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━━第七章━━
━━ 五節 ━━
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飛び掛かってきたチーグルに対し、シャンディは大剣で防ぐ。
炎と振動が何度もぶつかり合い、火花を散らす。
その間、ハルカは、足をふらつかせ、花壇で気を失っているクレフの元へと向かう。
「誰だテメェは? 何でそれを持ってやがる!?」
「貴様ッ、このオレを知らないだとッ!?」
執行男を振るうチーグルは、癇に障り、後退しては胸に手を当て、高らかに名乗り上げる。
「良いだろう、教えてやる。
オレは、このデメテル国リサー王の息子ッ!!
チーグル・リサーヴィチ・オリデンブルスキー王子だッ!!」
シャンディは、リサー王に息子がいたことを思い出した。
実際、目にしたことはなかったが、確か国の黒歴史を作った張本人。
「あ~、王の愚息か」
死んだのか、動かぬリサー王に目をやる。
噂でしか耳にしたことなかったし、興味も湧かなかったので、存在自体忘れていたに等しかった。
「テメェがシャンディだな?
なるほど、ジェンフォンの面影を感じる」
祖父の名に反応し、懐かしい記憶が微かに脳裏を過った。
「お前が持っている提燈男は、元々オレの物だったのだ」
チーグルは、提燈男を見ては、徐々に過去の屈辱がよみがえり、腸が煮え返ってきた。
「だが、お前の祖父が細工をし、真の英雄にしか抜けぬとほざきやがって━━」
爪を噛みながらブツブツ呟いていると、耳の穴を掻いているシャンディが気に入らず、すかさず指を差した。
「オイッ貴様ッ!!
さっきから何だ、その態度はッ!?」
「あッ?」
「お前の祖父の仇が目の前にいるんだぞ!?」
「だから?」
あまりの関心の薄さに、チーグルは、拍子抜けてしまう。
「憎いとは、思わねェのか!?」
「んな30年も前の話をぶり返したところで何になんだよ。
くだらねェ」
退屈そうに答えるシャンディに、過去と生きる男は吠えた。
「くだらねェだとッ!? ふざけるなァッ!!」
チーグルは、怒りに任せて突っ込んできた。
「出世街道を順調に進んでいたのにッ!!
あのジジィのせいで、オレの人生はメチャメチャになったんだッ!!
ジジィの血を継ぐお前も同罪だッ!!
死んで償えッ!! そして━━」
彼の猛攻を全て防ぎ、今までの鬱憤を晴らすかのように、シャンディに当たり続ける。
「オレの時間を返せェェェェェッ!!」
渾身の一撃を繰り出すが、大剣で受け止められ、火の粉が舞った。
返しにチーグルの懐に重い蹴りを入れ、膝を地につかせる。
苦しい表情を浮かべ、腹部を抑えては、胃の中身を吐き出した。
「ごちゃごちゃウゼェんだよ。
テメェがやらかしたツケが回ってきたってだけだろが。
人のせいにしてんじゃねェ」
「うッ、うるせェ…。
オレは、提燈男を手に入れて…、デメテルの王に…」
涙目で口から唾液を垂らす彼に、シャンディは呆れ果て、大剣を銃鞘に収めた。
すると、周囲の炎が一斉に消え、焦げ跡から煙が上っていった。
息苦しかった空間からやっと解放され、クレフの傍にいたハルカは、新鮮な酸素を吸えて気が抜けそうになった。
クレフを揺さぶり、声をかけると、意識があることを確認し、安堵した。
しかし、火傷が酷く、煙を吸いすぎたせいか、目を回している。
やがて、チーグルの目の前で提燈男を地に刺した。
「抜いてみろ」
その一言に耳 を疑う。
「何の、真似だ!?」
「チャンスをやるッつってんだよ。
お前に英雄の素質とやらがあるんなら抜けるハズだ」
そう告げられ、チーグルは、恐る恐る両手でストックに触れ、強く握った。
錬金術で電流が走り、歯を食いしばって引き抜こうとする。
しかし、提燈男は応えてはくれない。
まるで、主ではないと拒絶するかのように、彼を受け入れてくれなかった。
必死に引っ張るチーグルに、シャンディは、時間切れと言わんばかりに裏拳をお見舞いする。
倒れたチーグルは、鼻血を流しながら疑問を抱く。
「なッ、なんで…」
「…遺産は、全て起動条件ってのがある」
鼻を抑えるチーグルを見下ろしながら説明する。
「“熱”、“水”、“血”…。
そして、提燈男には、“魔力”」
まッ、魔力だとッ!?
