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第三部 ━━第八章━━
━━ 二節 ━━
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100年近くの歳月が経った。
ここは、金之大陸。
私は、社交界に顔を出すようになり、貴族や政治家と関わりを持つようになった。
きっかけは、国王に初めて謁見した際、宝石の傷を消して見せたのが始まり。
大勢の前で見せた“錬金術”は、好奇の的となり、一躍有名となった。
時々、気分転換で錬金術の本を読んでいた甲斐があり、私にとっては、造作もないことだった。
特にこの国の王妃は、ほぼ毎日城でパーティーを主催されるので、よく招待してくれるのだ。
奇抜な髪型に、派手な服装、何人もの男をたぶらかしては、国の金を湯水のごとく消費している。
見ていて滑稽で、魔力を読み取らなくても、脳が幼稚だとわかる。
陽気な貴族達が酔い潰れる空間に、何故、私が我慢して愛想笑いをしているのか?
それは、情報収集兼、親しい関係を築くためだ。
貴族達の最近の出来事や、隠していることを魔力を通して頭に伝わってくる。
賄賂、密輸、強姦、人身売買━━。
笑顔の裏での悪行ぶりに、以前の私なら反吐が出ていただろう。
だが、今となっては、これが人間の本性なのだと、当たり前のように思えてきた。
身分の違いを利用し、私利私欲のため、快楽を求める。
権力や金を持つと、神にでもなったつもりになり、平気で人を見下す。
長年観察して得た結論は、人間は、憧れを抱き過ぎるがゆえに強欲になり、弱き者を傷付けてまで特別になりたがる生き物なのだということ。
中には、魔術に興味があり、密かに魔導書を収集している者もいるようだ。
しかし、魔導書の内容を理解出来ないため、そういう者に近付いては、弱みにつけこんで交渉する。
この大陸に来て100年近く経ったとはいえ、いまだに魔女狩りの文化が根強く、堂々と魔術を行うことが出来ない。
何人もの貴族に貸しを作り、後ろ盾を手に入れることで、こうして研究を続けていられるのだ。
世間では、詠唱を唱えることが魔術だと勘違いしている者が多く、錬金術との違いもわからない連中がほとんど。
なので、表向きで私は錬金術を研究しているということになっている。
その方が何かと都合が良い。
そのとき、自身の魔力から幾つか違和感を感じ取った。
このパーティーには、200人余りが招待されているようだが、その中に、良からぬことを企む者が紛れ込んでいるようだ。
数は4人、離れた場所から私を監視している。
どうやら、私のことを気に入らない連中が、命を狙いに来た様子。
恐らく、私が陰で魔導書を集め、魔術の研究をしていると感付いたのだろう。
潮時か…。
私は、近くのお嬢さんと談笑しながら、悟られぬよう脱出ルートを魔力で探す。
人気のない出口までの道のりを見つけ、その4人に魔力を伸ばし、急に喉が渇いてしまうという思念を送った。
すると、4人は息を荒くし、喉を押さえては、近くの酒を浴びるほど飲み始めた。
テーブルのグラスを全て飲み干しても満足せず、仕舞いには、他の者が持つ酒を奪ってまで欲望を満たそうとする。
次第に大騒ぎになり、この状況を利用して外に出ることができた。
外には、馬車が停まっており、早足で乗り込んで、城から離れることに成功した。
━━町中にある自分の屋敷に着くと、馬車から降りて中に入る。
ランプに火をつけ、薄暗い中、急いで書斎へと向かう。
書斎は、壁が全て本棚となっており、厚く古びた魔導書がぎっしり収まっていた。
机の上や周りにも積み重なって置いてあり、床一面には、書類が散らばっている。
何年もかけて買い取った魔導書を読んだ結果、老師の憶測は当たっていた。
世界中からかき集めた魔導書のほとんどがいい加減だったのだ。
儀式に必要とされる無駄な生け贄や材料、意味不明な詠唱の数々、中にはまったく根拠の無い内容が書かれていたので、非常に馬鹿げていて呆れてしまう。
そして、案の定、この魔導書の作者は皆、魔術に必要な魔力の質、量、加減も理解しておらず、魔力自体どういうものなのかも理解などしていなかったのだ。
