっこりとうれしそうな表情をする子供。


「・・・」
 

急ぎの仕事もないのでまあいいかと笑みを浮かべ、自分と全く似ていない子供を見つめる。




・・・なんでこんなことになったんだっけ？