「こいつは、錬金術で呼応し、膨大な魔力を欲する。
抜刀の際も相当な腕力がいるから、一筋縄ではいかねェんだよ」
つまり、あの炎の大剣は、ライターと同じ原理だということか。
魔力を“ガス”とするならば、錬金術は“放電”。
剣を勢いよく引き抜くことによって、魔力の炎に包まれた大剣が生まれる。
「生まれつきオレは、人の数倍電気を発しているみたいでな。
無意識で周囲の魔力を吸い寄せちまうんだよ。
体に蓄積しすぎると感情が高ぶったり、イラついたり…。
よく喧嘩しまくってストレス発散してたもんよ」
あれ? ちょっと待てよ…。
疑問を抱いたハルカは、今までのシャンディの行動をよく思い出す。
ハルカだからこそ感じた違和感。
それは、彼が錬金術なんて一度も使ってなどいないということだ。
闘いの中で、提燈男を使う様子を何度も目にしたが、ハルカのように錬金術特有の反応がなかった。
チーグルでさえ執行男を起動する際、錬金術を使っていたというのに、シャンディは、簡単に大剣を引き抜くことが出来た。
━━ハッ!
そのとき、ハルカは気付いてしまった。
もしかして、彼は、錬金術を使えないのでは!?
自身の体質を利用することで、錬金術の代わりに起動させていたとすれば、辻褄が合う。
つまり、彼は、この世に産まれた時から、将来を約束された者だということだ。
「なるほどね、だからか…」
シャンディが語る中、クレフが頭を抱えながらゆっくり起き上がり、ハルカに心配されるも大丈夫だと返事をする。
「どういう━━!?」
ハルカの疑問を、クレフが自身の火傷を癒しながら答える。
「シャンディさんに傷ひとつ負わせることが出来ないのは、体内から溢れ出る程の魔力のせいなんだ。
魔力で身体を硬化させ、常人の何倍も身体能力を向上させているんだよ」
即ち、彼は、魔力を吸収し続けるかぎり無敵だということ。
世間では、これを勝ち組と言うのだろうか。
それとも異端者と呼ぶべきだろうか。
騎師団は、そういった特異稀な体質を持ち、技に優れた者達の集まり。
どれ程の皮肉を並べても、人は、自分に無いものを欲しがり、羨み、嫉妬してしまう。
そして、オレ自身も━━。
ハルカは、チーグルの姿を見て、哀れに感じてならなかった。
あの人も特別になろうとした一人。
王になりたくて、提燈男を手に入れるため、必死になった。
やり方は間違っていたとしても、自分だけの特別な場所が欲しかったんだ。
凡人なら、尚更憧れるもの。
あの人は、今のオレと似ている。
騎師団という輪に居続けるため、強大な力を我が物にしなくてはならない。
たとえ、最弱と言われようと、周りに認めてもらうため、一心不乱にしがみつかなくてはならない。
要は、承認欲求の塊なのだ。
それが原動力となって、オレを突き動かしてくれるし、何度も立ち上がらせてくれる。
ならば、今、オレがやるべきことは、これしかない。
足に力を入れ、ある一点を目指す。
「…ボーズ、何の真似だ?」
2人の間に立ち、真剣な眼差しをシャンディに向ける。
「もう、いいだろ。
勝負は、ついたんだ」
静かに告げる。
「戦意の無い相手に、これ以上の仕打ちは━━」
「ハルカッ!!」
突如、クレフが警鐘を鳴らす。
しかし、それは遅かった。
ブシュウゥゥゥゥゥッ。
背中に違和感を覚え、そっと手をやると、何かが噴き出しており、生温かい液体がかかる。
それは、赤かった。
「ハルカァァァァァァァァァァッ!!」
血潮はおさまり、力が抜けた彼は、その場に崩れ落ちた。
炎と振動が何度もぶつかり合い、火花を散らす。
その間、ハルカは、足をふらつかせ、花壇で気を失っているクレフの元へと向かう。
「誰だテメェは? 何でそれを持ってやがる!?」
「貴様ッ、このオレを知らないだとッ!?」
執行男を振るうチーグルは、癇に障り、後退しては胸に手を当て、高らかに名乗り上げる。
「良いだろう、教えてやる。
オレは、このデメテル国リサー王の息子ッ!!