つまり、魔導師と名乗る者達は、魔力が見えていない、見たことがないのだ。
特別になりたいがあまり、詐欺師が生まれていると考えると、哀れで滑稽に感じる。
しかし、役に立ちそうな魔術が幾つかあったので、私なりにアレンジすることで、より効率よく、強力なものへと進化した。
そうやって自分の技を増やしていき、以前、魔力弾しか出来なかったときと比べて、遥かに成長することができた。
だが、そんな楽しかった生活も今夜でお別れ。
必要な資料と着替えをトランクに詰め込んで、ポケットから懐中時計を取り出す。
━━22時10分。
屋敷を飛び出し、馬車に乗り込む。
今から馬車を走らせれば、日の出までには港に着くだろう。
いずれこの時が訪れることは予想していたので、いつでも逃げられるよう準備はしていた。
正直、この国で集めた魔導書は、失望の域だった。
タメになるものがあまりにも少なく、ゴミの分別をしているかのようで、不満を覚えていたのだ。
それでも、金と情報を利用していれば、私の元に簡単に魔導書が届く。
私が出向かなくても済むこの仕組みは、非常に役に立っていた。
しかし、世の中は魔女狩り時代。
特に、この金之大陸には━━ッ!?
そのとき、馬車が急に止まり、何事かと窓から顔を出すと、4頭の馬の前にフードを被った者が立ち塞がっていた。
現れたか…。
見る限り、相手は一人。
フードで顔は見えないが、右手を額から胸、左肩から右肩へと十字を切る。
そして、左手には、異様な光を放つ金属があった。
その金属は、手に収まる大きさで細長く、先端が鋭利になっており、紅に輝いている。
やがて、形が片手斧となり、刃が発熱していた。
…そう、この大陸には、魔女狩り専門の組織が存在する。
表舞台には立たないため、組織の実態は謎に包まれているのだが、メンバーは皆、錬金術師で構成されているらしい。
特殊な金属を使って武器を錬成し、魔導師や魔術に関わった者を罪とみなす処刑集団。
噂では、魔術を無効化させる術を持っているとか━━。
錬金術師は飛び上がり、馬の上を駆ける。
私が首を引っ込めると、騎手が悲鳴をあげる前に両目に一閃、頭の中身があらわとなる。
馬車も屋根から叩き割られてしまい、馬が悲鳴をあげる。
中を確認すると、もぬけの殻。
錬金術師は動揺し、よく見ると椅子の下に穴が開いていた。
背後で物音が聞こえ、振り返ると、馬の傍にいる私が目に入った。
既に一頭の馬だけを解放し、私は、地面に手をつけて錬金術を行う。
すると、馬車を囲むほどの大きな穴が出現し、錬金術師は、とっさに反応することができず、体勢を崩して繋がれた残りの馬と共に、下へ下へと深く落ちていった。
次に、土を崩して穴を縮めていくと、錬金術師の断末魔が聞こえてきたが、気にせず穴を塞いだ。
何とか上手くいった。
情報が少ない上に、得体の知れない相手とまともにやり合うのは、リスクが伴う。
恐らく、奴は城にいた奴等の仲間だろう。
作戦失敗し、先回りしたということか。
しかし、あの錬金術師も油断していたようだ。
魔導師が錬金術を使うとは思ってもみなかったのだろう。
私は安堵し、馬にまたがって先を急いだ。
ふと、正当防衛で生き埋めにした際、トランクを車内に置き去りにしてしまったことを思い出す。
…初心に戻ったと思うことにしよう。
旅は、波乱の始まりとなったが、行き先は決まっている。
それは、魔導師の地、木之大陸だ。
ここは、金之大陸。
私は、社交界に顔を出すようになり、貴族や政治家と関わりを持つようになった。
きっかけは、国王に初めて謁見した際、宝石の傷を消して見せたのが始まり。
大勢の前で見せた“錬金術”は、好奇の的となり、一躍有名となった。
時々、気分転換で錬金術の本を読んでいた甲斐があり、私にとっては、造作もないことだった。
特にこの国の王妃は、ほぼ毎日城でパーティーを主催されるので、よく招待してくれるのだ。
奇抜な髪型に、派手な服装、何人もの男をたぶらかしては、国の金を湯水のごとく消費している。
見ていて滑稽で、魔力を読み取らなくても、脳が幼稚だとわかる。
陽気な貴族達が酔い潰れる空間に、何故、私が我慢して愛想笑いをしているのか?