チーグル・リサーヴィチ・オリデンブルスキー王子だッ!!」
シャンディは、リサー王に息子がいたことを思い出した。
実際、目にしたことはなかったが、確か国の黒歴史を作った張本人。
「あ~、王の愚息か」
死んだのか、動かぬリサー王に目をやる。
噂でしか耳にしたことなかったし、興味も湧かなかったので、存在自体忘れていたに等しかった。
「テメェがシャンディだな?
なるほど、ジェンフォンの面影を感じる」
祖父の名に反応し、懐かしい記憶が微かに脳裏を過った。
「お前が持っている提燈男は、元々オレの物だったのだ」
チーグルは、提燈男を見ては、徐々に過去の屈辱がよみがえり、腸が煮え返ってきた。
「だが、お前の祖父が細工をし、真の英雄にしか抜けぬとほざきやがって━━」
爪を噛みながらブツブツ呟いていると、耳の穴を掻いているシャンディが気に入らず、すかさず指を差した。
「オイッ貴様ッ!!
さっきから何だ、その態度はッ!?」
「あッ?」
「お前の祖父の仇が目の前にいるんだぞ!?」
「だから?」
あまりの関心の薄さに、チーグルは、拍子抜けてしまう。
「憎いとは、思わねェのか!?」
「んな30年も前の話をぶり返したところで何になんだよ。
くだらねェ」
退屈そうに答えるシャンディに、過去と生きる男は吠えた。
「くだらねェだとッ!? ふざけるなァッ!!」
チーグルは、怒りに任せて突っ込んできた。
「出世街道を順調に進んでいたのにッ!!
あのジジィのせいで、オレの人生はメチャメチャになったんだッ!!
ジジィの血を継ぐお前も同罪だッ!!
死んで償えッ!! そして━━」
彼の猛攻を全て防ぎ、今までの鬱憤を晴らすかのように、シャンディに当たり続ける。
「オレの時間を返せェェェェェッ!!」
渾身の一撃を繰り出すが、大剣で受け止められ、火の粉が舞った。
返しにチーグルの懐に重い蹴りを入れ、膝を地につかせる。
苦しい表情を浮かべ、腹部を抑えては、胃の中身を吐き出した。
「ごちゃごちゃウゼェんだよ。
テメェがやらかしたツケが回ってきたってだけだろが。
人のせいにしてんじゃねェ」
「うッ、うるせェ…。
オレは、提燈男を手に入れて…、デメテルの王に…」
涙目で口から唾液を垂らす彼に、シャンディは呆れ果て、大剣を銃鞘に収めた。
すると、周囲の炎が一斉に消え、焦げ跡から煙が上っていった。
息苦しかった空間からやっと解放され、クレフの傍にいたハルカは、新鮮な酸素を吸えて気が抜けそうになった。
クレフを揺さぶり、声をかけると、意識があることを確認し、安堵した。
しかし、火傷が酷く、煙を吸いすぎたせいか、目を回している。
やがて、チーグルの目の前で提燈男を地に刺した。
「抜いてみろ」
その一言に耳 を疑う。
「何の、真似だ!?」
「チャンスをやるッつってんだよ。
お前に英雄の素質とやらがあるんなら抜けるハズだ」
そう告げられ、チーグルは、恐る恐る両手でストックに触れ、強く握った。
錬金術で電流が走り、歯を食いしばって引き抜こうとする。
しかし、提燈男は応えてはくれない。
まるで、主ではないと拒絶するかのように、彼を受け入れてくれなかった。
必死に引っ張るチーグルに、シャンディは、時間切れと言わんばかりに裏拳をお見舞いする。
倒れたチーグルは、鼻血を流しながら疑問を抱く。
「なッ、なんで…」
「…遺産は、全て起動条件ってのがある」
鼻を抑えるチーグルを見下ろしながら説明する。
「“熱”、“水”、“血”…。
そして、提燈男には、“魔力”」
まッ、魔力だとッ!?
「こいつは、錬金術で呼応し、膨大な魔力を欲する。
抜刀の際も相当な腕力がいるから、一筋縄ではいかねェんだよ」
つまり、あの炎の大剣は、ライターと同じ原理だということか。
魔力を“ガス”とするならば、錬金術は“放電”。
剣を勢いよく引き抜くことによって、魔力の炎に包まれた大剣が生まれる。
「生まれつきオレは、人の数倍電気を発しているみたいでな。
無意識で周囲の魔力を吸い寄せちまうんだよ。
体に蓄積しすぎると感情が高ぶったり、イラついたり…。
よく喧嘩しまくってストレス発散してたもんよ」
あれ? ちょっと待てよ…。
疑問を抱いたハルカは、今までのシャンディの行動をよく思い出す。
ハルカだからこそ感じた違和感。
それは、彼が錬金術なんて一度も使ってなどいないということだ。
闘いの中で、提燈男を使う様子を何度も目にしたが、ハルカのように錬金術特有の反応がなかった。
チーグルでさえ執行男を起動する際、錬金術を使っていたというのに、シャンディは、簡単に大剣を引き抜くことが出来た。
━━ハッ!
そのとき、ハルカは気付いてしまった。
もしかして、彼は、錬金術を使えないのでは!?
自身の体質を利用することで、錬金術の代わりに起動させていたとすれば、辻褄が合う。
つまり、彼は、この世に産まれた時から、将来を約束された者だということだ。
「なるほどね、だからか…」
シャンディが語る中、クレフが頭を抱えながらゆっくり起き上がり、ハルカに心配されるも大丈夫だと返事をする。
「どういう━━!?」
ハルカの疑問を、クレフが自身の火傷を癒しながら答える。
「シャンディさんに傷ひとつ負わせることが出来ないのは、体内から溢れ出る程の魔力のせいなんだ。
魔力で身体を硬化させ、常人の何倍も身体能力を向上させているんだよ」
即ち、彼は、魔力を吸収し続けるかぎり無敵だということ。
世間では、これを勝ち組と言うのだろうか。
それとも異端者と呼ぶべきだろうか。
騎師団は、そういった特異稀な体質を持ち、技に優れた者達の集まり。
どれ程の皮肉を並べても、人は、自分に無いものを欲しがり、羨み、嫉妬してしまう。
そして、オレ自身も━━。
ハルカは、チーグルの姿を見て、哀れに感じてならなかった。
あの人も特別になろうとした一人。
王になりたくて、提燈男を手に入れるため、必死になった。
やり方は間違っていたとしても、自分だけの特別な場所が欲しかったんだ。
凡人なら、尚更憧れるもの。
あの人は、今のオレと似ている。
騎師団という輪に居続けるため、強大な力を我が物にしなくてはならない。
たとえ、最弱と言われようと、周りに認めてもらうため、一心不乱にしがみつかなくてはならない。
要は、承認欲求の塊なのだ。
それが原動力となって、オレを突き動かしてくれるし、何度も立ち上がらせてくれる。
ならば、今、オレがやるべきことは、これしかない。
足に力を入れ、ある一点を目指す。
「…ボーズ、何の真似だ?」
2人の間に立ち、真剣な眼差しをシャンディに向ける。
「もう、いいだろ。
勝負は、ついたんだ」
静かに告げる。
「戦意の無い相手に、これ以上の仕打ちは━━」
「ハルカッ!!」
突如、クレフが警鐘を鳴らす。
しかし、それは遅かった。
ブシュウゥゥゥゥゥッ。
背中に違和感を覚え、そっと手をやると、何かが噴き出しており、生温かい液体がかかる。
それは、赤かった。
「ハルカァァァァァァァァァァッ!!」
血潮はおさまり、力が抜けた彼は、その場に崩れ落ちた。
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