それは、情報収集兼、親しい関係を築くためだ。
貴族達の最近の出来事や、隠していることを魔力を通して頭に伝わってくる。
賄賂、密輸、強姦、人身売買━━。
笑顔の裏での悪行ぶりに、以前の私なら反吐が出ていただろう。
だが、今となっては、これが人間の本性なのだと、当たり前のように思えてきた。
身分の違いを利用し、私利私欲のため、快楽を求める。
権力や金を持つと、神にでもなったつもりになり、平気で人を見下す。
長年観察して得た結論は、人間は、憧れを抱き過ぎるがゆえに強欲になり、弱き者を傷付けてまで特別になりたがる生き物なのだということ。
中には、魔術に興味があり、密かに魔導書を収集している者もいるようだ。
しかし、魔導書の内容を理解出来ないため、そういう者に近付いては、弱みにつけこんで交渉する。
この大陸に来て100年近く経ったとはいえ、いまだに魔女狩りの文化が根強く、堂々と魔術を行うことが出来ない。
何人もの貴族に貸しを作り、後ろ盾を手に入れることで、こうして研究を続けていられるのだ。
世間では、詠唱を唱えることが魔術だと勘違いしている者が多く、錬金術との違いもわからない連中がほとんど。
なので、表向きで私は錬金術を研究しているということになっている。
その方が何かと都合が良い。
そのとき、自身の魔力から幾つか違和感を感じ取った。
このパーティーには、200人余りが招待されているようだが、その中に、良からぬことを企む者が紛れ込んでいるようだ。
数は4人、離れた場所から私を監視している。
どうやら、私のことを気に入らない連中が、命を狙いに来た様子。
恐らく、私が陰で魔導書を集め、魔術の研究をしていると感付いたのだろう。
潮時か…。
私は、近くのお嬢さんと談笑しながら、悟られぬよう脱出ルートを魔力で探す。
人気のない出口までの道のりを見つけ、その4人に魔力を伸ばし、急に喉が渇いてしまうという思念を送った。
すると、4人は息を荒くし、喉を押さえては、近くの酒を浴びるほど飲み始めた。
テーブルのグラスを全て飲み干しても満足せず、仕舞いには、他の者が持つ酒を奪ってまで欲望を満たそうとする。
次第に大騒ぎになり、この状況を利用して外に出ることができた。
外には、馬車が停まっており、早足で乗り込んで、城から離れることに成功した。
━━町中にある自分の屋敷に着くと、馬車から降りて中に入る。
ランプに火をつけ、薄暗い中、急いで書斎へと向かう。
書斎は、壁が全て本棚となっており、厚く古びた魔導書がぎっしり収まっていた。
机の上や周りにも積み重なって置いてあり、床一面には、書類が散らばっている。
何年もかけて買い取った魔導書を読んだ結果、老師の憶測は当たっていた。
世界中からかき集めた魔導書のほとんどがいい加減だったのだ。
儀式に必要とされる無駄な生け贄や材料、意味不明な詠唱の数々、中にはまったく根拠の無い内容が書かれていたので、非常に馬鹿げていて呆れてしまう。
そして、案の定、この魔導書の作者は皆、魔術に必要な魔力の質、量、加減も理解しておらず、魔力自体どういうものなのかも理解などしていなかったのだ。
つまり、魔導師と名乗る者達は、魔力が見えていない、見たことがないのだ。
特別になりたいがあまり、詐欺師が生まれていると考えると、哀れで滑稽に感じる。
しかし、役に立ちそうな魔術が幾つかあったので、私なりにアレンジすることで、より効率よく、強力なものへと進化した。
そうやって自分の技を増やしていき、以前、魔力弾しか出来なかったときと比べて、遥かに成長することができた。
だが、そんな楽しかった生活も今夜でお別れ。
必要な資料と着替えをトランクに詰め込んで、ポケットから懐中時計を取り出す。
━━22時10分。
屋敷を飛び出し、馬車に乗り込む。
今から馬車を走らせれば、日の出までには港に着くだろう。
いずれこの時が訪れることは予想していたので、いつでも逃げられるよう準備はしていた。
正直、この国で集めた魔導書は、失望の域だった。
タメになるものがあまりにも少なく、ゴミの分別をしているかのようで、不満を覚えていたのだ。
それでも、金と情報を利用していれば、私の元に簡単に魔導書が届く。
私が出向かなくても済むこの仕組みは、非常に役に立っていた。
しかし、世の中は魔女狩り時代。
特に、この金之大陸には━━ッ!?
そのとき、馬車が急に止まり、何事かと窓から顔を出すと、4頭の馬の前にフードを被った者が立ち塞がっていた。
現れたか…。
見る限り、相手は一人。
フードで顔は見えないが、右手を額から胸、左肩から右肩へと十字を切る。
そして、左手には、異様な光を放つ金属があった。
その金属は、手に収まる大きさで細長く、先端が鋭利になっており、紅に輝いている。
やがて、形が片手斧となり、刃が発熱していた。
…そう、この大陸には、魔女狩り専門の組織が存在する。
表舞台には立たないため、組織の実態は謎に包まれているのだが、メンバーは皆、錬金術師で構成されているらしい。
特殊な金属を使って武器を錬成し、魔導師や魔術に関わった者を罪とみなす処刑集団。
噂では、魔術を無効化させる術を持っているとか━━。
錬金術師は飛び上がり、馬の上を駆ける。
私が首を引っ込めると、騎手が悲鳴をあげる前に両目に一閃、頭の中身があらわとなる。
馬車も屋根から叩き割られてしまい、馬が悲鳴をあげる。
中を確認すると、もぬけの殻。
錬金術師は動揺し、よく見ると椅子の下に穴が開いていた。
背後で物音が聞こえ、振り返ると、馬の傍にいる私が目に入った。
既に一頭の馬だけを解放し、私は、地面に手をつけて錬金術を行う。
すると、馬車を囲むほどの大きな穴が出現し、錬金術師は、とっさに反応することができず、体勢を崩して繋がれた残りの馬と共に、下へ下へと深く落ちていった。
次に、土を崩して穴を縮めていくと、錬金術師の断末魔が聞こえてきたが、気にせず穴を塞いだ。
何とか上手くいった。
情報が少ない上に、得体の知れない相手とまともにやり合うのは、リスクが伴う。
恐らく、奴は城にいた奴等の仲間だろう。
作戦失敗し、先回りしたということか。
しかし、あの錬金術師も油断していたようだ。
魔導師が錬金術を使うとは思ってもみなかったのだろう。
私は安堵し、馬にまたがって先を急いだ。
ふと、正当防衛で生き埋めにした際、トランクを車内に置き去りにしてしまったことを思い出す。
…初心に戻ったと思うことにしよう。
旅は、波乱の始まりとなったが、行き先は決まっている。
それは、魔導師の地、木之大陸だ。
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